06/23.ルールー

 『神殿』と言われて来てみたが、それはいわゆる環状列石ストーンサークルだ。直径は50メートルほどか、巨木が支配する森の中に、そこだけ真円の空間がぽっかりと口を開けている。

 高さ5メートルもあろうかという巨石を削って柱とし、それを丸く立て並べた上に、同じく巨石の横石を渡して円形としてある。

 その中心に置かれた四角い石が『祭壇』だろう。

 日の出まであと数分。その前に、あの祭壇へ亡殻ナキガラを乗せなければならない。

 ミーマとウォードの位置関係は、円形神殿の真北を零時とするなら、ウォードが4時でミーマが8時。現状の位置取りは互角。

 「……赤子か?」

 ミーマの背中、荷物のに気づいたのだろう、ウォードが訊ねてきた。何かしら情報を引き出すつもりだろうが、それにしても、よくしゃべる猿だ。

「『息子』……死産だった。そちらは?」

無視すればいいものを、なぜ余計なことまで答え、しかも訊き返すことまでしたのか。

「『娘』だ。病にやられてな……五つだった」

ウォードもまた、義理もないのに答えを返すと、背中の荷物をよいしょ、と背負い直す。

 五つの子供の亡殻ナキガラなら、決して軽くはなかろう。だが、このゴリラの男はそれを背負って島まで泳ぎ、強敵との戦いを制してここまでたどり着いた。丸型の大盾に刺さった矢尻から、犬殻イヌガラの弓手と戦って倒したことも知れる。

 まぎれもない強者、しかも渦潮ウズシオ紋付モンツきだという。

 渦潮の紋付モンツきを、

 『渦守ウズモリ

 と、称する。渦潮紋ウズシオモンの権威と利益を守る者、という意味だ。

 また、本来は海に棲む魚殻ギョカク紋である渦潮紋ウズシオモンだが、彼らとて陸のカラと取引があり、領土を持ち、イクサもする。そのため陸に棲む獣殻ジュウカク鳥殻チョウカクに紋を分け、渦守ウズモリとすることがあるのだ。

 『くが渦守ウズモリ

 と、称される彼らは、渦潮紋族ウズシオモンゾクの上陸戦部隊、我々の感覚では海兵隊マリーンが近いだろうか。

 しかし。

 (だから何?)

 ミーマは闘志を呼び起こす。何者が相手だろうが、敵にビビってイクサに勝てるか。

 剣を抜き、尻尾を口にくわえた臨戦態勢。余計な緊張こそないが、斬りつけるような殺気は隠さない。

 (おお!)

 そんなミーマの姿に、ウォードはほとんど魅せられたと言っていい。

 (……正反対だな、アイツとは)

 ウォードの脳裏にもう1人、ウォードの目を奪った女性の姿が浮かぶ。

 くりくりと愛嬌のある目をした海豚殻イルカガラの女性。

 名を『キャルル・ホウィホウイ』。正確な発音は例によって海豚殻イルカガラ専用なので、もう最初から通名の『キャルル』で書いているが、より本名に近い表記をするならば『キキャールルゥルルゥ』。

 ウォードの妻だった女性だ。

 渦潮紋ウズシオモン海豚殻イルカガラといえば、宗家に次ぐ格式を誇る名家で、みずからを貴族・公家衆クゲシュウと称する一族である。独自の家族紋ファミリー・クレスト泡環紋ホウカンモンを副紋とし、気位が高く、しかも純血主義ときているから、実は同じ渦潮紋族ウズシオモンゾクの中でも、

 (いけ好かねえ連中)

 として、評判はよろしくない。が、

 (アイツだけは、変わりもんだったなあ) 

 ウォードは、ゲノス・ハンドウイルカの亡妻を思い出す。

 痛みと共に。

 彼ら2人の結婚は、宗家の長をはじめとする紋族の長老会議が決めた。それ以前には、お互い会ったことも、そんな相手がいることすら知らなかった。そういうものだ。

 ウォード自身、あまり結婚には乗り気でなかったし、妻の実家や親戚からは『流れ猿の婿』とさんざんな嫌味を言われ、嫌がらせも受けたが、

 (親父オヤジの決めたことなら仕方ねえ)

