第5話 大伴御行 編

本文

「我こそは、大伴御行。是非とも輝夜殿を我が妻にお迎え致したい。我が権力でどの地位にでも就かせましょう。中宮でも、皇后でも!」彼はそう言った。

「宜しくね。大伴さん。でも、私は地球上の権威なんて興味無いからさ。でも、欲しいものがあるの。」輝夜はそう言った。

「何で御座いましょうか。輝夜様。」彼は尋ねた。

「龍の首の珠を下さいませ。」輝夜はそう頼んだ。

「龍の首の珠で御座いますか。必ずご覧に入れましょう。」

彼は去っていた。



日本には龍は居ないな。龍となると唐か。天竺か。あるいはさらに向こうの地か。

天竺より先には、肌の白い人がおると聞いた。

唐土には、大秦王安敦たいしんおうあんとんと呼ばれる肌の白い人が来て、龍の話をしたと聞く。その地は唐の西に有るのだろう。とにかく進むのみだ。彼はそんな事を考えていた。


早速船を作らせ、侍従十余人を連れて船を西に進ませた。

まずは唐の長安に向かって、それらしきものを探したが、見つからなかった。

「次は天竺か。よし、進むぞ。難破など恐れることはない。我々には八百万の神々がついているのだ。」

大伴御行は勢いよく進んでいった。仏教の聖地の天竺でそれを探したが、なおも見つからず、疲れながらも未知の世界に足を踏み入れた。


ヨーロッパ大陸に到着した。そこにはドラゴンと呼ばれる龍の置物が沢山あった。

建築物の捨てられていた資材が落ちていたのだ。

「周りに珠がついているな。これを持って帰るべ。」

その資材を持って帰ることにした。比較的、軽い素材であった為容易に積むことが出来た。

しかし、途中で矢が降ってきたり、盗賊に襲われたりと様々な苦労があり、船に乗る時には満身創痍の状態であった。


「おい!俺、目が見えなくなってるんだが。鑑真和尚のようになってしまったか。」御行はそう言った。

「先生、目に出来物ができてますよ。」侍従の一人が言った。

彼らには思い当たる節があった、咳をしている街を通った際に、感染したのではないかと思った。

しかし、感染したのは御行ただ一人であった。

その目の出来物は、李のようなものであり、世の人は、食べ難いといい。『あなたへがた』と呼ばれるようになった。

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