第8話 特別試合
=PvPコロシアム・プライベートゾーン=
「これでよしっと」
まさかまた装備を変更するとは思いもしなかったが、来るべき戦いのためには余念がない
『神様は言っております。遥かな高みの強者を・・・他を引き付けるほどの圧倒的な力を』
天使はこう言っていた。要するに俺の持てる全力で挑めということだろう、まぁ、
全力ということは『ぼくがかんがえたさいきょうそうび』であり一切手を抜くことはしない、彼女の戦い方のスタイルも先ほどのリュウ戦で大まかにわかったので彼女と相性のいい装備で行く
まず、言えることは魔法職はありえないこと、チーム戦ならば話は別だがこれから行うのは一対一の勝負、壁役がいない状態で近接職である騎士に挑むのは同じ近接職となる。
そしてリュウ戦で見せた瞬間移動からの威力の高い大技を繰り出す。これが一番気を付けないといけない
一気に背後に回られ、スキル使用後の膠着状態がなくて技を繰り出すことが可能、しかもHPが半分以上あるリュウを全損させるほど威力の高い俺の知らないスキル・・・・もしもあったら絶対使っていた、使い勝手のいいスキルだ。
見たところあの瞬間移動はだいたい五メートルほど移動していた。さすがに移動できる範囲は決まっているだろうが、どこまで移動できるかは分からない
常に相手と自分の周囲に気を付けなければならない、幻想世界ではキャラを第三者視点で見ることができたため、背後の敵にも気を配ることができたが、
「なら、死角を無くせばいいか」
数ある中の装備でも最強格、先ほど装備していた黒騎士以上の装備を俺は選択した。
「特別試合?」
『はい、ユウ様は今回の試合で
さっき終わった試合の後、いつもは現れない天使さんが声をかけてくれた。そして天使さんは私が
特別試合・・・・・・天使さんが言うには、マスターリーグのトッププレイヤーとの模擬戦らしい、先ほどシルバーを脱した私とは天と地ほどの差があるのだろう、戦えば負けは確定・・・・・・でも
「うん、やってみたいです。天使さんが態々話しかけてくれたし、せっかくだからコロシアム最強の人と戦ってみたいです」
私がそう言うと、天使さんは満面の笑みでほほ笑んでくれた。確かに報酬というのも気になるけど、やっぱりコロシアム最強プレイヤーっていうのも気になるから
『ご承諾ありがとうございます、では、早速告知と準備をさせてもらいますね、消耗品や装備のメンテナンスはこちらで無償で行うので試合前にコロシアム職員にお声をかけてください』
それでは、という言葉とお辞儀と共に天使さんは部屋を出て行った。私も特別試合に向け、準備を始める。
「えっ?勇者装備ですか?」
『はい、今回はイベント試合のようなものなのでペガサス様には勇者として戦っていただきたいのです』
先ほど様々な装備から選んで装備して部屋で待っていたら、いきなりチェンジを言い渡された・・・・・・悲しい
「わかりました、勇者装備で挑んでみます」
本来使おうと思っていた装備とは違うが、勇者装備も自分の持っている装備の中でトップクラスに近い性能を持っている。
モチーフが某国民的RPGの勇者なので少し古臭い感が否めないが、搦め手無しの高火力、高耐久といった装備はまさに力押しといった感じで、さらに特別職である『勇者』であれば更に性能を引き出し、特別なスキルツリーが発現する。
天使は準備が忙しいらしくすぐ出て行ってしまったが、試合自体はもうすぐ始まるらしい、それに合わせて俺も素早く準備を始めた。
どうせだから勇者っぽい真似でやるか!
『
試合前、天使曰くマスターリーグへ出場した
しかしマスターリーグのチャンピオンであるキャラは未だ姿を見せたことが無いらしく、今まで謎に包まれていた中、今回初登場(俺)と試合直前で言われてとても驚いた。
一応名前は???という措置を取っているらしく、俺のプレイヤー名が晒されることはないが一応姿は見られるらしいが、観客には極力顔を映さないように配慮してくれるらしい
そして俺は今、
『それではこれより特別試合を開始したいと思います!、試合時間は10分、勝利条件は相手を場外にさせるか、もしくは相手のHPを全損、降参させることです。それでは・・・・・・・試合開始!』
先ほどは男性が司会を務めていたのだが、今回は天使自ら行うらしい、チュートリアルぶりであろうプレイヤーたちは試合とは別の意味で驚き、歓声をあげた。
そんな周りではあるが、自分も、そして向かい側に佇んでいる彼女も緊張で強張ることもなく自然体だ。しかし彼女が俺に向ける目は、曇りのない強いまなざし、まるでこちらをすぐにでも射止めんとする敵対者の目だった。
(試合は始まった・・・・・・さてどう動くか・・・・・やはり先手は相手に譲るべきかな?しかし・・・・・うーん)
いまさらになって勇者の立ち振る舞いとはどうするべきか心の中で悩んでいる中、彼女は真剣なまなざしから、まるでこちらを微笑むかのように笑った瞬間・・・・・・彼女が目の前から消えた。
「は?・・・・・・覇気っ!」
ゴウッ!っと周りから暴風のような嵐が吹き荒れる。すると消えていた対戦相手、ユウは俺の真後ろに回り込んでいたらしく、その華奢な身体は簡単に吹き飛ばされるものの、空中でヒラリと回転し着地した。
(あっ、あっぶねぇ~さすがに油断しすぎてた。さすがにレベル差があるからそこまでダメージは受けないだろうけどこんな試合な手前、下手なプレイは見せれない、気を付けないと!)
いきなりの奇襲で冷や汗をかき今でも心臓がバクバクしている状態だが、彼女はそんな俺の心情知らない、むしろ警戒してるため最初の立ち合いより距離が開いている状況だ。
(さすがにやられっぱなしっていうのもあれだし、一つデカい技を使うか)
「万物いかなるものでも、すべては極光の光に包まれん……天・極・刃!」
幻想世界の時代は、一字一句間違えることなくタイピングで打っていた忘れることのない発動ワード、幻想世界で発動する際に構える剣を天に向けて捧げいかにも大技を出すような演出をする。彼女はいち早く大技を察知し、空いていた距離を場外ぎりぎりまで離れた。そして剣に光の奔流が満ちた瞬間、一気に振り下ろす!
ズドドドドドド!
刃と名が付くが、放ったのはまさに光の激流だった。コロシアムの石床は衝撃でひびが入り吹き飛びつつユウに迫ってくる。ゲームとは全く違うド迫力な演出にスキルを放った自分ですら「えっ?」っと唖然しつつ、突き進んでいく光の激流はユウを飲み込み・・・・・・・そのまま突き進んで観客すら飲み込んでいった。
「な、なにこれええええええええええええええぇ!!」
コロシアムの真ん中で俺は絶叫した。
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