おま毛

志田色葉はオナニーがしたい

 色葉は恭介の部屋に忍び込んでいた。


 オナニーするためのオカズを物色するためである。


「今日はどうしよっかなぁ~……今日もないし」


 ゴミ箱に使用済みのティッシュがなかった。

 最近、ゴミ箱に投入される頻度が減っている気がする。


 一人しゅっぽっぽの回数を減らし、夢精に切り替えているのだろうか? だったら夢精して汚れたパンツをしゃぶらせて欲しい。


 しかし階下の脱衣所までいって洗濯籠からパンツだけばれずに拝借し、返却するのは不可能に近かった。


 残念であるが、恭介の匂いが染みついている制服のズボンで代用することにする。

 色葉はハンガーに掛かった制服のズボンを手に取り、顔を埋めて深呼吸して落ち着いてからポケットの中身を確認する。


 使用中は激しく動く場合もあり、ポケットの中に菓子類など、弾みで形が崩れるような代物が入っていると後で面倒だからである。


「お財布だけか……」


 ポケットに入っていたのはお財布だけであり、何となしに開けて中身を確認してみる。


「……んっ? 絆創膏……?」


 蛇の抜け殻ならまだ分かるが、なぜか財布の中に使用済みの絆創膏がしまってあった。


「あれっ? これって……?」


 色葉は絆創膏の粘着面に薄いウェーブのかかった毛が貼り付いているのに気付き、ハッとする。


「も、もしかして……恭ちゃん、おちんちん怪我した……のかな?」


 おちんちんを怪我し、絆創膏をしていたが、学校のトイレあたりで剥し、捨てる場所がなくてとりあえずお財布にしまってそのままになっていたとかであろうか?


「い、言ってくれれば、色葉が、お、おちんちんにお薬塗ってあげたのに……」


 しかし使用済みの絆創膏に血は付着していなかったので、おちんちんの怪我は既に完治していると思われた。


 だが例え色葉がお薬を塗ると言ったところで恭介は恥かしがってその行為は拒否るだろう。


「で、でもうまくいけば……」


 色葉は恭介がおちんちん負傷時のシミュレーションをする。


「いてっ!」


「どうしたの、恭ちゃん? おちんちん怪我してるよ?」


「ああ、大丈夫……」


「大丈夫じゃないよ! おちんちん見せて! 色葉がお薬塗ってあげるから!」


「いいって。こんなの唾でもつけとけば治るから」


「わかった。じゃあ色葉の唾で治してあげる……」


 これだ! これである!

 この流れを利用すれば、極々自然な流れで恭介のおちんちんを舐めることが可能であった。


 となれば是非、恭介のおちんちんを負傷してもらうしかなかった。


 でも、どうすればおちんちんは怪我をするのだろう?

 普段露出していないおちんちんを負傷される方法が分からなかった。


 思い浮かぶ方法は、パンツにカミソリを仕掛け、穿いた瞬間、おちんちんをザックリいかせる方法だった。


 いや、制服のチャックにカミソリを仕込み、チャックを勢いよく上げた瞬間、ザックリと……


 しかしそれは大惨事につながる恐れがあり、現実的ではなかった。


「……って、そんなこと考えてる場合じゃないじゃん!」


 とりあえず色葉はオナニーしてからそれを考えることにし、絆創膏の粘着面からウェーブの掛かった毛を剥した。


 そして何の躊躇いもなくそれを口に運んだ。


「はむっ」


 嬉々として口で転がす色葉であったが、その瞬間、眉を顰めて、


「んっ? ぺっ!」


 その異変に気付き、吐き出していた。


「これは……」


 どういうことだろう?


「これは……恭ちゃんの陰毛じゃ……ないっ!」


 直感であった。


 その毛は雌の香りがしたのである。


 一体誰の? そしてなぜ恭介はそんなものを財布に入れていたのだろうか?


「そういえば……」


 聞いたことがある。


 戦時中、弾除けのお守りに処女のアンダーヘアをお守りにしていたのだ、と。

 何でも処女は玉に縁がないからとかで……


「つまり恭ちゃんもお守りとして……」


 だとすればお財布に保管し、後生大事に持っていたのも頷けた。


 しかし誰のアンダーヘアなのか? 


「……結愛さん……かな?」


 言われて見れば、薄さと毛質が結愛の髪の毛に似ているような気がしてきた。

 しかしそうなれば恭介側から求めたのだろうか? そうなると、色葉のモノではなく、どうして結愛が選ばれたのか?


 もしそうなら納得いかない出来事である。


「ううん、わたしに頼んでも拒否するし……」


 だから結愛に頼んだ? それとも結愛がお守りとして恭介にプレゼントした?


「あっ! やばっ!」


 どちらにせよその毛を吹き出し、消失させてしまったのである。


 早めに見つけ出し、元に戻さなくては恭介が戻ってきて……


「……って、別に……いいのか?」


 何も結愛の毛を戻さずとも、自身の股間にも同じものが生えていたのである。


 おそらく恭介はお守りとして後生大事に持ち歩くのであるから、色葉が提供しても何の問題もないはずだった。


 むしろそちらの方が効果覿面と言っても過言ではなかった。


「よし、そうと決まれば……」


 色葉は自身のパンツの中に手を突っ込み、やっぱり止めた。


 せっかくなので色葉は、お守りを自身から溢れる愛でコーティングしてから戻すことにしたのだ。


 とどのつまり、色葉は、当初の目的通り、オナニーをすることにして――

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