第11話 生還
その後、零は解放された女性達と月魔龍の身として利用されていた男と共に、王のもとへ帰った。皇帝陛下は喜んでいた。
「月野よ。素晴らしいものだな。あの青い地球という星に、お前みたいな素晴らしい御仁がいるとは。あぁ。慈悲の心は月魔龍を倒させる素晴らしい力となったのだな。」皇帝、大月はそう言って喜んでいた。
「飯の支度をして参れ。月野よ。この度はご苦労であった。お陰でこの月華帝国にも平穏が訪れるわい。感謝の印としてささやかではあるが、饗応したい。」
「忝く存じまする。有り難くいただきます。」
摩訶不思議な世界で、月の食事は地球の食事と同じような味であった。
「これは秘密の赤漬けじゃ。どうじゃ。美味いだろう?」
「これは魚介の味がする漬け物ですね。辛くてなかなか美味しいです。」赤漬けなるものを口にする。赤漬けというのは現代でいうキムチのことであり、日本の塩漬けしか知らない零にとってはそれはそれは美味しく感じた。
この日のメニューは、アワビの壷焼きやタイ、フグなどの海鮮鍋、そして赤漬けとご飯であった。
月の食事のイメージとは全然違った豪華な料理であった。
「あの?これらの魚とかアワビとかどうしたんですか?月では採れませんよね?」零は皇帝に尋ねた。
「いや、実はこの地表の下に海があってそこで育てられるんだ。どうじゃ、月産の魚はそれなりに美味いだろう?」
「はい。こんなに新鮮な魚が月の中で食べられるとは思いもしませんでした。」彼は、鍋を食べながら酒も呑み、至福のひとときを過ごした。
満腹になったことで、彼は月から地球に送還され、それからは幸せに過ごした。
輝夜との間に二人の息子をもうけた。
月野信勝…通称…仁衛門、武勇に優れたことで有名であり、零譲りのルナメタルを引き継いだ。
月野定安…薬を作ることで有名となった。文二郎家を興し、代々薬を作った。
その家系は今でも脈々と続いている。
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