破章 《王侯会議》





今日は久々の休暇日である。メラの訓練はスパルタを超え、虐待とかしているが、回復の余地がスレスレある時には、一時中断して休ませることがある。休んでいる間は何をするのか、それは傷ついた体を治すいわば超回復の期間である。初日は指一本も動かせないため、メラは回復魔法と鍼、薬、マッサージ、時には手術などをして、一日で無理やり治す。もちろんすごく痛いし、手術は麻酔無しだが叫ぶと殴られるから耐える。二日目は主に鍼とマッサージで乱れた気や不必要な部位の筋肉移動、骨格の調整などを行う。そして今日三日目は体を慣らすために普通に生活する日である。僕は船内を散歩したり、船員とカードや将棋シャトゥランガなどを楽しみ、ご婦人とお茶とおしゃべりを楽しむ。一方でメラは何をしてるかというと、ベッドの上でタバコを吸いながら新聞や雑誌を読み、缶ビールや瓶ビールを飲みながらノートパソコンと呼ばれる遺失遺産3台を同時にいじり、これも遺失遺産である無線機と呼ばれる箱で誰かと会話してる。夜になって部屋に帰ると床は瓶と缶で埋まり、ベットの上は吸殻で埋まっているのが当たり前だ。一応仕事をしているらしい…



夜、メラがいう

「おい、クロウィン、知ってか?聖ローマで政変が起こったのを」


「知らない」


瓶を投げられた


「テメェー、新聞読めよ!」


理不尽のも僕の頭に当たった

「だって、メラは見せてくれないし、高いもん」


「はぁ~、しゃーねーな、まず枢機卿団、ハト派が異端審問会1部により全員失脚した。彼らは自由都市の商人と結びつき、腐敗の元凶となっているからな、次は教皇が下ろされて、タカ派の男がなり、ここからが凄いぞ。強制審問宣言を国内で発令をして内戦を起こした。もうすぐ停戦協定が発動するからな、うまい手だ。審問会1部を使い地方の教会をどんどん断罪し中央の求心力をたかめ、非常事態として聖騎士団の実権を奪いやがった。そんでやめさせられた野郎どもはケルンへ逃げ新教皇庁を設立し、前教皇を対立教皇に仕立て上げ、プロテスタント諸派の暫定的な総本山アヴィニョンと提携を結ぼうとするが断られ、聖騎士団をけしかられ、3日でつぶされた」


凄いまるで小説だ

「すごいね、その後どうなったの」


「今の教皇はピウス1世と名乗り、改革を行った。まずジジイの削減だ。徹底的に減らした。次は軍の改造だ。僧兵と十字自警団を教会軍に統合し神兵の下に神聖騎士団と聖騎士団を組み込んだ。教会軍を寄せ集めの信徒から諸侯軍に切り替え、名だけでなく実もいれた軍隊になった。最終的には最大動員数を100万から70万に減らす予定だ。これで聖女派は神聖騎士団から分離した聖杯騎士団、勇者、戦巫女の軍シールドメイデン、剣従士だけとなった。面白いことになったぞ」





聖ローマSIDE…


大聖女ウルティマはヒステリックに騒ぐ


「なぜよ!なぜわたくしの軍がとられてるの!私を誰だと!この世で最も尊い大聖女なのよ!私を守る盾が薄くなってはどうするの!あの白髪鬼が来たら!」



レナードはなだめる。

「大丈夫だよウル、僕がいる、だから安心して」


幾分か落ち着いたようだ

「ああ、レナード、あなたがいるなら安心よね。あなたは最後まで私を裏切らないよね」


レナードは微笑みを浮かべる

「もちろんだ」



その後ウルを抱き去っていくレナード、廊下でサイランとすれ違う


「どういうことだサイラン」


サイランは足を止める

「何がだ」


「聖女の軍だ、貴様ら何をした」


サイランはつまらなさそうにため息をつきながらいう

「簡単なことだ、みな偽物・・に飽きただけだ。お前も。あのバカ女もな」



レナードは激昂する

「なっ…貴様今日という日はここで斬ってやる」


剣を抜いた瞬間サイランのナイフではじかれる

「神聖騎士団も聖騎士団も別にお前ら専用の駒ではない、奴らは預言者、いわゆる神殿のシステムに従っていただけで、先ほどまでは最上位である大聖女に従っていたが、今は違う」


