第24話
「ちっ、気づかれたか」
黒づくめの男の手に掴まれている感触はなく、あるのは優しく手を握られている懐かしい感触だった。
「遅れてすまん。頭が回ってなかった」
「いえ、十分です」
優しく手を解く。ギリギリ間に合ったのか定かではないが、敵らしき者とフィーベルを分断することには成功した。
「相手は手負いだ。さっさとやるぞ」
男の一人がそう言うと剣を取り出して俺に向かって斬りかかる。その一閃に迷いはなく、確実に俺を亡き者とすべくやっていることがよくわかるものだった。
つまり、こちらも本気を出しても良いと言うことを意味していた。
「………が……」
一瞬で男たちの背後に回り、短剣で首に横薙ぎを加える。男たちの首から血がほとばしり、その場に倒れた。
「ふぅ………悪い、部屋を汚しちまった。こんな戦いしかできなくてな」
正直、フィーベルの顔は見たくなかった。この戦い方を見た者は少なからず良くて絶句で済むか、悪くても気持ち悪くなる者のどちらかだ。
その反応が正しいのだと流石に何人にもやられてしまうと思わざるおえなかった。今ではそっちの側にも一定の理解はできるつもりだが、だといってうまくやる方法は出来なかった。
「あなたが気を揉む必要はないのですよ。私を守ったのですから、それ以上を望むことはありません。……ありがとうございます。蓮」
急に抱きつかれ、そのように言われた。キツく抱きつかれた彼女の表情を見て少し救われたような気がした。
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