第10話 2
寂しかったんだよ、ずっとずっと寂しかった。
俺を娘だって笑う母さん、柔らかな
だけど全部俺じゃない、どれだけそっくり振る舞ったって俺はそいつじゃない、顔を剥いだだけの、泥棒みたいなもんだ。どれだけ俺が俺だって見せて混ぜてみてもどれだけも誰も見てくれなかった、俺の欠片は俺じゃない、元居た本物に喰われて消えるだけだ。
だから、だから君ならって思ったんだよ。舞夜。柊舞夜。君なら俺を、俺なんかでも受け容れてくれるだろうって思ったんだ。
だってそいつ屑だし。
「あ?」
事実だろ、自覚だってあるくせに。どうしようもない屑だよ、お前はさぁ。暗いしつまんねーし傲慢で身勝手で、他人を傷つけるくせにそれもどっかで他人のせいにしてんだろ。家族もクソで親戚もクソでホントもうどこをどうとってもろくでなしなのに、……舞夜は友だちだからなぁ。
「紫苑くんもあれやよ、頭とかいいよ(たぶん)」
「ああうん、糞みたいなフォローありがとう」
……。
だって本当に君は俺のこと見てくれる気がしてたんだよ、確信してた、俺をきっと初めて俺を本当だって本物だって言ってくれる気がした、なのに!!
なのに、俺は所詮偽物なんだもんなぁ……。
「ネムレス、」
俺は俺の記憶に誓って柊舞夜を柊舞夜だって証明することもできない。俺の顔を見て安心してもらうこともできない。嘘を吐かなきゃいけないせいで、困る君の全てを助けてあげることもできなかった。
君は俺をネムレスって呼んで俺を帝釈紫苑じゃない、ネムレスとして見てくれたけど、でも、そうしたら今度は、俺が君に足りなくなってしまったんだよ。
取り繕っても、取り繕っても。人外で空っぽで何にもなくてつまんない奴だから、所詮継ぎ足しで生まれただけだから。
「私、ネムのこと普通に好きやよ? 友達やって思っとるよ」
「俺も舞夜ならきっと、そう言ってくれるって思ってたよ」
ネムレスは微笑む。前髪がかかって影になりどんな眦をしているのかは不明だ。しかし緩やかに釣りあがった口角は、舞夜のよく知る表情のそれだった。いや、知っているとは言えないのか。
彼はその、舞夜の記憶に鮮やかに残る笑みを唇に浮かべ、脆い震え声になる。今にも頭を抱えて崩れ落ちそうだ。
「俺じゃだめかなぁ。そいつの記憶だってある、望むならその通り振る舞えるし、ずっと優しくしてやれる。君にとって、俺じゃそいつに成れないかなぁ」
「ネムレス、なんでそんなこと言うの? ネムレスはネムレスって、"紫苑"でもないって、私――」
苦しげな顔、泣きそうな顔、そして穏やかな微笑。
今まで舞夜に向けられたどのネムレスとも合致しない、全てが絡まったように歪な表情を彼は浮かべる。
だけど、知らない事実が晒されたところで、どこまでいっても、舞夜にとって彼は"ネムレス"なのだ。何故それを分かってくれないのだろう。
「ずっと、ネムレスでしかないのに、」
告げて、舞夜は足に力を込め。このままでは、彼の哀寂に引きずられてしまうと思った。
「――それにな、紫苑くんはどうすんの。成り代わったその後な。ここにおって、狐から狸にまでなった紫苑くんやで。そういうのはよくないよ、ネム」
「なってねーよ。ていうかさぁ、いつまで我が物顔してんのか知らないけど……そろそろ、返してもらっていい? ほら、代わりにこの面あげるよ。間接的にだけど、舞夜ちゃんからのプレゼントだね!」
「え?」
言って、舞夜が更に問う前に、紫苑は顔を覆っていた面を外した。なるほど、確かに顔がない。さらりとした肌色の輪郭だけがそこにある。舞夜はじぃっとそれを見つめた。