 と、黙って受け入れたのだ。渦守ウズモリの結婚など誰しもそんなものだから、彼もそれ以上、別になんとも思わなかった。

 2人の祝言しゅうげんは、渦潮紋族ウズシオモンゾクの仕来りに従い、実に3日に及んだ。仲間たちの手荒いを喰らい、さすがのウォードも前後不覚のままで新居に担ぎ込まれる。

 伝統の『婿いじめ』である。

 ちなみに祝言しゅうげんの間さえ、まだウォードは嫁の顔を見ていない。まあ、これもそういうものである。

 翌朝、目覚めたウォードは、枕元に小柄な女がと座っているのを見て、

 (誰だこいつ……?)

 しかし女は平気なもので、

 『貴方様の嫁です』

 にっこり、と笑った。これにはウォードも、

 『お……?』

 二日酔いの頭をフル回転させる。が、なんとも言葉が出てこない。

 『嫁です』

 大事なことらしく、笑顔のまま2回言われた。対するウォードは、

 『……おう』

 精一杯、いかめしい顔を作ってみる。が、

 『嫁』

 3回目がきた。ウォードの負けであろう。

 『……嫁?』

 『はい!』

 会心の笑み。

 『不束者ふつつかものでございますが、よろしゅうお願い申します』

 キャルル、仕来しきたり通りの三指みつゆびを突いてみせたものだった。

 その後の2人の結婚生活は順調で、逆に周囲を驚かせた。武辺一辺倒の無骨者と、気位の高い公家のおひいさまとでは、

 『とてもではないが、合うまい』

 と、思われていたからだ。

 だがウォードは立て続けに手柄を立て、若手の渦守ウズモリの中でも出世頭となっていたし、キャルルはキャルルで家事万端こなすのは当然、美しく着飾って社交にも出、よく夫を支えた。

 ちなみにウォード、嫁のキャルルに、

 『ホントによかったのか、俺が旦那で?』

 と訊いてみたことがある。でもないだろうが、まあ、そこがウォードだ。

 一方、訊かれたキャルルはきょとんとした顔のまま、ちょっと首を傾げて、

 『なぜ?』

 逆に訊き返す。

 『だってよ、俺ぁお前の実家の言うとおり、流れの子だぜ?』

 ウォードはごりごりと頭をかく。ウォード、渦潮紋ウズシオモン紋付モンツきとして、普段は武張った言葉遣いだが、キャルルの前では生まれついての素に戻ることも多かった。

 彼の言う『流れの子』とは、頼るべき紋族モンゾクを持たない漂泊民のことだ。

 たとえばある紋族モンゾクイクサに敗れたとする。紋付モンツきも、本紋を持つ本宗家まで皆殺しにされた上に、住んでいた土地を追われた紋族モンゾクはどうなるか。

 ただちに別の紋族モンゾクの傘下に入るか、さもなくば『流れ』となる。

 カラの世界をあてどなくさまよい、季節労働や日雇いの仕事で食いつなぐ者もあれば、傭兵としてイクサに加わる者もある。あるいは山賊・海賊に身を落とす者、反対に彼らの餌食となって命を落とす者も多い。いずれにせよ辛く、みじめで、泥を這うような生活を続けなくてはならない。

 ウォードの母も、そうした漂流民の1人だった。女の流れは通常、誰か別な男に嫁ぐのが一般的だが、ゲノス・オランウータンの母は力が強く、男に混じって荷役の仕事をしながら、女手ひとつでウォードを育ててくれた。

