第27話
相手の姿は見えるものの、いくら瞬間移動で後ろをとって切ろうが、ブレるのみで一向に決着が見えてこない。
とはいえこのまま持久戦に持ち込まれると困るのは当然俺だ。わからないが俺に違いない。それだけ俺には策がないし、魔力量も今はない。
かつジュークは顔がチラチラしか見えないけれど、辛そうな顔は一切感じられない。それどころか俺を睨みつけるだけの余裕が見てとれる。
(このままじゃ終われないだろ…)
このままではらちがあかないので、ドラゴンを攻撃することにする。これもやることは同じで瞬間移動でドラゴンの死角に入り、傷を入れていく。高速でそれを繰り返す。
ドラゴンには痛みに対する反応があった。苦悶の表情を見せ、むやみやたらにブレスを吐く。
当然当たることはなく、ドラゴンとの距離をとる。だとしてもジュークの顔色は変わらない。まるでドラゴンは捨て駒とでも言いたげな顔に見える。
だんだんイライラしてきた。自分の中の血流が早く回り出してかぁぁと身体中が熱くなるのが自分でも分かる。
ドラゴンへの攻撃を増やす。咆哮を行い、明らかにダメージを食らっているのが分かる。
トドメとばかりに剣を伸ばして首を落とした。
血が吹き出し、巨大な首が地響きを立てて落ちた。
「………」
別にガッツポーズを取りはしない。次に備えて、ジュークの方を見つめる。もちろん、ドラゴンを構っている間にこちらに何かしら仕掛けてくる可能性だってあったからだ。
「用心深いな」
不意に呟くようにジュークが口を開いた。
「臆病なも……あ、え?……」
屋上をにいるジュークに向かって臆病なものでねという間も無く、後ろから何かを刺されたのを感じた。即効性の毒なのか瞬く間に身体が動かなくなった。動かなくなるその瞬間に顔だけ後ろを向くとそこにいないはずのジュークが立っていた。
「どう……して……」
さらに掌底で意識を刈り取られる。俺にはその言葉を言うので精一杯だった。
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