中身がいくら友人といえど、あるべき物があるべき場所に収まっていないというのは、どことなく具合が悪い。しかしそれでも物珍しさが勝って、舞夜の手はうずうずした。
「のっぺらつるつるやね。触っていい?」
紫苑は意図的にか、そうせざるを得なかったのか分からない無反応で、さっさと狐面で顔を覆ってしまった。狸の面は、ネムレスへと投げ渡される。彼はしばらくそれを眺めてから、ふと舞夜の方を見た。彼は何か言いたげに口を開きかけたものの何も言わず、曖昧な微笑を浮かべるだけで。
そのまま静かに、その面で顔を覆ってしまった。
舞夜は胸を締め付けられたようになったまま、じっとそれを見守っていた。
せめて、どうしたのかと問わせてくれたらよかったのに、と思ったが、それを彼に言うのもあまりに酷な気がして、結局沈黙を守った。
「ふう。これでこの鬱陶しい面ともおさらばだね!」
そして、あっという間に狐面の下から現れたのは、先ほどまでネムレスであった、彼の顔だった。しかし些細な笑顔一つ取っても彼とは全く異なっている。これが本来の、帝釈紫苑なのだろう。
それに一抹の寂しさを覚えてしまうのは、彼に失礼だろうか。
「……んっと、おかえり? その、お疲れ様」
「うん。ただいま」
言ってから、そっとネムレスの様子を窺う。一瞬のことで、舞夜には彼らに何が起こったのかは分からなかった。
とにかく紫苑の顔が戻ってきたからには、ネムレスも、狸の面をつけてはいるが、その下は先ほどの紫苑と同じようにのっぺらつるつるなのだろう。
「……ネムレスは大丈夫? 痛くない?」
「平気。顔が無いって、ずいぶんと久しぶりな気がする」
狸の面に触れ、ネムレスは己の輪郭を撫ぜる。
「でも、これで全部無くなっちゃった」
「無くなってないやろ!」
舞夜は思わず声を上げていた。
「なんでネムレスはそんな顔重視なん? 面食い! あ、文字通りか。……でもそんな大事っちゃうで。どんだけいっても、ネムレスはネムレスやよ」
「でも、」
「普通に、紫苑とかなんも関係ない、友達になろ?」
今の彼はあまりに色々なものに雁字搦めに縛られていて、それ以外見えていないようになっていた。一度そこを切り捨ててしまえばいい。
それからもう一度、別の誰かも何も関係ない、舞夜とネムレスとして向き合おう。そしてまた、友達になろう。
舞夜が訴えれば、ネムレスはきょとんとする。その顔は仮面の向こうに隠されているというのに、なぜか子どものように見えた。初めての表情だった。
「あり、がとう。あはは。友達。友達って、でも、俺にはもう顔も無いのに?」
「――っと、半分! 私の顔、半分ならいけるよ! 右半分か左半分な。そんでなんか怪我したとか言って、その無い方だけ包帯とか巻いたらいいんちゃう?」
それなら年中仮面を被って生活しなくても済むし、周りには怪我をしたとかいって誤魔化してしまえばいい。まあ家族だの学校だの無理も多いだろうが、咄嗟に絞り出した勢いだけの案にしてはずいぶんと名案に思えた。
だが。
「は? なに勝手なこと言ってんの。こいつはここで消すよ」
舞夜が口を開くことすらできぬよう、紫苑は捲し立てる。
――今はネムレスと名乗って舞夜にいい顔をしているこいつ、顔剥ぎは、今まで何人もの人間を殺してきた。僕たちを襲った時のこいつの姿を覚えてないのか。幼い女の子だった。神隠しに遭ったなんて言われてた子だろう。実際はこいつが成り代わっただけなのだ。
