2章1話

「アカネさん!朝ですよ!」

朝?まだ寝かせろよ。

………アカネ?誰だ……?

「!!」

ガバッと布団から起き上がり時計を見た。

8時10分前。始業は8時35分だが、転校初日という事で8時には職員室に行かなくてはならない。

「遅刻しますよ?」

宙に浮きながら心配する凛。服装は市役所に行った時と同じ和服だ。

そんな事はどうでもいい!!急がないと本当に遅刻する!転校早々遅刻とか笑えねぇよ!

そうだ、俺今までニートしてたから朝早く起きる事なんてほとんどなかったんだ…。

「ぼーっとしてないで早く準備してくださいよ、アカネさん」

「ご、ごめん!ここから学校までどのくらい!?」

「歩いて10分ちょっとです。走れば5分くらいで着きます!急いでくださいね!」

先日市役所へ行った時にもらった資料をパラパラと開き教えてくれる凛。俺が見ても何が書いてあるか分からなかった。その資料も特別な細工がして合って人間には見えないのかと思ったが、ただ単に日本語では無いだけだった。

慣れない制服に腕を通した。ただでさえ学ランには慣れていなかった。中学高校とブレザーだったから学ランというものに憧れていた。

高校3年の5月、とても中途半端な時期に転校(仮)。新しい高校では、普通科と国際科の2つのコースがあり、俺は普通科。転校手続きや諸々は全て秦がやってくれたらしい。

それから急いで支度をし、家を出た。

「凛!変じゃないか!?」

「問題ないですよ、似合ってます!」

走りながら聞くと、飛んで追いかける凛は笑顔を作り答えた。

学校には難なく到着。

職員室の前に着いた時、凛が俺を引き止めた。

「アカネさん。外にいる時の私は他人には見えません。なので極力お話しないようにお願いします。どうしても急な用事がある場合は小さな声で私の名前を呼んでください」

「それで大丈夫なのか?」

「死神をなめないでください」

へへん、という感じで胸を張る凛。その後すぐに、「先生をお待たせさせてはダメなので行ってください。私はここで待ってますから」と言い、手を振った。手を振り返し、俺は職員室に入った。

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