 男のカラでもめったに運べぬ、見上げるような大荷物を、肩に荷ダコを作りながら運んだ母。彼女の仕事を手伝い、お揃いで肩に作った荷ダコは、今もウォードの肩にある。

 『アンタの父さんは、紋付モンツき様だったんだよ』

というのが母の口癖だったが、一体どこの紋付モンツきだったのか、それはついに語らなかった。おそらくはウォードを卑屈にさせないため、母が作った与太話よたばなしであったのだろう。

 そんな時、ウォードの運命が一変する出会いがあった。

 港で働くウォード母子に、目を止めた男がいたのだ。今、ウォードが親父オヤジと呼ぶ、渦潮紋ウズシオモンの宗主その人である。

 まだ子供のウォードが、大人顔負けの馬鹿でかい荷物を運ぶのを目にした宗主は、

 『てえした力じゃねえか、坊主』

と、声をかけ、

 『おめえさまが丈夫に生んで、大事でえじに育てて下さったお陰だ。しっかり恩げえしするこったぜ』

 ウォードはその時、自分がなんと答えたかおぼえていない。実はそれぐらい衝撃的な出会いだったからなのだが、今、その話は後に譲ろう。

 宗主はその後、なにくれとなくウォード母子を気にかけ、母が船の事故に巻き込まれて亡くなった時は、渦潮紋ウズシオモンの身内扱いで葬式を出し、墓の世話までしてくれた。

 しかも天涯孤独となったウォードの身を引き取り、

 『今日からおいらの息子、ってことにしな。なに、いまさら1人2人増えたって、どうってこたねえ』

 こうして渦潮紋ウズシオモンの身内となったウォードは、宗主を親父オヤジと呼び、同紋の少年達と共に成長することになったのである。

 だからウォード自身、生まれの悪さを隠す気もない。

 『お公家さまのおひいさんとじゃ、釣り合わねえわな。確かによ』

 そう言って自嘲するウォードの鼻先へ、いつの間にかキャルルの鼻先が急接近。

 『!?』

 驚いて仰け反るウォードの首っ玉に、がしっ、とキャルルが抱きつく。毛むくじゃらの獣殻ジュウカクや、硬い鱗に覆われた魚殻ギョカクとはまったく違う、この滑らかな無毛の身体は、海豚殻イルカガラの自慢のひとつだ。キャルルは日頃、決してそれを鼻にかけるようなことはしなかったが、一方では、遠慮なくその威力を魅せつけたものだった。

そして、

 『生まれの、育ちの、名紋のと、の殿方には、ほとほと飽き飽き』

 そう前置きした上で、ウォードのたくましい身体を愛おしげに撫でながら、

 『ここに嘘のない、本物がありますのに。なぜ釣り合わぬなどと?』

 『ほんもの?』

 『そう、本物』

 キャルルが腕をゆるめ、また鼻先をくっつける。

 『たとえば貴方様。この先、我らが子を授かったとしまする』

 『? おう?』

 『そして万が一にも渦潮紋ウズシオモンが敗れ、一家そろって流れに堕ちたとしまする』

 『よせ、縁起でもない』

 ウォードは顔をしかめる。が、キャルルは平気な顔で、

 『たとえ話』

 『たとえばだぞ。たとえばだ』

 ウォードがしぶしぶ念を押す。

 『たとえば、流れとなった貴方様の一家は、飢えまするか? 私と子は、凍えて震えねばなりませぬか?』

 『ないわ』

 ウォードは即答した。キャルルの期待した通りに。

 『お前と子供らにだけは、なにがあろうと毎日、腹いっぱい食わせてやる。狭くとも温かい住処と、服もあがなってやる。……俺の母がそうしてくれたように、な』

 言いながら、大きな手で肩の荷ダコを撫でる。『流れの子』と馬鹿にされようが、荷役の母を助けて働き、大人に負けじと食い扶持ぶちを稼いだ子供時代の、それは彼にとって勲章であった。

