第4話 くらもちの皇子ー倉持三郎ー編

「輝夜様。この豪商、倉持三郎康友、どのような物でも姫様に献上致します。どうか、この倉持と結婚して頂きたい。ポルシェ一万台、ランボルギーニ十万台、いやいや、ロールスロイス百万台でも惜しくはない。」

「そうねぇ。じゃあ、地球のものは分からないからさ。蓬莱の玉の枝でも持ってきてくれない?」

「ホーライノタマノエ?」

「うん。蓬莱の玉の枝。お願いね。」輝夜は憎らしくもあるがその美しさによってかき消された笑みを浮かべていた。


「ホーライノタマノエ…何だろうな。分からないな。こういう時はインターネットで調べるぜよ。」

そして彼は、蓬莱の玉の枝を見つけた。

「ほう。こんな物か。分かった。だが、手に入らないだろう。こうなったら金箔を用いて、女子が喜びそうな菓子で表現するしかあるまい。」

彼は急いで懇意にしていた菓匠にとびきり豪華な菓子の玉の枝を作らせた。

「ほう。倉持さん、少々値が張るで。それでもいいんか?ざっと20万円位はかかるであろう。」

「20万円なんて大丈夫だ。アイツが手に入れば、そのくらい惜しくはない。」

彼は輸送料を込みで二十一万を渡し、運んでもらった。


彼は、用事があると手紙を添えて、輝夜のもとに運んでもらった。しかし、本当のところは何言われるか分からずに、その不安な心を惑わせて足を運ぶことができなくなっていた。

「あぁ、行きたいけど、行ったら討ち首になるかもしれないからなぁ。嘘をつく事はいけないことだし。」


一方、その頃…輝夜は、「うーん。綺麗ねぇ。でも蓬莱の玉の枝にしては少し見劣りがするわね。では、戴きますか。」

その玉の枝を口にして、その甘さに満足した。

「美味しいけど、足を運んでくれなかったのが残念ね。」


結局彼は足を運ぶことなく、世の人は「たまさがなる」とその事を持て囃した。

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