森の子らとビブリオドールのお話



  ふらりふらりと

  彼の子らは森に咲く

  ふわりふわりと

  彼の子らは森に踊る

  おお、よしよし

  よい子だ、よい子だ

  大地より生まれ

  大地に根ざし

  大地に還るもの

  全てがおぬしらの兄弟だ

  仲良うするのだぞ




   森の子らとビブリオドールのお話


 あるところに、世界中の全てのものから忘れられた友だちの神さまがいました。ある日のこと、神さまは死んでもなお死にきれず、天の園へも還れず苦しんでいる〝おもちゃ〟の若者と出会いました。神さまは、そのような彷徨う魂たちを救う為にビブリオドールと呼ばれる人形を造り、この世界に送り出しました。彼女は自分の身を守り、時には彷徨う魂を葬る手助けをする契約者の人間と世界中を巡っています。


 今、ビブリオドールはカリオン・シュラークという名の凄腕の元傭兵の女性と旅をしていました。ビブリオドールという名は長いからと、カリオンは彼女のことをセシェと呼んでいました。古い言葉で「書物」という意味の言葉だそうです。


 これは、初夏の風が心地いいとある日のことでした。次の街へ行くための山越えを前に、短い休憩をとっていた二人のところへ、茶色いフード付きのマントを身につけた小さな何かが現れました。


 『フワフワ〜』

 『フワフワ〜』


 カリオンの膝ぐらいまでしかない小さなそれは、ビブリオドールの豊かな蜂蜜色の髪に埋もれていました。


 「……おい、なんだそれは」

 「そんな警戒しなくても大丈夫ですよ。彼らはノーム、土の精霊です。木霊やエコーと呼ぶ地域もありますが、皆同じです。どうやらこの山は、彼らの住処のひとつだったようですね」


 動物も、植物も、もちろん人間も、この世界のあらゆるものは長くて百年の寿命を与えられた、神々の被造物〝おもちゃ〟です。その中でも、精霊は何千とある種の中でまた少し違った〝おもちゃ〟でした。


 精霊は、神々が愛おしみ慈しみ、可愛がるために造った〝おもちゃ〟です。神々の特別な想いを込められて造られたからこそ、彼らは人魚や人狼など、普通の人や動物とは異なる姿をしています。

 また、こうした精霊とともに生きたり、珍しく神々の寵愛を受けたりして、百年の寿命に縛られない例外も世の中にはあったりします。


 『オ日サマノ匂イダ〜』

 『ポカポカダ〜』

 「今日は天気がいいですものね」


 ビブリオドールの髪にほぼ全身を埋めているノームたちは、とても幸せそうでした。ビブリオドールも全く気にしてないどころか、少し嬉しそうでした。

 それを微笑ましげに眺めながら水筒に口をつけようとしたところで、ズボンをくいくいと引っ張られました。目線を下げると別のノームが二体、足にしがみついていました。


 『土ノ匂イガスルネ』

 『土ト鉄ノ匂イダネ』


 フードの下がどうなっているのかは、完全な影になってしまっていて分かりません。ただ、淡く広く光る丸いのが目なのかもしれないと、思うぐらいです。当然口もどこにどんな形でついているのか分かりませんが、かけられた声は片言ながらはっきりとした音でカリオンの耳に届きました。


 『落チ着クネ』

 『落チ着クヨ』


 右足のノームはフードにオレンジ色の糸で花が刺繍されていました。左足のノームは、木の実の飾りがついたマフラーをしています。二体とも手袋はマントと同じ色をしていましたが、ビブリオドールの髪で遊んでいるノームたちは、クリーム色とオレンジ色の手袋をはめていました。


 (どれも同じかと思っていたが、微妙に違うのか。一個体として存在していて、それぞれ判別ができるというわけだな)


 今までビブリオドールと旅する中で、精霊と会ったことがないわけではありません。ただ、会ったとしても一人だけというのがほとんどだったため、一度に何体もの精霊を見るのはカリオンは始めてでした。


 「お前たちは、鉄の匂いが落ち着くのか」

 『? 落チ着クヨー』

 『大好キダヨー?』

 「……そうか」


 カリオンにとって鉄の匂いとは、血と剣の、まさしく争いの匂いでした。今は遠ざかっていますが、いつでも焼けた戦場の匂いを思い出すことができます。

 感傷に浸っていると、今度は背中にポスンという軽い衝撃がありました。


 『ダッテ鉄ハ土カラ産マレルノー』

 『土ハ鉄モ産ムノー』


 さっきまでビブリオドールにくっついていた個体です。それが今はカリオンの背中……いえ、肩につかまって足をプラプラさせていました。


 『鉄、キライ?』


 右肩のノームの言い方が、悲しそうに聞こえたのはカリオンの幻聴でしょうか。


 (武器を作る鉄鉱石は、土の中にある。だから土の精霊にとって鉄は、兄弟のようなものというわけか)


