【設定辞書】のデータ解説 vol.5


 正直このコーナーそろそろ飽きてきたんだけど ―― 【本音】


 これ以上オレ様に働かせたいならポテトチップスとか貰ってこいよ。


        『真面目にやれ!』

        『……せめて紙にこぼれない奴にしろ!』


 チョコパイでもいいよ。




 輝刃黒白(エンチャントアマルガム) ―― 【勇者技能】


 トロワ・ドゥ・ロアの【我が戯曲こそ真なりアイ・アム・ア・ライト・ライター】によって新しく設定された、表裏一体の魔法剣。

憎悪や嫉妬による「吸収・簒奪」と、誇りや慈愛による「放出・授与」の二つに分かれている。

それぞれの感情に大きく左右され、持ち主には矛盾した想いを相殺せず使いこなすだけの大器が要求されるだろう。


これに限った話では無いが、エンチャント系の能力は本人の感情の揺れ幅によって大きく出力が左右する。

炎は怒り、氷は冷徹さ、風は冒険心、土は決意……では金は?


        『アイツ、誰かに挑戦されることが特に好きなんだよな』


君のこととバニラ・クリームもだぜ?




 ウェットシガー ―― 【アイテム】


 薬巻たばこ。薬草、ドライピール、刻んだ桂皮などを巻いて乾かしたもの。火をつけないタイプを指す。

旅中は安価な臭い消しとして活躍し、人の鼻にはなんてこと無いが、獣や虫にはこの匂いを苦手とする者も多い。

フレーバーとしてはレモンやライムの皮がポピュラーで、苦味と辛味のあるものがメイン。実のところ、あまりたばこ葉は含まれていない。

吸い方はまず先端を僅かに水で湿らせ、全体に水分を馴染ませながら吸い上げる。その後、僅かに軟くなったシガーを少しずつ噛み潰す。完全に丸まり、味がしなくなった吸い殻は吐き捨てずに持ち帰るように。

とあるカッコ付けの小便小僧が露骨にとある獣を避けるために吸いだしたのは、本人ははたして覚えて居るのか居ないのか――




 女神 ―― 【人物】


 かつてこの世界を作ったのは彼女とは異なる創造主であり、世界間を漂流していた我らが女神は、彼の箱庭を借りて自分用の生命を育んでいた。

しかし彼女が育んだ生命ケモノは、やがて最初に創造主が作ったまま放置していた世界ドラゴンと激突。その戦いを女神は悲しんだが、創造主は新たな刺激として喜んだ、というのが全ての始まり。

「女神の権能」が生命データの改造、「邪神の創造」が運命シナリオの修正にそれぞれ向いているのは、そんな経緯からであろう。転生者ミキ・マコトの言葉を借りれば、それぞれチートコードとパッチファイルか。

今、「邪神」と名を変えたかつての創造主は、あの手この手で我々生命を消し去ろうと画策している。もはや本来の目的など忘れ、我々にいかにしてデスシナリオを辿らせるかだけに躍起になっている。

無論、我々もただでやられる訳には行かない。「異世界」というバグ利用が今後どう響いてくるか――ま、それこそツケは女神サマがおっ被ってくれるだろう。


 以上、設定辞書データブックことコラムニスト:アイサダ・オホナミ・ツクモメ、ここに記す。


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