第9話 月華帝国
「国王陛下。只今、かぐや姫を拘束致しました。」
「貴様!何度言えばわかる。我が国は帝国に格上げされたんだぞ!それを国王陛下、国王陛下と言いよって。まぁ良い。連れて来い。」
「私を何するつもりですか?止めてください。こんなに縛り付けて。」かぐや姫こと零は言った。
「良いか。今からお前には月魔龍の生贄となってもらう。しかし、お前の名は後世まで残るであろう。勿論、念仏も唱えようぞ。ん…」皇帝はそこで言葉を失った。
「どうなさいました。皇帝閣下。」先程の使者は言った。
次第に皇帝の顔色が悪くなってきた。
心配して、皇帝の御気色を伺った。
「あぁ。こいつはかぐや姫じゃない!何てことをしてくれるんだ!」皇帝は怒り、使者を平手打ちにした。
「あんなに妖艶な輝夜と、こいつの区別もつかんのか!一体どういう神経してるんだ?このバカチンが。恥を知れ。」
それだけでは怒りが収まらず、怒りの矛先は零にも向かった。
「お前もお前だ!かぐや姫の身代わりになってここまで来て余計な手を煩わせよって。月魔龍は、あと数日で月を滅ぼさんとしているんだぞ!」
「皇帝陛下。恐れながら申し上げまする。私は、町火消の零である。今し方、輝夜様から素晴らしい鎧を頂戴致しました。それによって、月魔龍を討伐致したいと思います。」
零は丁寧に思うところを述べた。
「月魔龍を討滅?戯けたことを。あいつは強いんだ。並の鎧じゃ勝てんよ。大体、アイツの吐く炎で燃えてしまう。」
「私の鎧は防火性の極みです。どんな物でも燃えません。」
「火鼠の革衣か。そんな物が本当に存在したとはな。なら、その証拠を見せろ。」
懐の中から零は三日月のペンダントを取り出し、10秒くらい指で触れた。「月鋼機士ルナ…装着者を認識しました。」月のペンダントは、音を発する。
「ルナ!第一形態発動!」零はそう声に出し、ベルトにペンダントを差し込んだ。
すると、鎧が彼を包み、アメリカ映画の鉄の男のようになった。
唯一違うところは、ベルトがあるところである。
「盛大なる炎であの鎧を包め。容赦は無用だ!」月の皇帝は、そう言うと火器係に命令し、炎の攻撃をさせた。
「熱くない。こんなに素晴らしい鎧は無いだろう。」零は思った。凄い鎧を手にしたものだと。
「うむ。流石だな!お主。我が月華帝国の手を長年煩わせていた月魔龍の封印を任せても宜しいか?報酬は何でもやる。」皇帝は先程の怒っていた表情とは一転し、喜びの様子を浮かべていた。
「では、皇帝陛下。私に苗字を与えて頂きたく存じます。」
「ワシは、月華帝国の初代皇帝にして、月華王国第8代国王。
「皇帝陛下。ありがとうございます。それでは、この月野零。全身全霊で月魔龍の封印に当たりたいと思います。」
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