月島雄雅が作り上げたユートピアに侵攻するものが現れた。

それは突然のことである。いつものように洸は、一人黙々と剣のトレーニングをしていた。ただ、修行をしていた。

最早、眼前に敵はいない洸は、『昨日の我に今日は勝つべし』という格言を信じ、日々精進するのであった。

「おい！ヒカル！何者かがこの街を襲いに来た！退散させてくれ！」ある男が道場に走り込んで来て、その緊急性を感じさせた。

「ここまで人を脅かすやつは、相当強いんだな。良いぜ！俺が相手してやる。」洸は自慢の木刀を持って走って行った。

「おいテメェ！どういうつもりだ。この街に攻め込むなんて。」

洸は義憤にかられていた。

「分かるだろう？俺らみたいに強くなったものは、人を斬らねぇと気が済まねぇんだ。」その男はそう言う。

「貴様！覚悟しろ！俺がぶっ倒してやる。」

「この顔でもか？」その男は振り向いた。

途端に洸の顔に戸惑いの色が現れた。彼は洸の顔をしていたのだ。声も殆ど変わらない。まずい、このままでは俺の存在意義が消されちまう。

木刀を握ると気合を入れて、そいつに立ち向かった。

「どんな顔でも市民の皆様を恐怖に貶めるそのやり口、許せねぇ。」洸は勢い良く走り込んだ。

「甘いんだよ！」すかさず、もう一人の洸はかわした。

「畜生。」もう一人の彼の攻撃を回避して、一気に間合いを詰める。

「ふん！やるじゃねぇの。一気にかたをつけてやるわ！」

もう一人の彼は、一撃一撃が重い剣捌きだ。一撃でも当たったら、こりゃ、ただではすまねぇな。

「新破流、闇返し！」

闇返しとは正面で攻撃をした後、背中に回り込み、叩く技のことである。洸はその技を使った。

正面二発はもう一人の彼は防御した、しかし背中までは受け止められていなかった。

勝負あったなと思った。背中に打ち込むと暫くは立てない。そんな激痛がある。

刹那、洸は痛みを感じた。

「甘いんだよ！油断するな、バーカ。」脇腹を突かれ、意識が段々と薄れてゆく。奴の声も静寂に飲み込まれてゆく。木刀だけで俺は死にゆく弱い身体なのか。いや、違う…違う…そんな…はず…は

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