急章 《ユーロピア大戦2》





ローマ神聖東部SIDE…


突如、東部からボヘミア6万が現れ、北部からヤゲロー6万が侵攻してきた。その後彼らは合流し、ベルリン近くまで侵攻、シンフォニアとアラバルトが国を出たという情報を得た直後、両国は軍を動かした。まさに電光石火の動きである。

両国の将は、ヤゲローは勿論三大将、ボヘミアは勿論スワロフとその右腕ベルケル、左腕のシモンである。


それに対するのは…さすがは超大国ローマ神聖軍18万である。シンフォニアとアラバルトはいないが案ずることなかれ、ローマ神聖には100人の将軍がいる。今回は前回のオルデアルとの戦闘の生き残りである約70の将軍…ローマ神聖国内に残っている将軍全員が出迎えた。



百将序列1位と2位が語る

「あちゃ~、両国の総戦力が揃っちゃったよ!アラバルトじーさんがいないとスワロフ止められないし…三大将もクロムウェル大将が死んだから…こっちも止められないし…これぐらいの兵力で足りるかな?」


「足りなければ、負ける…それだけだ」


「じゃぁ、勝たないといけないね?勝ちにいこうか」




一方では…

「ふん、ヤゲローのひよっこ共と戦わねばならんとは…」

スワロフが鼻を鳴らす


シモンが

「閣下…これは陛下のためです。ご辛抱を…」


ベルケルが

「これが終わったら三大将殺してもいいんじゃね」




一方のヤゲローは…

「というわけで、パパが同盟を結んだから潰してこいだって!」

ピウスツキが無邪気に言う


ゲオルギーとイゾルテが黙って頷く


ピウスツキは続ける

「まず二人で突っ込んできてよ!そのあと僕が敵の本陣を潰すから~」


赤騎士と青騎士は頷く。白騎士は自分たちの主の息子である、無下には出来ない。





戦は前触れもなく始まる。イゾルテとゲオルギーが虎の子である鉄槍騎士団を筆頭に騎馬兵で突っ込む


ローマ神聖国は定石通り進める。前方槍兵を配置し、後方はひたすら弓を仕掛ける。その側面からは牽制として軽騎兵が弓を持ちながら出る。そしてひたすら射る。鉄槍騎兵はバタバタと倒れるが止まらない。


「突撃!」

先頭が声をあげて突撃しようと踏み込んだ瞬間…地面から生えた木の杭により串刺しにされる。


百将2位が笑う

「君達は進攻側で、僕らは守備側だよ?何も対策しないわけないじゃん。」


木の杭は斜めに突きだしている。原理は簡単だ。あらかじめ!浅く埋めておき。敵が近づいたらくくりつけた紐を引っ張るだけである。簡易だが、効果は抜群である。


「槍兵!蹂躙せよ!」

馬を無くした鉄槍騎兵など怖くない!ローマ神聖軍は次々と殲滅する。


ゲオルギーとイゾルテは迂回し、敵騎兵を狙うが先行してた部下が消える。巧妙に隠された落とし穴に引っ掛かったのだ。馬は急には止まれない!続々と落ちる。ゲオルギーとイゾルテはなんとか止めたが…突如茂みから隠れていた兵が現れ、穴に落ちた兵をボウガンと槍で殲滅する。


「てっ、撤退だッ!」


ヤゲローが撤退するのと同時にボヘミアが進む。

スワロフが笑う

「グハハハハァ~、なかなか面白いものを見してもらったぞ!青瓢箪ども!儂らはそんなオモチャでは倒せんぞ!」


百将1位が号令をかける

「全軍、備えろ!大天が来るぞ!」





その後は…一方的だった。

誰もスワロフ、ベルケル、シモンの三人を止めることが出来ない。どんなに防壁を…罠を張っても止まらない。ローマ神聖には絶望しか残されていないのだ。それに加え、ヤゲローの攻撃も激しくなる。それでも戦線が崩れずなんとか持ちこたえてるのは百将のおかげである。多くの百将を代償に赤騎士ゲオルギーを討ち取った。