 ふっと小さく、ため息のような音をもらしてカリオンは眉を下げると、右肩のノームの頭を撫でました。


 「いや……。悲しい使い方ばかりでもないな。鉄は人の生活においてなくてはならないものだと知っている。嫌いではないさ」

 『ヨカッタ〜』


 撫でられたノームは嬉しそうに、また足をパタつかせていました。ところがそれを見た他のノームが、我も我もと頭を差し出してきました。


 『ナデナデスル?』

 『ナデナデスルノ?』

 『ナデナデスルー』


 グリグリと頭を肩や足に押し付けられて、少しくすぐったい気持ちです。


 「お前たちが嫌でなければ……」

 『イイヨー』

 『イイヨー』

 『イイノー』


 許可ももらったので、足下のノームたちを潰してしまわないように膝を折ると遠慮なく、ただし力加減を間違わないように慎重に手を伸ばしました。真綿のぬいぐるみとも、ブリキの人形ともまた違う、不思議な感触でした。

 それを楽しんでいると、傍までやってきていたビブリオドールが笑顔を浮かべていることに気がつきました。


 「……何か言いたそうだな? セシェ」

 「いいえ。ただ、館長さんは意外と子どもに好かれますよね、と思って」

 「……ふん」


 照れたのか、どうしたらいいのか分からないのか、カリオンはそっぽを向いてしまいました。それを見てまた、ビブリオドールは笑みをこぼすのです。

 しばらくそうしていましたが、やがてビブリオドールは思い出したように手を打ちました。


 「そうそう、館長さん。ノームたちが山越えの近道を教えてくれるそうですよ」

 「近道?」


 カリオンがいぶかしげに眉を寄せると、彼女の周りの四体がいっせいに口を開きました。


 『ソウダヨー』

 『近イヨー』

 『ナイショノ道ダヨー』

 『アッチアッチー』

 「そうか、それは助かるよ」


 出発のために立ち上がりながら荷物へ手を伸ばすと、肩に乗ったノームたちは楽しそうに体を揺らしました。さすがにもう足にはしがみついていられないと分かった他の二体は、ふわっと浮き上がるとカリオンの腰に抱きつきました。


 「……それでいいのか」

 『イイノー』

 『イイノー』

 「……そうか」


 どことなく楽しそうなノームたちに、カリオンは何も言えないのでした。



 ノームたちの案内に従って、森に入ってしばらくが過ぎました。うっそうと木々が茂っており、吹いてくる風はどこか湿り気を帯びています。


 ノームたちの住処というだけあって、森に入ってからしばらくすると色とりどりのフードを身につけたノームたちと出会いました。あちらから、こちらから、ぴょこぴょこと顔をのぞかせるノームたちは、緑と茶色で埋め尽くされた視界に彩りを与えてくれる花のようでした。


 もっとも……


 「少し地面が湿っているな」

 「ええ。……フッフ。ここは雨も少なくない地域ですので……フッ、その影響でしょう……」

 「これだけ立派な木が生い茂ってたら、日の光も地面まではなかなか届かんか」

 「この山は珍しいぐらいノームが多いので……フフッ……百年以上育っている木もあるでしょうし……フフ」

 『アルヨー』

 『イッパイアルノー』

 『ミンナ大好キダヨー』

 「ノームはここ以外にもいるのか?」

 「ええ。実は世界中のいろんなところに……フフッ」

 「……セシェ」

 「はい」

 「笑うのはあとにして、まずは助けてくれないか?」


 ついにカリオンは足を止めました。すぐ後ろを歩いていたビブリオドールも、口に手をあてたまま立ち止まりました。


 「いいじゃないですか、減るものでもありませんし」

 「私の中の何かが減っている気がするぞ……」


 ややげんなりしたように訴えるカリオンの上半身は、今やたくさんのノームにしがみつかれて見えないほどでした。背中にぶら下がるもの、胸にしがみつくもの、頭に乗るもの……。


 「たいした重さはないし、視界を邪魔されているわけでもないから歩くのに支障はないんだが……なあ?」

 「元々ノームは、人好きのする精霊なんです。ですが精霊を見ることができる人は非常に少ないので、館長さんが見て、しゃべってしてくれるので、余計にくっつきたくなるのかもしれませんね。懐かれてよかったじゃないですか」


 内心ではとてもかわいいと思っているビブリオドールですが、そこはカリオンの心情を慮って言わないことにしました。とはいえ……


 「お前ら、私に乗って何が楽しいんだ?」

 『楽シイヨー?』

 『楽シイヨー』

 『エヘヘ〜』

 「なんでだ……はあ……」


 小さい子たちに懐かれて戸惑う不器用な大人カリオンという光景は、めったに見れないものですからついつい、微笑ましくて笑いが止まらないのでした。


 『アソコダヨー』

 『アッタヨー』


 ふいにノームたちが指差した先には、ぽっかりと黒い穴が大きな口を開けていました。穴の上には苔むした木々や自由に生えた草花が謳歌しており、簡単には崩れないだろうという堂々とした雰囲気がありました。


 「近道というのは、まさか天然の地下通路か?」

 「そのようですね。たしかに、登って下りてするよりも、山の中を真っ直ぐに進んだほうが早いでしょう」

 「だが、これでは暗くて前がよく見えないぞ。燃料の予備はどれくらいあったか……」


 入り口の縁に膝をついて覗き込むとカリオンはそう言いました。日光が一切当たらないせいか、吹いてくる風は本来の季節にあわないほど冷えたものでした。

 夜目にはそれなりの自信があるカリオンでしたが、一粒の星の光もない洞窟ではたとえ目が慣れたとしても、そのまま歩くのは危険でしょう。


 『大丈夫ダヨー』

 『大丈夫ナノー』


 するとカリオンにくっついていたノームたちがいっせいに離れて、宙に浮きながらそんなことを言いました。理由は問うまでもなく、


 「……ッ!」

 「……光?」


 それぞれ小さな光を灯したノームたちが、穴の中へ入っていったからです。そのおかげで、足下から天井の岩盤まで、はっきりと見えるようになりました。


 『明ルイヨー』

 『明ルイノー』

 「……まったく、至れり尽くせりじゃないか」

 『?』

 『?』


 多少の申し訳なさと居心地の悪さを感じたカリオンでしたが、無邪気にもノームたちが揃って首を傾けているのを見ると、毒気もすっかり抜けてしまうのでした。


 「可愛いなら可愛いままで、美しいなら美しいままで。何も疑わず、生まれたときのままでいることこそが、精霊が精霊たる所以ですから。ありのままの彼らを受け入れてください」

 「感情的な人間とは違うというわけか。なんてやりづらい……」


 そう頭を抱えるも、いつまでもこないのにじれて袖を引っ張るノームの姿に、やはりため息を堪えることはできませんでした。


 『行カナイノ?』

 『行カナイノ?』

 「……いいや、行くとも。案内をよろしく頼む」

 『ウン!』

 『ウン!』

 『任セテー!』


 気持ちを切り替えて穴の入り口に立っても、階段のようなものは何もありません。本当に人の手が入らないまま、できた当時の姿のままなのでしょう。

 ぽろぽろと崩れる柔らかい土の縁から底までを重点的に照らしてもらい、水などが溜まっていないのを確認すると、カリオンはまず荷物を投げ落としました。そしてビブリオドールを片手で抱き上げると、危なげなく斜面を滑り降りました。


 「ありがとうございます、館長さん」

 「いいや、気にするな」

 『行クノー』

 『行クノー』

 『行コー』


 ビブリオドールを下ろし、かわりに荷物を背負うやいなや、ノームたちはカリオンの周りをぐるぐると回りだしました。


 「ああ、分かったから落ち着いてくれ……」


 ノームたちの先導で歩き出してすぐ、カリオンは靴底を伝ってくる地面の感触が変わったことに気がつきました。穴から下りてすぐのところは、外とさほど変わりません。少し湿った柔らかい土でした。それがどうでしょう。今では、まるで霜柱のたった畑を歩いているかのような、ザクザクと言う音がしています。


 息を吸えば、肺に届くのはひんやりと少し重たい空気です。胸を圧し潰すほどでもなく、凍てついた針を突き刺したような痛みでもなく。さりとて、放っておけば少しずつ体の中から熱をさらい続けるのだろうと思わせるような空気でした。


 穴の入り口に立ったときから、この中が外より一度も二度も気温が低いことは察しがついていました。それがどれほどのものかと思ってはいましたが、どうやら早々に荷をほどいて防寒具を出さなければならないようです。


 「セシェ、お前も着ておけ」

 「……ああ、そうですね」


 コートやマフラーを渡せば、ビブリオドールは一瞬きょとんとした様子でしたが、すぐに受け取って身につけました。その顔を見て、ビブリオドールの体が陶器でできた本物の人形のように熱を持たず、暑さも寒さも特に感じない体であったことをようやくカリオンは思い出しました。


 人の目があるところでは、不審がられないためにも相応の格好をしますが、ここは当然そんなことはありません。だからこそ、返事をするまでわずかに間があいたのでしょう。


 ですが、ビブリオドールは知っています。カリオンだけでなく、これまでの「館長」たちが自分に向けてくれたこの特別な理由のない、当たり前のように振る舞う、自然な行いを「優しさ」というのだと。

 ビブリオドールは大母の代行者として荒れる精霊を鎮め、傷つき彷徨う魂を慰め天の園へ葬るために、慈悲深いものとして造られています。だからこそ、そうではない彼女たちの、それまで生きてきた中で育まれてきたこの優しさがいっそう素晴らしいものだと思えるのです。


 (感情は理屈ではなく、全ての行動に理由を付けることができるはずもなく。それが時に愚かで時に愛おしいから、きっと神は〝おもちゃ〟を支配するのではなくあるがままに任せているのでしょうね)


 ビブリオドールとカリオンが揃って一旦足を止めたので、ノームたちも動きを止めました。そこでカリオンたちがさらに服を着込んだのを見て、ふよふよと寄ってきて言いました。


 『寒イノ?』

 『寒イ?』

 『寒イノ?』

 「まあ歩いていたら、そのうち暑くなるかもしれないけどな。今は、そうだな。予防というか、風邪を引いたり調子を崩してからでは遅いからな」

 『フ〜ン……』

 『フ〜ン……』

 『ソウナノ……』


 ノームたちは顔を見合わせると、その内二体が体を小刻みに震わせ始めました。カリオンたちが驚いた様子で見守っていると、やがて落ち着いた彼らはそれぞれカリオンとビブリオドールの元までやってくると、その胸元にピタッと張りつきました。


 『アッタカイノー』

 『アッタカイヨー』

 「……たしかに」


 沸かしたお湯とも照らされた日差しとも違う温かさです。ゆっくりと時間をかけて全身を巡るこの温かさは、人肌のようだと喩えるのがもっともふさわしいでしょう。


 「そういえば、日当りのよい土地の土は、夜になってもしばらく温かいものな」

 「はい。土は温かさを保ってくれますから、寒冷の季節を越えるために冬は土の中に潜る生き物もいるといいます。土の精霊であるノームもまた、温かくなることができるのでしょうね」

 『アッタカイデショー』

 『アッタカイデショー』

 「ああ、温かいよ。助かる」

 『エヘヘヘ』

 『エヘヘヘ』


 カリオンに礼を言われたからか、二体のノームはご機嫌な様子です。


 胸元に張りついたノームですが、ビブリオドールだと両手で抱えてちょうどその位置に来るのに対して、カリオンは両手を自由にしておきたい考えでしたし、そもそも彼女とノームの体格差を考えると胸元というのは非常に抱えづらい場所でした。なので今、ノームはカリオンの前ボタンを閉めた上着の中に入って、顔だけ外に出している状態に収まっていました。


 (犬や猫ならいざ知らず、精霊を懐に入れて暖をとる人間など、世界を見回しても私ぐらいだろうな)


 そう呆れていたカリオンの耳は、ピチャン……というかすかな水音を捉えました。


 「どうかしましたか?」

 「いや、今……水音がしたような気がするんだが」

 『聞コエタノ?』

 『聞コエタ?』

 『聞コエタノー』


 ノームたちが嬉しそうにぐるぐるとあたりを飛び回りました。


 「ここは山の中ですから、きっと土からしみ出してきた水が垂れたのでしょう。相変わらず驚くべき聴覚をしてらっしゃいますね。……あら」


 ビブリオドールが面白いものでも見つけたように声をあげたので、何事かとカリオンも同じほうへ目をやりました。ノームたちのほのかな光に照らされて浮かび上がったのは、行く先にポツポツと並んだ半透明の氷の塊でした。


 「なんだ、これは?」


 手近にあった人の拳大ほどの氷を取ろうとしゃがんだカリオンでしたが、まるで地面とくっついているかのように氷は少しも動きませんでした。


 「氷山でもないのに、こんな氷の塊があるとはな。驚きだ」

 「きっとしみ出した水が氷になったのではないでしょうか。地下であることに加え、入り口も日が差す場所ではありませんから、きっとここの気温は今よりずっと冷えるときもあるはずです」

 「水が凍ってしまうまで、か。……だが、だとしたら一体どれだけの時間が経てばこんなにも大きくなるんだ?」


 カリオンが今、手を添えている氷は人の握り拳ほどの大きさです。顔をあげれば、ノームたちが氷の柱に自らを写したり順番に飛び越えたりして遊んでいました。一番大きいものでも、ノームの背に届かないでしょう。


 それを小さいというのは間違いです。人の手で氷を作るときは、その大きさも形も水を入れる器によってある程度自由にできます。ですが、もちろんここにそんなものはありません。

 落ちてきた水滴がたまたま重なり合い、凍らされてはまた重なって、そうやって少しずつ大きくなってきたのです。形は歪で小さくとも、まるでこの氷の中に「時」という実体のないものが閉じ込められているようだと思えば、その凄さも少しは伝わるでしょうか。


 「百年か二百年か……あるいはもっと長く。世界の自由な流れの中で、これらは生まれたのです。ある意味では、神話で語られる『おもちゃが勝手に動き出してしまった』ときに匹敵するぐらいの、神々の思惑を越えた現象かもしれませんよ」


 感慨深げな表情で、ビブリオドールはノームと一緒に氷の柱を撫でました。


 「……神話に曰く、好き勝手に動き出して繁殖を始めた〝おもちゃ〟に対して、神々は箱庭のような世界から溢れ出してしまうことを心配した。だからこそ〝おもちゃ〟には百年の寿命を定め、その事態を防ぐことにしたという。落ちてきた水が固まったぐらいでは、神々も動かないだろう。何か起こるとは思えないが?」

 「そういうことではありません……。これは、大地が生んだ奇跡ともいうべき偉大なものです。神秘的で数奇な巡り合わせによってこの世に出来上がったこれに、もう少し他の感想とかはありませんか?」

 「そうはいわれても……」


 カリオンは困ったように頬をかきました。


 「多少は感嘆に値すると思うが、お前ほどの感動はな……」

 「そうですか……」


 そう答えたビブリオドールの横顔は、珍しくどこか不満げというか、少しすねたようにも見えました」


 「……なんにせよ、足下にこれだけ凹凸が点在しているとなると、さらに注意して進むべきだな」


 改めてあたりを照らしてくれているノームたちに礼を言うと、みんな体を弾ませながらさらに奥へと案内し始めました。



 それからどれくらい歩いたでしょう。体感的には、そろそろ夕食時かもしれません。

 何度目かの休憩のおり、カリオンは風の匂いが変わったのを感じました。かすかに薫るそれは、冷え冷えとした氷の匂いに混じった、滔々と流れる川の水の匂いでした。


 「出口が近いのか?」


 懐のノームに聞くと、何度も首を縦に振りました。まるでカリオンの鋭い感覚を賛辞しているようです。


 「よく分かりましたね」

 「ここの冷えきった空気に鼻が慣れていたからな。妙に温かなこの匂いは目立つ。ただ、出口が近いにしては外の光がまったく見えないな。この先はそんなにも曲がりくねっているのか?」

 「もしかしたら、とうに日が沈んでしまっているからかもしれませんよ。お昼からここに入って、もう何時間も経っていますから」

 「なるほど、そうか」


 はたしてその言葉通り、長い地下道を抜けた先は、とっぷりと日の暮れた河原でした。


 「ああ、今夜は良い天気のようですね。星がとても綺麗に見えます」

 「雲ひとつないな。上流で雨が降ったときの増水が、河原のキャンプで一番恐ろしいところだが、これならその心配はなさそうだ」


 ここは、二人が越えようとしていた二つの山の境を流れる川のようです。かなり幅が広く、その流れはゆったりと穏やかです。また、ドオォ……という身体の内へ響くような重い音もするので、近くに滝があるのかもしれません。


 「それにしても、夜の川辺だというのにまったく寒くない。むしろ、温かいぐらいだ」

 「すっかりあの地下道で体が冷えてしまったのかもしれませんね」

 「そうだな。……ところで、お前たちは何をやっているんだ?」


 防寒具を脱いで荷物の中に片付けながら、カリオンは後ろを振り返りました。そこには、いつの間にどうやってか集めてきた太さもバラバラのたくさんの枝を、井の形に組んでいるノームたちがいました。


 「篝火でも焚く気か。火をおこすのに、そんな大きな組み木はいらないぞ」


 呆れたようにそう告げれば、ノームたちはいささかショックを受けたようでした。

 無情にも必要最低限の小さな火だけをおこしたカリオンでしたが、しょんぼりしているノームたちには少しばかり良心が傷みました。試しに干した果物などをわけてやるとノームたちの機嫌は直ったようでしたので、そっと胸を撫で下ろしました。



 うっすらと靄が漂う朝。白く明るくなった視界で、カリオンは今自分たちがいる場所の全景を知ることができました


 「これはまた、凄いところにいたものだな、私たちは」


 山と山の間の谷ということは昨夜の時点で察しはついていましたが、改めて見回すと、断崖絶壁の底だということが分かりました。

 カリオンたちがいるこちら側にはまだ、木々が育っている一角がありますが、向かい側にその気配は、少なくとも目に見えるかぎりでは、ありません。ただ滑らかに見える白い壁が延々と続いています。少し上流にある、勢い衰えることを知らぬように流れ落ち続ける滝だけが、水墨画のように静謐なこの場を動かしている唯一のものでした。


 「昨日の夜までに頂上へ着いているつもりが、山ひとつ越えているのだから行程は上々といえる。だが、問題が次の山までどうやっていくのかということだな」

 「吊り橋が何ヶ所か架かっているからと、前の街の方はおっしゃっていましたね」

 「ああ。地図によると、おそらくもう少し上流か下流にあるはずだ。ただし、仮に吊り橋が見えたところでどうやってそこまで上るかという問題もあるわけだが……」


 地図から顔をあげると、ノームたちが二人を手招きしていました。上流へ向かうようです。


 「今日は何を見せてくれるのか、少し楽しみですね」

 「そうだな」


 大小様々な石が集まってできた河原は少し歩きづらく、自然と二人の歩みは遅くなりました。

 日も完全に昇りきり、谷底のここまで光が届くようになりました。湿った靄も、しだいに空中へ溶けるように消えていきました。


 (そういえば昨日の昼で洞窟に入って以降、こんな明るい光は見なかったな)


 そう思いながら朝日に目を細めたとき、ぽちゃんというかわいい音がカリオンの鼓膜を震わせました。

 音の発信源を探して首を巡らすと、ノームたちが小さな石を川へ向かって投げて遊んでいました。


 「水切り遊びか。懐かしいな」

 「やったことがおありですか?」

 「昔、ある傭兵隊に属していたときの暇つぶしに、少しな」


 一体のノームが慎重に投げた小石が、トトトトッと軽やかにたくさんの波紋を描きながら水面を跳ねていったのを見て、固唾をのんで見守っていたノームたちは皆いっせいに両手を上げて、歓声を送っていました。その上手さに、思わずカリオンたちもおぉ、と声をあげてしまいました。


 「館長さんはどうでしたか? うまく投げられていたんですか?」

 「……飛距離は隊の中でも一番だと言われていた」

 「飛距離?」


 首をかしげるビブリオドールの前で百聞は一見に如かずとばかりに、カリオンは手頃な石を拾うと、ひょいと手首を返しました。カリオンが投げた小石は三回ほど水面を撫でたあと、向かいの崖に当たってあえなく川の底へと沈んでいきました。


 『飛ンダー!』

 『跳ンダー!』

 『スゴーイ!』


 ノームたちは口々にそう言いながら拍手を送りましたが、カリオンの表情は冴えません。


 「水切りとは、小石が何回水面を跳ねるかを競う遊びではありませんでしたか?」

 「だから言っただろ? 飛距離は一番だったと」

 「なるほど……」


 そっぽを向いたカリオンに、ビブリオドールは苦笑しか返せないのでした。



 そうして戯れながら歩いていると、ノームたちがピタッと立ち止まりました。


 『アソコダヨー』

 『アソコダヨー』

 『アッチナノー』


 昨日と同じようなことを言いながらノームたちが指差したのは、絶壁の中程から溢れ出ている瀑布の方でした。


 「滝?」

 「いいえ、よく見てください。滝の裏側に、洞窟が見えます」

 「また地下通路か……。さすがにもう驚かないが、その前にどうやってあちら側まで行くんだ?」

 『大丈夫ナノー』

 『大丈夫ダヨー』

 『任セテー』


 ノームたちはえっへんと胸をはると、川へ向かって両手をかざしました。するとなんということでしょう、おおよそ一メートル四方の石が何もないところから次々に現れ、瞬く間に川を横切る細い石橋が出来上がってしまいました。


 「は」

 「まあ、なんと素晴らしい。さすがとしか言えませんね」


 ビブリオドールは惜しみのない賞賛を送っていますが、カリオンは少しの間思考が停止したように言葉を発することができませんでした。ビブリオドールに関することならすっかり慣れてしまった彼女でも、こんな超常現象を実にあっさりとした感じで見せられては、やはりまだ少し混乱してしまうのです。


 『行ク?』

 『行ク?』


 服を引っ張ってくるノームのおかげで我に返ったカリオンは、その頭を撫でながら「ああ」と短く返事をしました。

 おそるおそる白い石橋に片足を乗せましたが、不思議なことにまったく川の流れを感じませんでした。まるでそこだけ、水の流れを切り取ってしまったようです。


 (いったいどんな仕組みになっているのやら……)


 石橋の幅はカリオンからすると多少狭いように思えましたが、不安定に揺らぐことのない、まるで普通の道を歩いているような感覚で、必要以上に警戒することなく無事に対岸へと渡りきることができました。

 そして、


 「……なんだ、これは」


 思わずそんな言葉がカリオンの口からこぼれました。


 入り口の大きさ自体は、昨日とそんなに変わらないでしょう。ただ、昨日は周りに木や蔓があったせいか穴の大きさはそれほど目立ちませんでした。ところが、今日のこれは違います。草の一本だって生えていない、真っ白で平らな絶壁に黒々とあいた穴の存在感は、昨日の比ではないでしょう。


 ですが、カリオンをもっとも驚かせたのはそれではありません。滝から飛んでくる水しぶきに濡れ、折よく差し込んできた朝日によって照らされたその岩の形。それがあまりにも奇怪で、カリオンは呆然と見ることしかできなかったのです。


