080_1840 神々の詩Ⅴ ~騎士槍~
回避機動を取った
やはり戦闘機らしいというか女性らしいというか。
思惑どおりの距離感が作れた。
ならば今度は、引き離す。
「落下! 最初の、合流した地点に!」
『はい!』
だが下方への電磁加速で、すぐさま強烈なGがかかる。
「拡張装備! ブレード!」
『はい!』
十路はそれに耐えながらも、
そろそろ回避ばかりではないだろう。
だから十路は、左腕を振るう。
△▼△▼△▼△▼
『ヤっバ』
そんな障害物が張り巡らされている
それどころか分裂した。樹里の《雷獣
そんな経緯はわからずとも、人間には不可能な知覚速度と思考速度で現象を把握した
『ユーア! 地面ギリギリで陰から出ろ!』
その背で
△▼△▼△▼△▼
『キツいキツいキツいキツいです!!』
「安心しろ! 俺も滅茶苦茶キツい!」
《雷獣
「だけどもういい!」
『はい!』
そろそろ
樹里に指示せずとも、
十路は左腕に装着した無反動砲を展開させ、プラズマ球を複数作成。花のように展開していたが元の形状に戻る。
「叩き落とせぇぇぇェッッ!!」
維持していた《
△▼△▼△▼△▼
『読まれた……!?』
これだけ強電磁波が乱れる戦場では、直接視認する以外、戦況を正確に予測する
だが
十路が放った強結合プラズマ砲は完全に外れるが、樹里が吐き出した弾道上に、
確かにこれまで彼らの攻撃によって、悠亜たちは行動を
プラズマ砲は、亜光速の攻撃方法に比べたら段違いの遅さだが、タイミングまで完璧だった。
《ヘミテオス》の肉体も物質である以上、超高温の強結合プラズマが直撃すれば、消滅させられる。
普通の人間ならば、後悔も遺言の余裕なく、そうなる。
『リヒトくん!』
『おゥッ!』
だが《ヘミテオス》たちは違うと、
直後、小型の核兵器でも使われたかのような爆発と閃光が生まれた。
△▼△▼△▼△▼
バッテリーが空になった無反動砲を投棄しながら、十路は舌を打つ。
(散らされた……!)
プラズマ砲弾に荷電粒子をぶつけ崩された上、
さすがに無傷とは思えないが、継戦能力を奪うまでは至っていないと判断した。
だが十路は構わない。正確にして必殺可能でも、決したなら儲けもの、牽制のつもりで放った攻撃なのだから。
「《バーゲスト》を!」
『はい!!』
「イクセス! 起きてるか!」
【私自身には問題ありません!】
フレームから変形し、走行は不可能だろうが、
「堤十路の権限において許可する! 《
激戦で途切れた脳機能接続を、再び繋ぎ直す。
△▼△▼△▼△▼
『痛たたた……』
《塔》の
悠亜たちがしくじったというより、樹里たちが一枚
決定的な隙が作られた以上、とどめとなる追撃があるのは間違いない。
悠亜が持つ権能――《
『《バーゲスト》と《
『
指定範囲の空間ごと目標を
イクセスの権能、地球上に存在しない二一番目の《
『……違う!』
だが、あれは
なのに
『へ……!』
『来やがれ小僧ォッ!』
△▼△▼△▼△▼
「もういい! 手出しするな!」
『先輩……またですか?』
「単なるひとり
へしゃげたオートバイの積載した、
たった一発だけしか入らない、なのに収容物に見合わない大きさの、
それを手にした十路は、伏せた
「封印解錠……『己の魂以外、己のものとなすなかれ。
パスワードで解放されて現れたのは、放射能標識が打刻された弾丸。
それを銃と化した左腕の、
「俺がケジメつけないといけないだろ」
【その割に私は利用するわけですね】
「悪いが早撃ちのために、道具扱いさせてもらう」
この距離ならば。この状況ならば。最も効果的な超弩級の破壊。あまりにも強力で、その後の影響も大きすぎるため、使った過去は片手で数えられる。なのに堤十路を《
《
単純明快な証明を行うべく、脳内でEnterキーを押す。
「DTC
【Synchronized ready!(同期実行準備完了)】
《
照準が重ねられた十路の視界に、巨大な影が
広げられたコウモリの翼手。ヘビのよう長い首と尾。そして鱗と角の備えた爬虫類の頭部。
きっと
だが十路はしかと確かめることなく。なにかする余裕も与えず。
『受け止められるなら受け止めてみろ』と、脳内で
レーザー爆縮核融合式熱放射砲。指向性を持たせた純粋水素爆弾。
その名を――
「《揺るがざる信念》実行!」
【《Unshakeable faith》run!】
銃弾として装填された燃料ペレットが
太陽フレアが地表を舐めたようなものだ。
淡路島を盛大に
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