その夜…ローマ神聖軍本陣


「お伝えします。今日で百将が15人討ち取られました…」


2位が

「う~ん、これで残りは30と少しか…もう半分やられたのか…なんとか持ちこたえてるが…時間が足りないな…」


1位が言う

「こちらは三大将の一人ゲオルギーの首しか取れてない…ボヘミアをどうにかせねば…」


2位が笑う

「スワロフは諦めよう!ベルケルとシモン、イゾルテなら殺すことができるけど?やる?」


1位は悩む

「出来れば敵の大将首を取りたいがそんなこと言ってる余裕がない」


「では始めよう!」



翌日、スワロフは悩む

「なんだあの陣は…まったく読めぬ…確認するか…シモン!ここに参れ!」


シモンが来る

「はっ、閣下!」



「シモンよ…あれをどう見る?」


シモンは率直に言う

「罠…いや、挑発だと思われます」


スワロフは悩む

「ん~、敵が何を考えてるのかわからん。脆そうだが…臭いのォ!」


ひょっこりとベルケルが現れる

ベルケルがニヤリと笑う。

「いいんじゃねーのか叔父貴、シモンなら大丈夫だろうよ!」



この日の総攻撃が始まる

シモンは突っ込む。


「近づけば近づくほど、違和感しか感じない。パッと見ると脆い陣だが、敵はそこまで愚かではないはず…」


シモンが陣を喰い破る。まるで紙を破るみたいな感触だ。シモンはどんどん奥に入る。

その時声が響く


2位が号令をかける

「鶴翼から魚鱗に変えろ!」

突如陣が変わる


「囲地だ!囲え!」


「蜘蛛の巣!」


2位は続々と指示を出し、突っ込んだシモンの部隊をズタズタにする。


「敵は細分化された!各個撃破せよ!」



その時、後方が喰い破られた


「ベルケルか…待っていたぞ!」



「シモン無事か!」


シモンは返り血に濡れながら返す

「なんとか…だが、部隊が…」


「ここは俺に任せろ!お前はここを離脱して、遊撃しろ!この包囲をなんとか崩すぞ!」


突如側面から人が躍り出る

「ベルケルその首頂くぞ!」

百将1位が



ベルケルが悪態をつく

「ボロス!貴様か!この陣は…ラムセイのか!」


一方でシモンは百将2位ラムセイと打ち合っていた。


「久し振りだねシモン…今僕、物凄く機嫌が悪いんだ!」


シモンは冷や汗をかきながら必死に合わせる

「なんて奴だ…味方を喰い破ったのか…」


「邪魔だし…いい目隠しになっただろ?あと君達の敵は僕だけじゃないよ?」


また側面から…後方から…前方から百将の生き残りが出る


「ラムセイぃ~!貴様ぁぁぁぁ!汚いぞォ!」


ラムセイはせせら笑う

「これは一騎討ちじゃないよ!戦争だよ!ちなみに彼らはイゾルテを討ったあとに駆け付けてくれたんだよ♪」


実はこの策は同時進行してたのである。ボヘミア側ではボロスとラムセイが…ヤゲロー側では3位と4位が指示を出していた。その後、イゾルテは30近くの百将と戦い、5人を道連れにして散った。そして残った百将は全てこちらに駆けつけたのである。



その後、異変に気づいたスワロフが攻めるが…百将10人の決死の守りで止まる。奇しくも、ここまでの戦いで生き残った百将は全て上位の百将であり、一人一人がベルケルやシモンに次ぐ能力を持った者達ばかりである。彼らが持ちこたえてる間。ベルケルとシモンは討ち取られた。だが、彼らの戦いぶりは素晴らしく。同じ実力のボロスとラムセイを圧倒してはおらずとも、互角以上に渡り合い、百将をそれぞれ3人を道連れにしたのだ…とうとう、スワロフがたどり着いた…討たれた二人を見て怒りが沸く、


その後、ローマ神聖が喜んだのはつかの間、また地獄を見ることになる。グレートオールドが暴れだしたのだ。生き残ってた百将が呆気なく潰される。また一人また一人、生き残っているのはボロス、ラムセイ、3位と4位である。


スワロフが高らかに吠える

「蹂躙せよ!この戦に火種をくれてやるわい!燃えよォ!さぁ!一緒に燃えようぞォ!貴様らァ!」


スワロフは大矛を振る。また人が弾ける。ローマ神聖軍は初めて知る。グレートオールドは軍が強いのではない…グレートオールドそのものが化け物だと言うことを。シモン、ベルケルがいなくなった今、スワロフは手を抜く気がなくなってしまった。無意識に彼らの力量に合わせてしまったのだ。ここで本来の力を呼び起こす。久し振りの全力である。


スワロフは全力を出す喜びに震える

「我が同胞よ!力を振り絞れ!進め!シモンとベルケルを殺した野蛮人は前におるぞォォォ!我らは前に進むのみ!儂に続けェェェ!我らの手に勝利をォォ!」


その日ローマ神聖本陣は地獄と化した





見たか!有象無象共!これが旧世界の支配者グレート・オールド・ワン


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