 「これは……鍾乳洞ですか」


 ビブリオドールも目を丸くして、端から端までじっくり眺めていました。

 「しょうにゅうどう?」


 「はい。雨水や地下水によって岩が削られて出来た洞窟で、どこにでもあるものではありません。わたしも、以前別の場所で二度ほど訪れたことがあるだけです」

 「そうか……」


 入り口から中を警戒しながらうかがっていたカリオンの横を、ノームたちがすり抜けていきました。


 『早ク! 早ク!』

 『行コ!』


 どこかウキウキとした様子のノームに、カリオンは気味が悪いところだとは言えず、黙って彼らのあとに続いて足を踏み入れました。


 入り口からすぐの天井からせり出していた岩の塊をよけることはできましたが、さすがに奥の方までは朝日の光も届きませんので、すぐに視界は鈍く、暗くなってしまいました。

 それを口にするよりも先に、ノームたちは明かりを灯してくれました。そこに浮かび上がったものを見て、今度こそカリオンは絶句して立ち竦んでしまいました。


 『スゴイデショ?』

 『スゴイデショ?』

 『スゴイデショ!』


 細く太く、浅く深く、いくつもの筋が入り、それによって浮き上がった壁面の岩の形は千差万別で。

 ゴツゴツと隆起の激しい天井はどこまでも高く、ノームの灯りをもってしても天辺が見えません。

 溶けたソフトクリームがそのまま固まったような岩。丸みを帯びた岩。たくさんの流れ落ちる雫のような岩。


 土の精霊であるノームにとって、大地にあるものは全て等しく兄弟です。流れる水によって削られ、均され、穿たれ、世にも稀有な姿となったここの岩は、自慢の兄弟なのでした。


 「これが全て、たまたまの偶然でできたもので、しかもそれをやったのが水だと?」


 カリオンとて、水の力をバカにはできないと知っています。大きな巌も流される間にさざれ石となるように。自然に流れようとする水が土を押しのけ岩を砕き、やがて山を割って谷のそこを流れる川となるように。


 けれどそれを知っていてもなお、目の前のものとそれを結びつけることができません。


 「人の手を介さずこれほどのものを……? いや、逆か。人が手を加えていたら、こうも奇怪で不気味で無作為なものなど、作れない……」


 人が何かを生み出すとき、それがどれほど無作為のように見えても、生み出した者のリズムや意図が実は反映されていたりするのです。ましてや、これのように立体像を作ろうとすればなおのこと、作者の考えというものは色濃く出ることでしょう。


 それがここにある岩には、いいえ、この鍾乳洞という巨大な自然の芸術作品には、人が理解できる言語として訴えるものはありません。なぜなら意図のないものによって、偶然そんな形にされてしまったからです。


 「……セシェ」

 「はい?」

 「お前は昨日、氷の柱を大地が生んだ奇跡だと、偉大なものだと言っていたな」

 「ええ、言いました。誰かが何かを命じたわけでもないのに、世界はこのようなものを産み落とす。それは万に一つの巡り合わせですから、なんと尊く素晴らしいのだろうと思いまして」

 「それに、特になんとも思わんと返したわけだが……」


 短く息を吐くと、困ったような笑顔を浮かべて、カリオンは髪をかきあげながら言いました。


 「訂正しよう。たしかにこの世界は偉大だ。まさに圧巻、それ以外の言葉が出てこない。一体どこの誰にこんな真似ができる? まったく……何に対してか分からんが、参ったと言いたい気分だ」


 それがカリオンなりの賞賛だと分かったのでしょう。もしかしたら、感動という心の震えを精霊の純粋な魂はひときわ強く感じ取ったのかもしれません。ノームたちはそれぞれ嬉しそうに飛び跳ねたり心を震わせたりしていました。


 とっさに背を預けていた岩に手を乗せてみれば、ひんやりと冷たく滑らかで、岩石特有のザラザラとした感触はありません。


 (不思議というか理解できないというか……。まさに人智の及ばない領域というわけだ。自分のことしか考えていなかった傭兵の頃からすると、なんか変な感じだ)


 カリオンはまた唇をふっと緩めました。


 自分の知っている場所だけが、ことだけが、世界ではないと分かっているはずなのに。どうしてかそれをいつも忘れてしまうのが人という生き物です。

 だからこそ、こうして畏敬の念さえ思わず抱いてしまうような大いなる自然の一端に触れて、世界がいかに短い生では理解できないものなのだと身を以て知るのも価値あることでしょう。たとえ、その悟りをすぐに忘れてしまうとしても。何にも揺るがされない威風堂々たるその姿が、何度でも人に与える美しい感動は、色褪せないのだから。


