2章2話
「失礼します」
職員室広いな。俺が高校生の時の職員室なんて通路狭かったし、何より教師自身が狭いと愚痴を言っていたのを聞いた事がある。
「あ、佐々アカネさん?」
「はい」
綺麗な女性だった。歳は佐藤一樹と同じか年下くらいだろう。
「男の子だったんだね!アカネさんって言うから女の子かなって思っちゃった。生徒のデータちゃんと見てなかったからかなぁ」
少し照れながら言う教師。後でちゃんと見ておこう、と一人呟いていた。
「えーと、私は3年1組の担任をしている
「よろしくお願いします」
「この時期に転校って大変だね。3年生だし、佐々くんは受験するの?」
決めてなかったというか、考えてもいなかった。どうしようか。後で凛に相談してみようか。
「あ、ごめん!会議だ!職員室隣の部屋で待っててもらえるかな!10分くらい!」
「はい、ありがとうございます」
話す時間が短かったのは俺が少し遅れたからだろう。申し訳ない。
早く出て、と言うように職員室から追い出された。職員室隣の部屋で待っていろと言われたので少し辺りを見回した。右の方の部屋だろう。左は保健室だった。
部屋に入り、荷物を置いた。椅子に座ってから小さく深呼吸をし、小さな声で凜を呼んだ。
「凛」
「どうかされました?」
先程まで廊下にいたのか、ドアを開けずにドアを通り抜けて入ってきた。凛曰く、「人間の作ったものは死神に効きませんから!結界やら何やら言ってますが。これでも死神は神なのです!」と、自分が死神であることを誇らしく言った。
俺は気になっていたことを聞いてみた。
「俺は進路をどうすればいいんだ?」
「そうですね。アカネさん自身が決めていいですよ。ちなみに元々のアカネさんは中堅私立大学を目指していたみたいですよ」
そういえば、凛は佐々アカネの学力については言ってなかったな。
「佐々アカネの学力ってどのくらいなんだ?」
「それに関しては、本日いきなりですが模試があるようなのでそちらで。佐々アカネさんの知識と、佐藤一樹さんの知識がまだあるはずですので」
「え?」
「知識というのはどんどん薄れていくのです。あなたから佐藤一樹さん、という方としての知識や記憶はどんどん消え、最終的には佐々アカネさんの知識と記憶しかなくなります。安心してください、佐々アカネさん結構頭良かったですよ」
知らなかった。それもそうなのか?薄れないと人生堂にある俺の人生に知識がなくなるとか?
「まあ、そういう事なので、今日の模試頑張ってみてください」
「分かった、ありがとう」
「では私はこれで、もうすぐ担任の方が来ますよ」
「そうか」
本当に少ししたら石原先生が入ってきた。
「佐々くん待たせてごめんね。いきなりで悪いんだけど、今日模試があるの…。受けられるかな?」
「やってみたいです」
「わかった!頑張ってくださいね!じゃあ教室行こうか、少しだけ自己紹介してね」
「わかりました」
石原先生の後ろをついていく。教室は2階、階段上がってすぐ。先生が教室に入り、俺は廊下で少し待機。呼んだら入ってきて、という定番な感じ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます