第3話 石作の皇子ー織田信龍ー編

「私が、輝夜様と付き合うことができるかもしれない。元愚連隊で、誰も近寄りはしないこの俺にもついに恋人が出来るかもしれないとは嬉しいものだな。父、いや道山は俺のことを快く思っちゃいねぇようだけどやはり孫の顔を見せるしかあるまい。」


織田信龍はそう呟きながら、竹御殿と称される、道山の成金ハウスに足を運んだ。暫く実家には帰っていなかった。勘当までは行っていないが、半ば呆れられている。

「信龍!今まで何をしておった!まさか一門でも輝夜に手を出す者がいるとは。」

「父上!竹から姿を現した者にあまり期待するな。あの女は実の娘じゃない。政略結婚に利用しようとしても、いつ裏切られるか分かったものではない。私の嫁になれば、マイナスになることはない。」

「ふん!信龍。まぁ、良い。俺が選ぶわけではない。選ぶのは輝夜だ。さぁ。行け!」

「可哀想な父だ。あばよ。」

信龍はそう吐き捨て、憤然と進んでいった。

仲の悪い父と息子である。

御殿の門を進み、縁側のある建物に着いた。

目の前には、とても可愛らしい少女、竹崎輝夜が座っていた。

「ご無礼のほどお許し下さいませ。私、石作の皇子こと織田信龍であります。本日は宜しくお願い致します。」

「信龍さん。宜しくお願いします。でも、その前に誠意を見せて頂きたいのです。」

「誠意ですか。腹を切る覚悟は既に出来ております。輝夜様のためになら。」

「そんな誠意なんて、死んだらもう付き合えないじゃないですか。誠意とはある贈り物を送って頂きたいのです。」

「贈り物ですか。赤染の翁の如く贈り物を集めてまいりたいと思います。」

赤染の翁とは、現代日本で言うところのサンタクロースのことであり、年末になると貴族の使い古しをプレゼントしに来る謎の義賊なのである。


「それで、その贈り物とは一体なんでしょうか。」

「仏の御石の鉢です。その鉢は天竺に一つだけあると言われております。とても光り輝く鉢のようです。宜しくお願いします。」

「分かりました。その鉢を是非とも手に入れてご覧に入れましょう。では、失礼いたします。」


その帰宅した後、「馬鹿馬鹿しい。俺はあんな金遣いの荒い女が大嫌いなんだよ!金メッキでもした鉢で良かろう。」

彼は二週間くらい経って再び、訪れた。

「あら、だいぶ早いですわね。本当にインドに行かれたんですか?」

「Amazonで買いました。そして、宅急便で送って頂きました。」

「あら、そうですか。では開けさせて頂きますね。では、また後日ご連絡させて頂きます。」

「では、我が仏の御石の鉢。心ゆくまでお楽しみ下さいませ。」

彼は半分喜びながら家に帰った。


「では、仏の御石の鉢、見させて頂きましょうかね。まぁ、期待はしていませんが。」

輝夜はそう言って開けた。そこには灰色に黒が混ざった鉢があった。輝夜は当然だと落ち込む様子は無かった。


「よっしゃ!あともう少しで家だ。今日のプレゼントは、最高だぜ!」信龍は有頂天に達しながら道を歩いて家に着いた。

が、突然彼の顔の色が変わった。

Amazonで買ったはずの鉢が部屋の前にあった。

そこには、『お詫び この度配送いたしました金の鉢は誤りで、黒灰の鉢を贈ってしまいました。なお、黒の鉢は返品の心配は御無用です。そのままご査収下さいませ。株式会社Aruzon』

何と、彼が買ったのはAmazonではなくアルゾンだったのだ。

有る損で、アルゾンだとは気が付かなかったようだ。


彼は後に、輝夜から鉢は捨てたと言われたが、しつこくアプローチし、振られてしまった。

恥を捨てても駄目であった。

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