終章 《新世界を目指して》
NovyiMir総本社…
僕とルヴィアはその後、テレポートマシンという謎の機械で一気に総本社まで飛んだ…ムチャクチャ凄いな…
僕とルヴィアはある部屋にいる。その部屋にはとてつもないほど巨大な柱がいっぱいあった。
ルヴィアが静かに言う
「シ族には2000年以上前…神族と戦争する前に生まれた第一世代と呼ばれるシ族、神族と戦争していた2000年前から1000年前に生まれた第二世代そしてその後に生まれた第三世代…つまり、炎の一族と霜の一族に分かれます」
突然何を言うんだろう…この人は
そんな事もお構いなしに話を続ける
「この会社には私を入れて7人の社長がいます。彼らは<7賢人>と呼ばれます。ちなみに私はその中で主席を務めております。我々は第一世代です。勿論、あの二人もです。つまり、皆さんが思っているほどシ族は生き残っていますよ」
メラはそんなことは一言も言ってない
「では、他のシ族はどこにいると思いますか?」
僕は首を振る…知るわけないじゃん
そんな僕の心の叫びを聞いたのか、絶対零度の眼差しを向けて言う
「この柱の中にいます」
「えっ」
ルヴィアは淡々と言う
「この柱は…我々は<揺りかご>と呼んでいますが、一種の仮想世界に入り込める装置です。ほとんどのシ族はこの装置を使って2000年近く現実逃避をしております。神族と戦争をする前の…黄金時代を忘れられないそうです…同じ時代を永遠に繰り返してる。今では、仮想現実を現実と信じ込んで誰も出ようとはしない…かわいそうね…本当に哀れだわ」
メラならこういうだろう…無様だ…と
「優しいですね…メラなら決してそんなことは言わない」
ルヴィアはフッと笑う
「ええ!傲慢と呼ばれてますが、そんなものはプログラムであって私ではございません。身近にいい例がございますではありませんか。メラは憂鬱と呼ばれておりますが…」
僕は引きつる
「憂鬱とは真反対だね。ハハハ」
ルヴィアはまた無表情に戻る
「では、ビジネスのお話をいたしましょう。会長はこの装置を使って、己を鍛え上げました。知ることと感じることでは全く違います。あなたにはこの装置で現実の時間を遥かに超える悠久の時間を過ごしてもらいます。あちらには会長が残した訓練プログラムがございます。目安はここの時間で10年に致しましょう。それまでの間、仮想世界でのひと時をお楽しみください」
柱からカプセルみたいなものが出てきた。中はしっかりとベッドになっている。
「この装置で、あなたの意識を10年間封印いたします。その間、肉体は我々にお任せください。悪いようにはいたしませんので」
僕は頷き、入る
光に包まれる
そこは緑豊かな自然に囲まれた世界だった。空気がおいしい。
僕は周りをキョロキョロと見渡すが何もない。暇だったので寝転がると…
突如、顔を踏まれた
「おうおう、オメェーが、アタシの訓練プログラムの被験者か!なぁ~に寝転がってんだ!ぶっ殺すぞ!」
そこにはメラがいた
僕は飛び上がって抱きつく
「メラッ!」
投げ飛ばされる
「たっく…気持ちわりーんだよ!抱きつくな!キメェ!言っとくけどよ!アタシはメラの意識をもとに作られた人工知能であり、プログラムであるMELAだ!着いてこい!来なけりゃ!ぶっ殺すぞ!」
僕は体中に痛みを感じながらも、どこかその痛みがどこか心地よく感じられる。
僕は走って付いて行く
「お~い!クロウィン!いっくぞ!」
NovyiMir…
ルヴィアはクロウィンの情報を入力した。これで、あのプログラムは彼をしっかりと名で呼ぶだろう…
ルヴィアは一筋の涙を流す
「世界は残酷ですね…彼はこの残酷な夢に耐えれるのでしょうか…いくら、本物をベースにしたとはいえ、所詮は偽物…あなたにとって永遠に近い時を過ごすのですよ…耐えれますか?壊れたほうが幸せなのでしょう…そうですよね…クロード会長」
10年後…
柱からカプセルが一つ出てくる…
ルヴィアはそっと蓋を上げる
中には一人の少年がいた。彼の名はクロウィン…
少年が目を開ける
瞬きをして…
「ここは現実か…」
ルヴィアは優しく笑って言う
「お帰りなさい…クロウィン君…いいえ…初めまして、クロード・ウィンコット、ご機嫌はいかかが」
クロウィンは一言
「シュルヴィア…」
ルヴィアは最後まで笑みを絶やさなかった
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