 『このウォードのカラと魂の尽きぬ限り、きっと明日へ命をつないでくれよう』

 『ほら、本物。これが本物』

 キャルルは、まるで我がことのように誇らしげな顔になると、つ、とウォードから身体を離し、ウォードの荷ダコに向かって両掌を合わせ、

 『かたじけなく存じます』

 『おいおい、まだ早かろう』

 苦笑するウォードにキャルルは、

 『いえ、これはお義母上様ははうえさまに。良き人を、かたじけなく存じます、と』

 『む……』

 漢・ウォード、こういうのに弱い。

 『貴方様、泣かない』

 『泣いとらん』

 『大事、大事』

 キャルルがウォードを、今度こそ全身で抱きしめた。

 2人が、一人娘の『ルールー』を授かったのは、その後すぐのことだ。そして母と同じイルカのカラを受け継いだ彼女が、成長して覚えたのが、この、

 『だいじ、だいじ』

 である。

 まずキャルルの頭を撫でて、

 『かかさま、だいじ、だいじ』

 とやった後に、ウォードの側へ来て、

 『ばばさまも、だいじ、だいじ』

 と、ウォードの肩の荷ダコを撫でるのだ。

 『ばばだと?』

 ウォードが訊ねると、

 『ととさまのお肩に、ルールーのばばさまがおられるのです。だいじ、だいじ』

 えっへん、と得意げに胸を張った。そして、

 『ととさま、泣かない。だいじ、だいじ』

 こういうのに、とことん弱いウォードの頭を、優しく撫でてくれたものである。

 

 そんな日々はしかし、やはりあっけなく終わりを告げた。


 ウォードが南の大陸へイクサに出かけた留守に、央海の都『青京』を伝染病が襲った。5つの海の中央・央海に浮かぶ青京は、渦潮紋族の本拠地として繁栄を極める一方で、世界各国から無数の船が往来する関係上、この手の災厄と無縁ではいられない。

 さらに海の真ん中に浮かぶ『島』という地理的条件から、生活排水を海へ直接捨てるのが一般的なため、特にコレラや赤痢、チフスといった下水処理の未発達を遠因とする伝染病に弱かった。未処理のまま海へ流された病原菌が、それを蓄積した海産物を通じて再び人々の口へ入り、感染が広がるのだ。

 『いまだ治療のすべはございませぬ』

 渦潮紋で医療を担う魚殻ギョカクゲノスガラ・ルファの老人は、苦しげに宗主に告げた。ガラ・ルファという魚名は聞き慣れまいが、コイの仲間で、我々の世界では『ドクターフィッシュ』として知られている。

 魔力のこもった高価な治癒薬を使えば、一時的に症状を抑えることはできる。しかし治癒薬には病原菌そのものを消す効果はなく、時間が経てばすぐ元の木阿弥になってしまう。

 結局、できることといえば感染者を隔離し、その排泄物や死体を焼却処分する程度だった。

 伝染病発生の連絡を受けたウォードは、キャルル宛てに、

 『ただちに都を離れ、氷洋の実家に疎開せよ』

 と手紙を書いた。氷洋は5つの海のうち最北端の海で、海豚殻イルカガラの所領がある。正直、実家とは折り合いが悪いが、青京で生命を脅かされるよりはマシだ。一方、ウォード自身はイクサの真っ最中、気軽に帰れるわけもない。当面の戦いを終わらせ、都へ帰ることができたのは3ヶ月後。

 キャルルが死んで、1ヶ月が過ぎていた。

 彼女はウォードの手紙を受け取った後も、娘のルールーだけを船で実家へ送り出し、自分は都に残って感染者達の世話に奔走していた。そして感染し、死んだのだった。ウォードが受け取ることができたのは、骨壺に入った一握りの骨だけ。

