第9話 連絡 そして八箕山自治区へ

その日の夜だった。linksの通知がいきなり来てびっくりした。送り主は自分のアカウントだ。

『お母さん、ごめんね。今頃、命を落とした私を見て泣いていることでしょう。親不孝でごめん。』そういう文が送られてきた。

すぐさま返信する。

『お前は光莉か?大丈夫。生きているよ。』

『もしかして、洸君?』

『あぁ。お前、戻って来たんだな。この地に。知らなかったよ。』

『うん。最近戻ってきたんだ。それより、自分の体が恐いの。』

『あぁ。そうだろうな。男の身体は恐いよ。でも、それを受け入れないとな。俺もこの身体で頑張る。ところで何か伝言でもあるのか?』

『実は、この入れ替わりについて説明をしたいとある女医が言ってたの。明日暇?』

『うん。多分、大丈夫だと思うよ。八箕山自治区に行けばいいんだな。』


その日は早く寝ることにした。何せ、頭では分かっていてもこの体では初めていく場所だ。だから、途中で道に迷うこともあるだろう。道に迷ってもたどり着けるように身体を休めた。


こんな豪邸暮らし…性に合わん。光莉がネズミだとしたら、俺はドブネズミだろう。雲泥の差がある。まぁ、住めば都になるんだろうがな。

「それにしても、良い匂いがするなぁ。これが女の子の匂いなのかな。」そういうと間もなく、俺は寝てしまった。


朝はハンバーガーであった。それも高級そうな肉が使われていた。まだ、この生活が楽しいと思えているが、日が経てばどんな贅沢に感じるものも普通になっていくのだと思うと、世の中は虚しいものだと思う。

甘さを感じなくなっていき、砂糖の使用量が増えてゆく。

塩分も然り。贅沢もまた同じでだんだん贅沢のレベル上げていかないと贅沢だと思わなくなるのだろう。


「いやぁ、今日も素晴らしい朝ごはんだね。お兄ちゃん。」

俺、ダル絡みなのかな?分からないな。

「あぁ。うん。そうだな。何かあったのか?いつもそんな事言わないはずなのに。」

しまった。身バレしたのか。何か分からないけど身バレしちゃいけないと感じた。

「いや、倒れてからそう思うようになったんだよ。お、お兄ちゃん!深入りしちゃダメ。」


あぁ。こんなんだろうか。光莉、俺はいつもの光莉が分からない。だから少し変だろうけど。

それにしてもハンバーガーめっちゃ美味い。今までに食べたことのない味だ。いや、有るんだろうけど。この体では。


女の子としての生活、意外と楽しいかもしれないな。

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