第22話
葵からの情報からまず間違いなく、ナバールは魔法の行使は出来ないと確認がとれた。
かつ、はぐれ魔法師と協力関係にあるのだという。ということであれば今回のあの力は正々堂々ではなく、卑怯な方法をとったものとなる。あちら側もその方法をとったのなら俺もそれに倣って殺るだけだ。
しかし、解せないのはナバールという男は王室直属護衛部隊ルインズの長だということだ。話し方からしても性格は至極真面目な感じがする。実際のところ、ゴードンやナメックに聞いても特に真面目な部類だという話だった。
それがなぜはぐれ魔法師と手を組むかということになるのだが、確実に動機は俺に嫉妬心があったからということは分かっている。したがって俺を殺したい場合にわざわざはぐれ魔法師と手を組む必要はなく、正当なそれこそ王族直属の魔法師や暗部の魔法師に頼めばいい。
百歩譲って、暗部の方には断られたとしても直属魔法師には立場的にも上なので最悪従わせるということもできたはずだ。
「なぁ。俺を亡き者にしたいなら護衛部隊で倒せばいいよな?」
「はぁ? 護衛は動かせないわ。基本的に女王のいる場所からは動けないもの」
「そうなんか」
ということははぐれ魔法師を使わなければならなかったことに納得はいく。
「じゃあ、魔法付与をする場合の有効範囲ってどのくらいだ?」
「ええ? えっと、直接なら確実に付与するものを視認しなきゃいけないけど時限式とかにしておけば実質その場にいなくても可能なはず」
「……そうだなぁ。確かに周りに人の気配はなかった」
「ああ、ちょっと待って……連絡」
葵がそう言い端末を取り出し耳に当てる。何度かうんうんと頷いた後、端末をしまった。
その間、少し考えてみることにする。
ナバールの言うことにはぐれ魔法師は二つ返事で承諾するはずがない。なぜなら、女王陛下の意思に背くものの配下であるナバールに好意を持つはずがなく、むしろ倒すべき一人と考えるはずだからだ。
「アジトらしきものが見つかったらしいわ。今、先輩たちが潜入しているみたい」
「ということは……奴等の狙いは……っっ!!」
「ちょっとなんで戻るのよ⁉︎」
嫌な考えが浮かんで、全速で蓮は寮へと戻ることにした。
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