 『本当に良う働いてくれたに、まこと、済まぬじゃった』

 医者から謝罪されても、ウォードにはどうすることもできない。そして、その半月後。

 娘のルールーも死んだ。

 北の氷洋にある海豚殻イルカガラ・泡環紋の本拠地『瑠璃宮ルリノミヤ』から、小さな亡殻ナキガラだけが青京へ送り返されてきたのだ。

 伝染病から逃れるため、お付きの女中と共に船に乗り、瑠璃宮ルリノミヤへと出発したルールーだったが、その船内に潜伏感染者がおり、そこから船ごとやられた。しかも公家を気取るイルカどもは、病の蔓延を知るや船の入港を拒否した。同じ海豚殻イルカガラのルールーが乗っていることを知りながら、

 『流れ猿の娘ごとき、我が瑠璃の都が汚れるだけよ』

 と、放置したのだ。結果、船は青京に引き返すしかなくなり、乗っていたカラの大半が命を落としてしまったのだ。

 この非情、いやに、親父オヤジこと渦潮紋ウズシオモンの宗主は、まさに激怒した。

 『白粉おしろい塗りのイルカどもが、思い知らせてやらぁ!!』

 号令一下、船の入港を拒んだ海豚殻イルカガラ紋付モンツきが片手の数ばかり、文字通り羽目になった。他にも瑠璃宮ルリノミヤへの物資搬入の大幅な制限など、同じ渦潮紋族に対するとしては過去に例のない、苛烈を極めた処置が下された。

 加えて宗主みずから、ウォードを始めとする病の遺族たちに、

 『おいらの力が足りねえばかりに、済まねえことをした』

 と謝罪があり、相当額の補償も約束された。渦潮紋族ウズシオモンゾクに連なる者として、ウォードら遺族の面目めんもくは十分に立ったといってよい。

 

 だが、それでもルールーが、キャルルが帰ってくるわけではない。


 ウォードは、表向きこそ紋付モンツきとして振る舞っていたが、心の奥は凍り付いたように動かなかった。明日にはルールーの亡殻ナキガラを火葬し、キャルルと共に葬式を出す、という日になっても、なにか悪い夢でも見ているような気分のまま。

 葬式には親父オヤジも、

 『おいらが目合わせた似合いの夫婦だった。ならおいらの娘・孫も同然よ』

 と、みずから列席してくれる予定だ。となればウォードも、喪主として恥ずかしくないよう身支度し、式を取り仕切らねばならない。

 ちなみに葬式のことはキャルルの実家にも知らせたが、欠席の返事すらこなかった。

 (勝手にしやがれ、だ……)

 久しぶりに我が家に帰ったウォードだが、やはり心は動かない。あれほど暖かく楽しかった場所が、妻も娘もいない今となっては、まるで異国の牢獄のようにしか感じられなかった。

 それでも使用人たちにあれこれと葬式の準備を指示し、やっと自室にこもったウォードを、しかし訪ねる者がある。

 ウォードが知らぬ猫殻ネコガラの若い女で、彼が留守の間にキャルルが雇った使用人の1人だという。

 彼女は、奥様・キャルルとお嬢様・ルールーの死を涙ながらに悼んだ後、告げた。


 『死者を蘇らせる道がございます』


 もし、ウォードがまともな精神状態だったなら、外法に誘うこの女に耳を貸すどころか、即座に斬って捨てたかもしれない。だが今、女が語る話は、止まっていたウォードの心に一つの火を放った。

 (俺にも、まだできることがある)

 どうしようもないと思っていた悲劇に対して、この身体を、この命を使って抗う、そのすべがある。

 母が生み育て、妻と娘が頼りとしてくれたこのカラを、ここで使わずして、いつ使うというのか。

 ぎりっ、と、ウォードの全身に力が満ちた。猫殻ネコガラの女が、一歩下がる。ウォードの身体が、まるで倍にもふくれあがったように見えたのだ。

 『大猿オオザル』ウォードの心に火が入り、身体に熱が巡った。

 そしてウォードはその夜、娘の亡殻ナキガラと愛用の武具だけを持ち、すべてを捨てて青京を立った。

 (待っておれ、ルールー。ととが今、助けてやる!)

 そして今、ここでミーマと相対している。

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