第14話 部屋

「行くか。日野。」俺は彼にそう言うと、指定された階の部屋に向かった。

「おっ!ここか。結構いい所じゃん。パソコンもある。金かかってんなぁ。」日野は騒いでいる。

「何かあるって決まってるでしょ。ただでパソコンがあるなんて旨い話無いわよ。」俺はそう言うと電源をつけてみた。EQSONエクソン製のコンピュータであった。

『ようこそ月野光莉さん。』これは俺のコンピュータなのか。

enterを押す。すると顔認証が開いた。


『画像認証完了。ホーム画面を開きます。』

相変わらず、光莉の顔は可愛いよ…と妄想するのも束の間、ホーム画面が開いた。メールが一件届いていた。

『From Getsuhou_official@diana.com

For 30G1@diana.com

月朋会から【お知らせ】本日、3時より中央館にお集まり下さい。機密打ち合わせを行います。』


その前に見てみるか。月朋会公式サイトを。

あるのかどうか分からなかったが、検索でヒットした。

役員紹介。『月朋会理事長 月島雄雅』から下の役員を見ていった。驚いたことがあった。『月朋会新破流剣術師範 月野洸』と書いてあった。剣術師範という立場に俺が置かれていたことは知らなかった。きっと光莉は困っているだろうな。


それだけでは無かった。もう一つ驚いたことがあった。これは心臓を鷲掴みにされたような衝撃であった。

『月朋会新破流槍術師範 日野蓮司』…日野が、一度手を交えたかった相手なのか?俺の親友が槍術の師範なのか?

まだ見ぬライバルが、俺の友人なのか。


「お前が、新破流槍術の師範なのか?日野。」俺は訊いた。

まさかそんな事はある訳ないと思っていた。

しかし予想外にも日野はこう言った。

「あぁ、そうだよ。やはりそのページに行き着くか。俺が新破流槍術の使い手だ。そして、お前が剣術師範なのか?」

「そうだよ。まさか、お前が槍術の使い手だったのか。」

「どうだ洸。どっちが強いか勝負してみないか?」

突然の言葉に戸惑った。心を読まれていると思った。やはり、武術を究めている者は、他の武器とも闘いたいと思うのだろうか。

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