僕だから今回は無事に済んだものの、普通の人間なら顔を奪われたら死ぬ。いや、しばらくは何が起こったかも分からず、たった独りで悶え苦しむことになるかもしれないけど。きっと訳も分からないまま、盲で聾唖で口も利けないまま死んでいくのだろう。
人の命を奪って、誰かの娘を恋人を父を奪って、甘い汁だけ啜ってきた。
今まで散々踏みにじってきたことすら横に置いて、自分が自分がと語るばかりのこいつ、この偽物野郎を生かしておくわけにはいかない。
「どれだけ殺したか、どれだけ犠牲にしてきたか、数えたことすら、いや、そうしようと意識したことすらないんだろ。羨ましけりゃ赤子ですら殺す、これがこの化け物の正体だ。……ほんとに覚えてないんだ? わざわざあの子が履いてた、赤い靴まで見せたのになぁ」
「ホラーの演出かと思った」
が、なるほど。
五月三十日のメッセージ、その日に起こった女の子の神隠し。全てがようやく繋がった。納得して一人頷いている舞夜に、紫苑は笑顔のまま苛立ちをぶつける。
「ふ・ざ・け・ん・な。記憶を刺激してやろうと、わざわざあんなことをしたんじゃないか。理科室でも音楽室でも似たようなことをしてやったのにさー」
「なんか演出かと思った。今も全然思い出せやんし……」
「……ま、僕と記憶を共有しているあいつに勘付かれて、大体邪魔されたんだろうけどね」
目を細めて呟かれた言葉は何気なかったが、苛立ちだけでない様々な悪感情の含みが感じられた。この旧校舎を訪れてから今まで、何一ついい目を見てないだろうから当然といったら当然かもしれない。
紫苑は蔑んだ目付きはそのまま、口元に取り繕ったような薄ら笑いを浮かべ、腕を組んだ。
「ほら、今から消される気持ちはどうだ?」
「別にいいよ」
すんなりと。受け容れたネムレスに「え!?」と驚いたのは舞夜で、「はぁ?」と苛立ち混じりに吐き捨てたのは紫苑である。有利不利関係なく、彼は最早ネムレスのあらゆる言動が気に喰わないのだった。
ネムレスはつらつらと続ける。
「欲しいから妬んで羨んで成り代わって――でも、」
狸の黒々とした双眸が、半ば青ざめた舞夜を真っすぐに射抜いた。衝撃に揺らぐ舞夜をじっと見据えたままに、
「俺自身を見てもらえないのなら、意味が無いや」
「……ネムレス」
何故か、ネムレスが微笑んだように感じられた。
舞夜のよく知る、穏やかなあの顔で。
そしてネムレスは己をひたと見つめてくる舞夜から、未だ彼を不審がっている紫苑に視線を移した。
「君はどう思う?」
「は? なんでそんなこと僕に訊くわけ」
「――別に」
「あっそ」
記憶を共有した者同士、何か繋がるものがあったのかもしれないが、それは紫苑から無造作に振り払われた。
「ね、ネム、消えるの?」
「うん。消してもらわないと駄目みたいなんだ」
まるで憑き物が落ちたかのように、ネムレスは朗らかに振る舞う。
「君が言ってくれたこと、本当に嬉しかったよ。心から。こんなに幸せなことって、きっと二度と無い! ――だけど、俺はそれに手を伸ばせない」
何故、と問うまでもない。彼は舞夜を見て、くすりと笑った。
「前から君を見ていた。見つけたのは偶然で、俺の求めているものに当てはまれば誰だって良かったんだ。色んな人を見てきた。君たちは放課後遅くまで残っていることが多かったから、よく目に付いた。ずっと見てた。俺の出来る限り。そんなのでも受け入れる君だから、俺だっていいだろって思った。君に名前を呼ばれて、傍にいてもらえたら、どれだけ幸せだろうと思ったよ。きっとこれ以上ない幸福だって、ずっとずっと夢見てたんだ」
ネムレスはそこまで語って、俯いた。自嘲するように。