 「……水が流れる音がしますね。外の滝に繋がる源流があるのでしょうか」


 片手を耳に添えて言ったビブリオドールの言葉に、目線を緩やかな傾斜で上に向かって伸びている鍾乳洞の奥へ向けて、カリオンはそうだなと答えました。


 『出発スル?』

 『出発?』

 『ゴーゴー?』


 いち早くその気配を察したノームたちは、またも空中から白い石を取り出して、せっせと並べ始めました。あるがままの鍾乳洞の中は、当然ながら人が歩けるようにはなっていません。鍾乳洞の岩を傷つけないようにという配慮なのか、今度の白い石は空中で留められていました。


 少しの不安を感じながら両足を乗せてみますが、やはりぐらぐらと揺れるような不安定さはありません。おそらく、この上でカリオンが飛び跳ねたとしてもびくともしないでしょう。踏み外すと危ないのでやりませんが。


 「偶然によって生まれたからこそ、鍾乳洞には同じ形の石は存在しないと言います。ここにあるのは、まだ序の口かもしれませんよ?」

 「つまり、こんなところで驚いてばかりいられないと言うことか?」


 吐息のような笑い声がどちらからともなく漏れました。


 それから先の光景は、たしかに筆舌に尽くしがたいほど驚嘆させられるものばかりでした。


 高い高い天井から何本も氷柱のようにたれる岩を見て、上からも左右からも迫ってくる岩壁のかろうじて空いていた隙間をかがみながら抜け、下から突き上がる奇妙に歪んだ石柱の間を通り——。


 何よりも、ノームたちが照らしてくれる灯りが白から緑や橙などに変化したことで、より怪奇的で幻想的なムードを醸し出していました。


 出口にほど近い広々とした空間へ足を踏み入れたときはいっそう美しく、カリオンもビブリオドールも思わずため息を零しました。一面に水が張ったそこを、ノームが架けてくれた石橋からゆっくりと眺めます。


 天井からうねるような曲線を描いた岩が、そのまま頭を水中へと沈めていたり。

 岩壁の中ほどを抉られたのか、残された上と下の岩がまるで口を開けた大蛇のように見えたり。

 それらが紫からピンクへ移ろいゆくグラデーションの灯りに照らされると、もはやここが現実なのか夢なのかさえ分からなくなるほど妖しく、彩(あや)しく……



 「今日はまだ日が高いな」


 今までに比べると随分小さい、カリオンぐらい背が高くなると少しかがまなければ出られないほどの、出口から姿を見せたカリオンがまず口にしたのはそれでした。


 ちょうど山の中腹あたりでしょうか。繁る木々の間から、遠くは次の街がぼんやりと、近くは整備された街道が見えました。


 『楽シカッタ?』

 『楽シカッタ?』


 あとはこのまま斜面をくだり、街道に沿って進めばよいだけ。だから、ノームたちとはここでお別れです。


 「ああ、もちろんだ。あんな凄いものを拝ませてくれるとは思わなかった。お前たちのおかげで早く、楽に山を越えることができた。感謝している」


 一体一体のノームの頭を撫でて、カリオンは素直な気持ちを伝えました。


 「とても楽しかったですよ。良い思い出がまた一つ、増えました。ありがとうございます」


 ビブリオドールは全てのノームを一度ずつ、しっかりと抱きしめてあげました。


 『バイバーイ』

 『バイバーイ』


 一生懸命振ってくれた小さな手も、人の行き交う街道に出ると見えなくなってしまいました。

 突然斜面を滑り降りてきた二人組の旅人に出くわした人々の奇異の目線を笑ってごまかしつつ、街を目指して二人は歩き出しました。途中で出会った同じ街へ向かう一団から、この山を越えるのがいかに大変だったかを聞きました。


 昼間の気温は高かった、


 整備された道は遠回りすぎる、


 吊り橋はもう少し補強するべきだ、などなど。


 きっと彼らに出会わなければ、カリオンたちも同じような思いをしていたでしょう。もはや声も姿もなく、今考えてもあまりに現実離れしすぎて、夢ような経験であったとしても。


 山を完全に下りる頃には日も傾き始め、向こうに見える街に明かりが灯りだしていました。日が落ちるまでには辿り着くことができるでしょう。


 そんな、森を出るその刹那。


 『また会おうね、おねえちゃん』


 カリオンのすぐ耳元で、明瞭とした発音の可愛らしい声がしました。とっさに振り返っても、当然ながら誰もいません。ですが、カリオンはこの声の主たちを知っています。


 「……ああ、またな。ノーム」


 口元だけで小さく約束の言葉を紡いで、今度こそカリオンは振り返らずに足を前へと進めました。




 こうして、森に住む小さな子らと別れたカリオンとビブリオドールは、世界の次なる未知を楽しみにしながら、救済の旅を続けていくのでした。

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