第20話
ピンポーン。ピンポーン。
なんだか、チャイムの鳴る音がする。
啓は、うとうとしながら、考えた。
ピンポンピンポンピンポーン!
連打されるチャイムの音。
「うう~ん」
啓は眠い目を擦りながら、起き上がった。
ふらふらと階段を降り、商店街に面していない細道にある玄関を開けると、そこには初花が居た。
「ふぁ~あれ? はつはな?」
寝惚けて平仮名になる発音。
「おはよう! 啓! 基地を作るぞ!」
「んっ~おはようーって、今何時だ? 予定だと十一時、神社集合じゃなかったか?」
「今か?」
初花は腕時計を見て答える。
「五時だ!」
「五時ィ~?!」
「うむ! 朝の五時! 気持ちの良い朝だぞ~!」
「五時って、早すぎやしませんかね。まだ眠る時間ですよ……」
啓は、ドアを閉めようとする。
「興奮しすぎて眠れなかったんだ!」
強引に初花はドアを開ける。小さい体のどこにそんな力があるのかと啓が思う程の瞬間的馬鹿力で、ドアは再び開けられた。
「そりゃあ、楽しみだと眠りづらいですが……俺は眠いのです……」
今にも寝落ちしたくなる啓は、もごもご呟いた。
「行こうよ! 秘密基地! 作ろうよ! 秘密基地!」
初花はハッキリと秘密基地を連呼して、啓を起こそうとする。
「んあ~、秘密基地は……ちゃんと作るけど……寝かせて下さい……もうちょっとでいいから……ふぁ~あ」
欠伸を連発しながら啓が言うと、
「う~む。しょうがない。じゃあ、あと一時間!」
「ん。乗った。じゃあ、あと一時間後に、ここで」
またしてもドアを閉めようとする啓。初花は、ドアを閉められても良いように、自分の体を扉の中に滑り込ませた。
「私も、ここで待たせてもらう!」
「えー。……まあ、いっか」
眠さに負けた啓は、初花の提案を受け入れ、もう一度ベッドに入り、すやすやと寝息を立てた。
初花は、暫く手持ち無沙汰にソワソワ部屋の中を見回していたが、グッスリ眠る啓を見て、自分も眠たくなり、啓の居る蒲団に潜り込んだ。
そして、うとうとしているうちに、睡りに落ちてしまった。
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