転章 《グレートオールドの力》





この日世界は震撼したはずだ。なぜならオルデアル一人を殺すためにこれでもかという人が集まったのだ。後に、いや現在五国連合と呼ばれている内訳をみてみよう。


ユーロピア最大の国家ローマ神聖15万。かの国は国力を伸ばし動員限界を30万と増やした。その半分にあたる15万を率いるのは三大将とそれに従う百将上位の面々。新興勢力ブリタニカは7万、それを率いるのは無論、丞おエリザベータと魔導士メルラン、12騎士である。次はヒスパニアは12万でこちらを率いるのは新たに任命された5人の元帥である。実力は未知数である。その重い腰を上げたフランクは乗り気ではないのか5万と最も少ないが侮ることなかれ、率いるのは白老バーゼルと鬼熊シュステルベルクがいるのである。最後は今回の主催者聖ローマ12万である。率いるのは勿論救国の三英雄である。


五国連合51万に対するのは…聖王オルデアル率いる20万だ。その軍事力はどこから捻出したのか言うとマケドニア侯国の住民だ。マケドニア侯国は帝国のユーロピア進出の足掛かりとして出来た国であり、住民は皆兵士である。普段は護衛や危険生物の駆除、盗賊の取り締まりと傭兵業を行っているが、一度号令がかかるとこのようにあつまるのである。




五国連合SIDE…


今回の総大将レナードが口開く

「今回は我が国の号令に集まり感謝する」


バーゼルが

「ホッホッホッ、そんなに畏まらんでいいのだよ。若人よ」


五元帥の一人、年長者が言う

「して、作戦は?」


サイランが作戦を伝える

「一週間まで、全戦線が前線を破り、一週間後一斉突撃する。一斉突撃まで各国は各々自ら好きなようにすればよい」


アラバルトが

「なんじゃ、そんな曖昧な作戦わ?」


シュステルベルクが

「なるほど、昨日まで敵同士だった我々がたかが一日で同じ軍隊にはなれないということか」


サイランが首肯する

「その通りだ。故に好きなようにすればよい」


バーゼルが言う

「これは提案なのだが…国の配置は我にやらせてはもらえんかのう?」


サイランが促す


「では、五か国を普通に横に並べるのは愚策じゃな?真ん中を両断されたら元も子もない。故に正面をローマ神聖、右翼を聖ローマ、左翼をフランクとブリタニカ、後方をヒスパニアでよろしいかな?」


サイランが言う

「合理的だな…」


皆も概ね納得だ。さすがは凡将、下手は打たない。つまり、正面は国力が高いローマ神聖を置き、後方は実力未知数のヒスパニアを置いて、左右は数合わせだ。


レナードが高らかにいう

「さぁ、皆の者!聖戦だ!」



オルデアルSIDE…


「オルデアル様、全員戦闘配置につきました!」


オルデアルはにっこりと笑う

「ご苦労。ん~やはり予想通りとなったね。あれだけ個性が濃いとどうしてもあのような配置となり、奇策ができない。故に白老が冴える。逆にこちらは奇策が出来るが…はじめは常識的に行こう」

オルデアルは何ともないように言う

「さぁ諸君!侵入してきた害獣を追い払おうではないか。我が国のソフィア陛下のために」


「「「「「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」」」」」




そして戦は始まったのである。

まず最初に仕掛けたのは五国連合、前線の4国から左からエリザベータ、クロムウェル、シュビナー、レナードが騎馬を率いて突撃する。その数20万!


一方オルデアルは愉快そうにそれを眺める。

「いやはや壮観だね。さすがは白老ブレないね。だから僕は好きだよ。君のそんなところが、故に定石には定石を!伝令、伝えてくれ、全員・・槍を持てとね」


その後青い火が灯った矢が上空に音を鳴らしながら飛び、それに続き各地でラッパが鳴き青い旗が振られる。


そして前方の騎兵が射程内に入ったら太鼓の音と同時に槍が一斉に投げられる。元来ローマの兵士は重装歩兵と軽装騎兵に分けられていた。重装歩兵はアホみたいに重い兜鎧盾を持つ兵士である。つまり奴らは筋肉ゴリゴリの兵士なのである。そんな筋肉ダルマが全力で投げた槍など、綺麗に敵兵の盾を、槍を馬を、そしてわが身を貫く。その数20万!前方は阿鼻叫喚の地獄図である。運よく槍に当たらなくても。目の前で倒れた戦友が、戦馬が、なぜが穂だけでなく全身鉄で出来た槍が進行の邪魔をする。馬は急には止まらない。


オルデアルが嗤いながら言う

「重装騎兵突撃しろ。槍は投げても構わん。前方には20万本もあるぞ。重装歩兵それに続け。総攻撃だ」


緑の火が着いた鏑矢が、ラッパが、緑の旗が、太鼓が、銅鑼が、兵士の雄たけび声が総攻撃を知らせる。

20万の波が押し寄せる。後方がいくら弓矢も撃とうが止まらない。


この後、先鋒部隊は壊滅した。左翼右翼は突破を許し後方まで激しい侵食を受けたが、オルデアル率いる中心は固定されていた。何故なら…



「貴公がオルデアルだな、我が名はシュビナー、唯のシュビナー、お前を殺すものだ!」

「俺は同じくお前を殺すものクロムウェルだ。今は地位も名誉も関係ない!」

二人は今震えている。本物のグレートオールドを見たのだからだ。自分らを守るために、玉砕した自分の部下や一門が彼の下で転がっている。


オルデアルはにっこりと笑う

「いい気迫だ。君は<聖剣>と<狂鬼>の子孫だね。噂はかねがね。君たちの部下、一族は素晴らしい。御覧なさい。私の軍は後方まで言ってるが私の部隊だけはもうこんなにも遅れている。君たちの命をかけた頑張りのおかげだ。私は君たちを忘れないよ」


二人はオルデアルに全身全霊を掛けた生涯で最高の一撃を繰り出す。その一撃は彼らの祖、<聖剣><狂鬼>をも超える一撃だったが…オルデアルはそれを片手一本の剣で受け止める。


「見事だ。君たちは私を止めただけでなく下がらせた」

足元を見ると、一歩下がっていた。不敗の化け物を下げたのである。そして同時に二人の意識は消えた。オルデアルが目に映らない神速の一撃で倒したのである。


彼は死んだ二人の部下を見て微笑んだ

「さぁ、君たちはどうするかね?」


彼らの部下は皆雄たけびをあげながら突撃し砕けていった。


オルデアルは周囲を全滅させた後、ゆっくりと戦況を見極める。

「初日で20万は痛いよ。しかも3大将のうちの2人と百将を失うと流石にどうだろうか」



この日の戦は終わった。一日で五国連合は20万を失った。皆が絶望したが一人だけは笑った。


その名は…サイラン…


「ありがとうオルデアル。これで勝利は…俺らの物だ」

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