第二部 『fragments/line』

fragment.00 『夢と現』


 夢はいつか覚めるの?

 覚めるから、夢と呼ぶの?

 覚めない夢はあるの?

 覚めない夢を現実と呼ぶの?

 現実と夢の位置関係を教えて?

 夢はいつか現実となるの?

 覚めない夢は現実と等価なの?

 そもそも価値とは何?

 何にとっての価値なの?

 誰が覚めない夢を悪夢と呼んだの?

 今もそう、呼び続けるの?

 悪夢から覚めようと、別の夢に逃げ込むの?

 今在る夢を現実にしようと努力するの?

 努力は必ず実を結ぶの?

 結実した現実が努力の果てに得たかつての夢なの?

 結実してしまえば、それは夢でもなんでもなく、ただの現実なの?

 それでも悪夢よりはましなの?

 悪夢はどこへ行ってしまったの?

 それとも何処かに、取り残されているの?

 教えて?

 教えないで?

 知りたい?

 知りたくない?

 あなたは何を望むの?

 望みはどこにあるの?

 夢の中?

 それとも現実の上?

 境界を見定めることはできる?

 できなければ、現実と夢の違いはわからなくなる?

 現実とは夢の一形態なの?

 夢と現実を行き来することはできないの?

 できるのならば、その原因は?

 夢とは並行世界に値するもう一つの現実なの?

 並行世界は行き来できるの?

 行き来できないからこそ、並行世界ではないの?

 行き来できるのならば、それはすでに並行世界ではない?

 ただの異なる世界なの?

 でも何故、似ているの?

 夢を通じて移動できるの?

 夢とは何?

 現実とは何?

 元々並行世界であった異世界との接点が夢の境界として表出しているの?

 これは正しい世界の形なの?

 間違った、世界の形ではないの?

 理論上――ありえない世界の形ではないの?

 ありえない世界の形が現れているの?

 何処に顕現しているの?

 それは現実?

 それは夢?

 どちらでもないの?

 曖昧空間?

 仮定現実?

 限定夢?

 それらが基底として存在するこの世界群は、本当に存在しているの?

 答えはそこに、あるの?


 ――この世界群は、もう滅びているからこそ見る、世界の残滓ではないの?


 それを、夢と呼ぶのではないの?

 朝露のように、日が昇れば、ただ消えていくの?


 ここに生きる――夢見る、僕たち――私たちは、本当に、生きているの?

 あなたの生きる、ここは、本当に現実なの?

 現実と仮定される此処も含めて、すべて夢ではないの?


 答えは、どこにあるの?


 何処へ行くの?


 何処へ帰るの?





 ……還れるの?

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