第10話 月魔龍の討伐
「ふふ。来たか!可愛い女の子が。さて、何処から食べようかな。腹が減ってたんだよね。」
零はかぐや姫の格好を相変わらずしており、月魔龍は見た目に騙されていた。
「さて、その髪の毛から頂きましょうかね。」
「残念だったな。月魔龍!俺は月野零…男だ。さぁ、永遠の眠りについてもらうぜ!」
「月華帝国の奴らめ。謀ったか。お前をぶっ殺して、帝国を破壊してやる!」
月魔龍は姿を人型に変え、黒い薙刀を手にした。
『零!いざ勝負だ。』
ペンダントを手にして認証させる。
そして、ベルトにペンダントを差し込む。
『ルナ。ファーストメタル起動。』
そう言うと、赤と金のシンプルな鎧が彼を包んだ。
「良いぞ!その挑戦受けて立つ!」月魔龍に向けて彼は宣言した。
零を包む鎧は、ルナメタルと呼ばれる金属製であり、その金属は紙のように軽く、それでいて強く、地球人の攻撃になら全くダメージを受けない。
唯一脆いのは魔力である。魔力だけは防ぎきれない。
魔力によって全ての機能が弱められるのだ。
「たいそうな装備よ。だが、勝てないぜ。」
黒いバリアを巡らせ、月魔龍人間態はこちらに向かってきた。
「あかん奴だ。あの攻撃を食らってしまったら、一瞬だな。」
「ルナ、第二形態起動せよ。」
肩の部分にブースターがつき、背中にもブースターがついた。
スピードを高め、空中を飛ぶ。
それでも、月魔龍から逃げるのに精一杯だ。闇と光は拮抗する。なら一縷の希望をかけるしかない。
結局はいくら鎧が高性能でも気合が無ければ、負けてしまうのだ。逆にいくら粗雑な鎧でも、精神統一して攻撃を食らわまいとすればどんなものにも負けはしない。
月魔龍はいよいよ疲れてきたようだ。
「おい!どこまで逃げる!」黒いバリアも威力が弱まっていた。
「逃げるが勝ちじゃ。そろそろ疲れてきたようだな。行くぜ!」
零はここぞとばかりに天空から刀を召喚した。
その刀は、三日月宗近であった。平安時代に打たれた天下五剣の一つである。
「良いだろう!勝負だ。」月魔龍は疲れで震えている。
「なかなかやるな。月魔龍!」
「うるせぇ。こっちは腹が減ってんだよ。食わせろよ!」
「そうか。腹が減っているのか。分かった。待ってろ。」
「何かくれるのか?俺に。」
零は鎧を解除して、優しい顔でこう言った。
「ほらよ。お腹が減ってちゃ、頭も回らないし、嫌なこと考えるからさ。遠慮しないで。」
彼は、讃岐の造から貰ったおむすびを差し出していた。
実は、月の世でも腹が減るだろうと、翁がくれたものであった。
「俺は今まで、月の人に迷惑ばっかりかけてた…そんな俺に…こんなに美味しいご馳走をくれるなんて。」彼は嬉し涙に泣いていた。
泣く事によって彼の体に異変が起こった。
徐々に龍は人間となり、その人間は解放されたのだ。
月魔龍の中身は人間であり、人の体を乗っ取って月魔龍は生きていたのであった。
彼が食い殺したとされた女性達も解放された。
彼は、寂しいから生け贄という口実で女性を連れて行ったのでした。
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