2章4話
終礼後
「終わった終わったぁ!」
「終わったなぁ」
翠が伸びをしながら嬉しそうに叫んだ。俺はそれに賛同しながら帰り支度をし始める。周りの人もだんだんと支度をし始める。
支度をしている途中、俺の一つ前の席の男子が声をかけてきた。
「なぁ、佐々!細川!今日遊ばね?」
「はぁー?メンドー」
「えっと…?」
「あ、
「よろしく」
「おい、間島、お前どうせまた今日も補修なんだろ?」
「聞いて驚くなよぉ、細川!今日は模試で補修なしだ!」
「模試じゃなかったら補修ありなんだ…」
「そういう事になるな」
「う、うるせぇ!とにかく!遊ばね?」
翠、間島と話しているとどんどん周りに人が集まってきていた。1人、2人となり最終的には10人くらいの男子が周りにいた。
「おい、間島!1人だけ自己紹介してんじゃねぇよ!」
と、誰かが笑いながら言った。俺が高校生だった10年前とは違うが、男子高校生らしい彼らを見ると楽しかった。
「とりあえず暑苦しいから寄ってくんなよ、運動部!」
翠が周りを見て少し笑いながら叫んだ。
「もうとりあえず外出よう!そこから考えようぜ!」
間島がそう言うとちらほらと賛同の声が聞こえた。各自席に戻り、帰り支度を済ませ「昇降口でなー」と言って教室から出て行った。俺は翠、間島と一緒に昇降口まで行った。途中で教師とすれちがい、間島が焦っていた。翠曰く、その教師は間島の補修を担当している人らしい。
昇降口に着くと、既に男子ほぼ全員が集まっていた。もちろん、教室で見た眼鏡をかけた秀才のような人はいなかった。
「おまたせー!」
「おせェよ、間島」
「なんで俺だけだよ!」
「どうせお前がクマくんに捕まったんだろー?」
「クマくんって?」
「さっきの先生。熊本先生で、クマくん」
ふざけ半分で笑ったり背中を叩いたりする男子たち。見ているだけで面白いと思う。それはきっと佐々アカネとしての記憶や感情の方が多くなっているからなのだろう。
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