「どれだけ幸せだろうと夢見て、本当にその通り幸せで。だけど、俺はそれでも、次を求めてしまうみたいなんだ。もう、どうしようもないよ。気付いたんだ。いや、ずっと知っていたのかもしれない。顔を剥ぐからじゃない、欲の塊だから化け物なんだ。俺は、名無し男にはなれないし――彼に救われても、光れないみたい」
誰かを輝かせてあげることも。人に与えてもらった一度の幸福に満足して光り続けることも、俺には死ぬまでできない。
あまりに人間らしい欲の懺悔だった。舞夜は俯く。ネムレス、顔剥ぎ。どこか己を卑下する態度が時折見え隠れするとは感じていたが、彼は自らの根源について悩み、恥じていたらしい。しかもそれは、死を受け入れるほど沼のように深いのだ。
「それとも、俺と一緒に来てくれる?」
困惑する舞夜の前で、ネムレスは面の向こうで微笑んでいた。その軽やかな声からは、彼の本心は読み取れない。舞夜はそれを探り取ろうと、彼の面に描かれた、漆黒の目玉をじっと見つめた。
舞夜は彼に情を感じていた。それは彼が望むものではないかもしれないし、そもそもが擦りこみのような一時の気の迷いで、ただの同情かもしれない。
それでも、彼は舞夜に優しかったのだ。彼がただ独り、孤独に消滅していくのを惜しく感じるほどに。例えその始まりが嘘で覆われていたとしても。
「マイ」
紫苑の呼びかけは平時通りそっけないものだったが、その声のあまりの冷たさに、舞夜はぞっとしてその身を強ばらせた。
「君が消えたあとの親や友だち――君の大好きな誰かの顔でも想像してみるといい。それでもいいなら、その先に足を踏み出せよ」
舞夜は紫苑の蔑んだ目線に、押し潰されるように俯いた。そんなことは知っている。記憶のなくなった今でさえ、自分の大切な人達が自分の死に苦しむ、嫌な画が頭のなかをぐるぐる回る。そういった誰かが自分にはいるのだと心が訴えている。
紫苑に言われずとも理解している。
舞夜はネムレスを独りで消したくはないが、それに添い遂げることはできない。
最早身動ぎずらしない舞夜を見下ろすと、紫苑は鼻で笑った。
「ザンネン。フラれちゃったね、偽物くん」
「別にいいよ。寧ろ、俺を選んでたら突き飛ばしてたよ。それに俺と大勢を天秤にかけて、それだけ悩んでくれたんだから……十分さ」
仏もかくやといった、いっそ慈愛さえ感じさせるような声音であった。舞夜はそこから、覚悟を決めてしまった者への恐れを感じた。
そして言葉もなくただネムレスを見つめる舞夜の肩を、ちょいちょいと紫苑がつつく。
「二人にしてほしい?」
まるで思い付きのような尋ね方だった。彼の意図が分からず戸惑いながらも、舞夜は素直に頷く。それから彼女が、できることなら、と静かに付け足すと、紫苑はそれを笑い飛ばすかのように随分と人のよさそうな笑顔を見せた。
「いいんだよ、遠慮しなくて。じゃ、僕はここから出て行ってあげるから……そいつが消えるまでのちょっとの間、好きなことを喋るといい」
「……太っ腹だね。俺が舞夜を襲うとは考えないの」
「あっはっは。そこまで無能じゃねーよ」
笑顔のまま苛立たしげに吐き捨て、紫苑はおもむろに舞夜の学生鞄を開け、中からプリントが挟まれているクリアファイルを見つけ出した。それを舞夜に付き出して、中に入っているものを取り出せという。言われたまま開くと、紙で隠すようにして一枚の御札が挟まれていた。
「それ持ってろよ。絶対手放しちゃ駄目だからな」
「え、まって、これって……」
謎の御札を握りつぶして困惑する、舞夜を放置して、「じゃあね」と軽く言い放って、紫苑はすたすたと教室から出て行ってしまった。彼は外から、ネムレスを消す準備をするらしい。
