俺がおっぱいであいつがおちんちんで編
ぷろろーぐ
鳥居の上に胸元を肌蹴させた和装の女性が、寝そべっている。
手酌でほろ酔い加減になりつつ、とても気分がよさげであった。
外見年齢は二十代半ばといったところだろうか、陶器のように白い肌をほんのり上気させ、妙な艶っぽさが溢れ出ている。
そして面妖な、彼女の銀色の髪の毛からは、ひょっこりと狐のような耳が突き出ていた。
この狐耳は造り物なのではなく、彼女が人外であるという証であった。
この妖艶なる人外は天孤神社の神使であったのである。
「はてさて客は来るのかの~」
彼女は参拝客を待っていた。
「清音もうるさいし、しっかりと仕事はせんとな……」
彼女の名前は定まっておらず、現巫女の清音からはお天狐様――もしくは天ちゃん、天狐ちゃんなどと呼ばれている。
その清音だが最近、仕事をしろとやたらとうるさかった。
つまりは参拝客のお願いを叶えて、天孤神社にお願いすれば何でも願いが叶うと口コミで神社の評判を広げようとしていたのである。
そうやって天孤神社の格を上げ、盛り立て、普段からの集客アップを狙っているらしかった。
清音のことは幼少のみぎりより知っているが、こうも商魂たくましく育とうとは、病死した母親も思っていなかったろう。
まあそれも、母との思い出詰まる、このおんぼろ神社を存続させたいという一心なのだろうけれど。
「確かにこの神社が潰れてしまっては、わらわも困るしな……」
天狐は清音の言うことを聞いてやることにした。
しかし参拝客がこない。
天狐は鳥居の上で参拝客を待ち構えていたのだが、なかなか願いを叶えてやろうと思う参拝客が訪れなかった。
「今日はもう、店仕舞いじゃな……」
天狐がそろそろ戻ろうかと思う頃合いであった。
参拝者らしき人物が遠くに見えた。
「あれは……清音と同じ制服……かの」
しかしうちの無乳巫女とは異なり、女性を象徴する部分の発育がよく、より大人っぽく見えた。
「まあ、わらわには劣るがな」
天狐は自分でも、男好きするいやらしい身体をしているなと常々思っていたのである。
「ほぉ~、この年にしては珍しいの」
天狐はその若い参拝客に感心した。
彼女は鳥居をくぐる時、一揖――一礼してくぐったのである。
更に神様の通り道とされる参道の真ん中を通らず、右側を右足から踏み出し歩き出していた。
そういった人が決めた参拝の作法は、天狐は特に気にしていなかったが、こうもきっちり守ってくれているということは、神を敬う心が見えて気分がいいものがあった。
もしかしたら清音の知人で、清音がこの神社を宣伝して教わったのかもしれないが、誰も見ていないのにこうしてきっちりこなすのは珍しいと思ったのである。
「よし、この者の願いを叶えてやろうかの」
彼女が手水舎で柄杓を取り、右手、次いで左手、そして口をすすいで清める。
「さて、この者は何を願うのか……」
彼女は神殿前に訪れると、まずは一揖してから用意していたお賽銭を賽銭箱に投げ入れ、境内の鈴をガラガラガランと打ち鳴らした。
そして彼女は二礼二拍手した後、手を合わせてお願いごとを口の中で呟く。
「恭ちゃんとラッキーおちんちんができますよーに」
天狐は聞きなれぬその言葉の響きに顔をしかめた。
「ら……ラッキーおちんちん?」
はてさて、ラッキーおちんちんとは何ぞや……?
天狐は彼女の深層心理に触れて、願いの内容を確かめることにして――
「くはっ! な、何という煩悩っ!」
天狐は彼女の奥底にあるものに触れた瞬間、カッと目を見開き、顔を真っ赤にして彼女から距離を取った。
彼女は煩悩に塗れていた。というか、頭の中がおちんちんで溢れていた。
その感情が一気に天狐の中に流れ込んできて、危うくおちんちんに浸食しかけられたのである。
ちなみにラッキーおちんちんとは、マンガやギャルゲーなどで度々見られる、転んだ拍子にもつれあい、おちんちんをつかんだり、口にくわえてしまう行為のことを示しているらしかった。
「ま、まあ……こやつの願いを叶えてやると決めたからな……」
天狐は彼女のおちんちんに塗れた願いを叶えてやることにしたが、
「待った! 神様……やっぱ今の願いなし!」
「何じゃと?」
「どうせ神様にお願いするなら、もっとおちんちんなお願いにしないともったいないよね」
どうやら彼女はどうせ神様に願うなら、もっと大きな願いを叶えたいと考えたらしく、今の願いをキャンセルしたらしかった。
そして新たなる願いを口の中で呟く。
「神様、お願いします。どうか恭ちゃんのおちんちんを――」
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