1章9話

市役所に着くと、凛に少し待っていてくれと言われた。

凛は一番右の窓口に行き、係員と話していた。数分すると、凛はこちらに戻ってきた。

「ただいま戻りました。行きましょう、ついて来てください」

凛がさっきいた窓口に行く。

「では、お願いしますね」

「はい。少々お待ちください」

係員が少し席を外し別の係員がやってきた。

「合言葉はァ?」

やる気のなさそうな声で聞いてくる係員。眼鏡をかけ、綺麗な茶色のミディアムパーマというのか、その髪を無造作にまとめ上げている。眼鏡で見えにくいが、かなり綺麗な女性だ。

そこはいいんだ、そうじゃなくて、合言葉ってなんだ?

EinsアインスZweiツヴァイDreiドライ

「あー、凛ねェ。久しぶり、かなァ?データ新しく作るから待ってねェ」

「ありがとうございます」

「あ、あの、凛?」

「なんです?」

「ここは?」

「市役所ですが?」

いや、そうではなくて、だな…。

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