第19話 大規模戦闘

 PVPというものは、プレイヤー同士が戦うモードだ。コロシアムと違い階級差がなくどんな実力との相手とも戦うことができる。ただしPVPは両方の同意が必要で規模の大きい街のど真ん中でおっぱじめればすぐさま衛兵が飛んでくる。


 PVPではその場に専用のエリアが広がりそのエリア内だと本来なら不可能なプレイヤーが別のプレイヤーにダメージを与えることが出来るようになる。いくつかのモードがあって、敵が倒れるまで戦う決着制、HP無限で時間内にどれだけ相手にダメージを入れれるか競う殴り合い制、指定の残機が無くなったら負けの残機制などだ。


(見た感じやられたらエリア外に飛ばされて動けなくなってるから大人数の決着制かな、最初の衝突でやられた人が結構多い)


 軽く見て最初の衝突で両陣営合わせて5人ぐらいが退場したようだ。後方に待機していた魔法職のプレイヤーの攻撃を幾つもくらってまさに瞬溶けというレベルでダメージを負ったのだろう、やられた本人も驚いた様子だった。


 その後はエリアの中央で様々な武器を持った近接職のプレイヤーが乱闘して外側から魔法職や遠距離職が攻撃を放り込む感じに進んでいく


(なんというか、素人の乱闘騒ぎって感じだ)


 FWが発売されてまだ3か月ぐらいだ。それまでにVRゲームというものは存在しているらしかったが、オンラインゲームとして完成度の高いのはFWだという、だからこそFWはここまで人気が出ているという事なのだが、VRという特性上視界などの様々な感覚操作は今までのゲームで培った経験とは全く違ったものだろう、ましてや大人数戦となると視界が限られてる以上気が付いたら敵陣ど真ん中だったっていう可能性もあるだろうし


 それでも戦闘のセオリーというものはあって、乱闘している近接職のプレイヤーが飛び出し、防御力の低い魔法職や遠距離職のプレイヤーを倒しに向かって言ったり、それを防ごうと追いかけて行ったりとセオリーが無いからこそ見ていて面白いものがあった。


 そんな戦闘は数十分と及んだが、ある時を境に、MPが切れたのか外側から攻撃を行っていたプレイヤー達の攻撃頻度が下がった。近接職のプレイヤーも倒されてエリア外に飛ばされる人数が増え終わってみれば30人という結構な数の戦闘は7人ほど生存した黄昏猟団の陣営に軍配が上がったようだ。


 軽く見ても野良プレイヤー連合に比べて装備の質もよかったし、クランという特性か連携という部分でも分があったように思える。


 当人たちはまだ言い争いをしていたが、自分を含めたほかプレイヤーは村へ入れないことに落胆しつつも面白い物が観れたからいいかというスタンスで来た道を戻る者もいれば、そのまま付近のエリアで狩りをしようと違う方向へ向かうプレイヤーへと別れて行った。


(村を探索できなかったのは残念だけど、結果として面白かったしいいか、となると次の街へ方角的にはそこまで変わらないからそっちに向かうか)


 多少来た道を戻る必要はあるが、次の街へ向かってもいいかもしれない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る