第44話 しばらくの旅立ち

 寮にて一通りの荷物をまとめる。今回は時間がかかる。それなりの装備が必要だった。

 リュックに詰め込み、チャックを閉めた。


「ふぅー」


 一息つく。ベッドに腰をつき、自分の体重を預けた。

 どうしても、すぐに出発…という気分にはなれず、部屋を見渡す。


(物相手に何やってんだろうな…)


 いざこの安寧の場を離れることに名残惜しいと感じてるみたいだ。コンウィル《あっち》もこっちを調べているようだし、例えあの執事がうまくやったとして、もって数日程度だろう。

 ベッドから腰を上げ、リュックを背負った。






「蓮〜」


 寮から出ようとして、フィーベルたちに待ち伏せされていた。


「お前ら…マジか?」


 割と真剣めに聞いてみる。来るかもとは思っていたが、これが最終確認だと思った。

 命がかかっている。だからこそ、フィーは護衛対象ということを考慮したとしても、疎かになる可能性がある。


「当然だ。もともとそういう命だ」


 葵が真顔で返す。何を言ってるんだとでも言いたげな顔をしている。


「私は守られる義務がありますからついて行きますよ」


 約一名、ピクニックに行くようなテンションの奴がいるが…。ま、まぁいい。


「言っておくが、護衛に任命してもらってなんだが目的の優先順位が今は高くない。…ええと、つまり…」

「分かってる。だから私が行く」


 またしても文句ある。と高圧的だ。


「そうか。じゃ、任せた」


 淡白に言い返し、歩き出す。


「おー!」


 やめてください。

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