気まずくはないが、夜のようにしんとした沈黙が二人の間に訪れた。ネムレスはぎこちなく見上げてくる舞夜に、努めて穏やかに声をかけた。
「顔、触る?」
舞夜はふと彼を見つめたが、ただ小さく頷いた。
ネムレスが面を僅かにずらし隙間をあけたところに、舞夜は恐る恐る手を差しこんだ。どう触れたものか逡巡して、結局四本の指で怖々と表面を撫ぜてみる。肌理のあるさらさらした子どものような素肌だけが、暗闇のようにどこまでも一連に続いていた。
「い、痛ない? 大丈夫?」
「うん」
答える唇はないのに、面の口元だけが微かに開いた。どこか感嘆するような、それこそ化かされているかのような、不思議な心地で舞夜は呟く。
「これがネムレスの顔かー」
「ふふ。俺に顔は無いんだよ」
「……じゃあこれは何?」
「死相かな。死化粧かも」
舞夜は指先を強ばらせた。そしてネムレスの手に導かれるまま、彼の顔からそっと指を離す。
ネムレスは歌うように続けた。
「ずっと俺は、俺じゃない誰かだったから。もっといい顔、いい場所、いい人生を探して移り変わってきたんだ」
そのままぽんと舞夜の肩を押して、
「でももう、それも終わりだね」
そして彼女がたった一歩下がるその間際に、ネムレスは足元から鞭のように伸びる光の檻に閉じ込められた。何か言い募ろうと口を開いた舞夜の眉間に、刺すような痛みが走る。しかしほんの一瞬で、痛みよりそれによる驚きの方が勝るほどだった。しかし今はそれどころではない、とネムレスを見ると、彼はその場に立って平然としている。
「舞夜」
「…なに?」
「あいつに気をつけろ」
「え?」
ぽかんと口を開ける舞夜を見て、ネムレスは誤魔化すようにへらりと笑った。
「……なんてね。こう言ったら、覚えてもらえるかと思って」
「そんなことしやんでも忘れやんよ。ずっと、ずっと覚えとる。ネムレスは優しかったし、いい人やったし、私、何度も助けてもらって、だから。――ごめん、ごめんな。ネムレスがいなくなったら悲しい……」
制服の袖で、舞夜は己の両目を拭っている。ネムレスが強く覚悟を決めて挑んでいるようだから、さっぱりと見送るつもりだった。それでもこの時が来てしまえばそんな気持ちはどこへやら、ただ悲しみだけで心がべったりと塗り潰されてしまっている。
「謝るのは俺だよ。ごめん、本当にごめんね! たくさん騙して、なのにそのまま消えちゃって、本当にごめん!」
ネムレスの姿が光に染まり、ゆらめくように滲んでいく。
「さっきの忠告、ほんとだよ。ありがとう、ありがとう舞夜」
「ネムレス」
「ねえ、妬めなくなるくらい眩しく、幸せになってね」
その時舞夜の目には、ネムレスの笑顔がくっきりと映っていた。彼の顔が目も眩むほどの光の塔に呑まれてしまうまで。
思わず舞夜が顔を覆った一瞬のあと、そこにはもう誰もおらず、ネムレスの存在自体がまるで幻であったかのように、影も形も残されていなかった。
舞夜が涙と水っぽい鼻水を、鞄にあったポケットティッシュで綺麗にしていると、紫苑が足取り軽く教室に入ってきた。彼は自分の鞄を手にとると、だいぶ落ち着いた様子の舞夜に目をやった。
「あの偽物に何か言われたのかい?」
「……なんでもない。ただ、」
「ただ?」
「ありがとうって言ってた。幸せになってねって、言ってた」
紫苑は鼻で笑った。
「ありきたりだね」
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