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緑は息子を連れて研究所に到着した。研究所は隣県に近い山の中腹に位置していた。電車とバスを乗り継いで一時間半ほど揺られた。
研究所はお世辞にも綺麗とはいえない建物であった。外壁はやや黒ずんだ象牙色で、いかにも年季が入っていた。建物内は薄暗く、リノリウムの床を進んで、指定された居室の扉をノックした。
中には、白衣を
「ここの研究所の所員をやっております
慣れない研究所と丁寧な挨拶に戸惑っていると、すぐに緑と息子の分の椅子を提供された。息子も緑の内心を反映するかの様に、緊張して俯いていた。
緑はさっそく、用件を福岡研究員に伝えた。
「今まで、よく風邪を引いては長引いたり、ふらついて倒れたりすることがあると。やっぱり内容としては採血をして調べた方が良さそうですね。あと、血液型も調べたいのですよね。同じ敷地内に病院がありますので、お時間がありましたら一度受診して頂きたいと思いますが、よろしいですか」
緑と息子は、併設の病院に案内された。福岡研究員の立ち会いのもと小児科医師の診察を受けた。小児科医師の名前は
小一時間ほど、病院の中で待った。至急でオーダー発行しているが、検査結果が出るまでの間、少々時間がかかるようだった。
しばらくすると、緑たちは呼ばれた。
白井医師によると、息子は、軽度ではあるが赤血球、白血球、血小板のいずれも減少している状態らしかった。赤血球が減少すれば貧血、白血球が減少すれば易感染性、血小板が減少すれば止血困難を伴うので、一つの謎が氷解した。ただし『
しかし、血液型検査はすぐに結果が出た。やはりO型のRhプラスと言われた。自分が間違っているのか。自分もこの際血液型を調べて欲しいと懇願した。
再度その結果を待つと、緑もO型Rhプラスであった。
では理が嘘をついているのか。不貞行為を正当化するために。しかし、あのとき結果報告書を呈示してきた。今回緑が示されたのと同じように。まさか病院と組んで
息子は間違いなく、緑と理の間に生まれた子供だ。緑は白井医師にそう訴えかけた。
「まだいちばん簡便なオモテ試験しかしていませんから。念のためもう少ししっかり調べてみましょう」
白井医師は、明言を避けた。おそらくデリケートな問題と捉えたのだろう。しかし、オモテ試験とは何だろう。医学に
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