レナードの眼がみるみると見開かれる

「まさかその服…」


「そうだ、神殿のシステムで最も預言者に近いのは大聖女ではない、大神官だ。今は女人禁制だが神官の身分があれば入れる。近く神官を入れる予定だ。」



レナードは震える

「馬鹿な神官は800年にわたって誕生してない、預言者の託宣により声の聴ける者のみ、お前は聞けるのか」


サイランは初めて嗤う

「ああ、あの日、勇者の宣託の日俺は彼女の声を聴いた。俺が勇者だと、実際は違ったがな。まぁ、どうでもいい、心底興味がない。俺はただ神になりたいだけだ」


レナードは震えるしかない

「あ…く…ま…」


サイランは笑ったままだ

「せいぜい足掻け、お前らはもう踊るしかないのだからな」


サイランが去っていく



翌日神殿に多くの神官が現れた、古来から封印されてきた儀式を復活させ、多くの巫女、聖女、シールドメイデンが処女を散らした。勿論大聖女も例外でなく、サイラン自らの手で処女を散らされた。聖杯騎士団、勇者は黙って見ることしかできなかった。



これを聴いた教皇ピウスは大声で笑う

「いい仕事をしてくれるじゃないか≪アルテイスト≫、お前のシナリオ存分に使わせてもらうよ。けどこの≪アポカリプス騎士団≫が最後は勝たせてもらうよ」


彼は六角の一つ、異端審問局2部3部の局長であり騎士団オルデンの首領でもあるのだ。1部は聖職者や信徒の通常裁判、2部は異端の駆除、3部は神敵の駆除を主任務とする。


「さて、プロテスタント諸派との抗争は後回しにし、王侯会議が終わったら、東西教会の統一させてもらうよ。王侯会議のわがゲストは勿論三英雄だな」





ユーラシア連邦首都冬都、オリンピア祭当日…


僕らはノートパソコンで閲覧している、つか凄いなこの機械

まず初めに入国したのはピウスツキ大公に率いられたヤゲロー大公国とバルト三国だ。後ろには三大将がそろっている


アナスタシア2世に宰相カインが補足する

「ヤゲローは最大動員数は4万でバルト三国は1万2千が限界でしょう。今はピウスツキが傭兵8000を雇っていますから実質6万、赤のゲオルギーはその圧倒的な膂力から繰り出される怪力が持ち味の古めの将ではございますが、伝統を重んじるヤゲローにしては破格の柔軟さを兼ね備えており、ユーロピアで最初に小銃を使うことを先代に進言するほどでございます。続いて、青のイゾルテはユーロピア一の槍使いであるとともに魔眼<数理の眼>の持ち主でございます。こちらは人の力量を数値化、軍団の数を即に数値化をする眼でございます。」


アナスタシアは笑う

「知ってるわ。帝国の豪傑大将軍の息子、現帝国陸軍最高司令官豪淳も持ってるわよね。で、精度は、範囲は?」


カインは続ける

「人の精度は潜在能力まではいけず、軍は10万ですと1000の単位で、数が減っても500まででしょう」


アナスタシアは侮蔑するような眼で見る

「駄目ねぇ、豪淳なら100万軍勢で100の単位まで10万なら50までできるわよ。そもそもその能力って100万同士の戦いで威力を発するのよ。つまり軍の均質化、敵の偏りに合わせての配置転換、兵の数が少ないユーロピアではあまり意味がないわよ」


カインはとにかく続ける

「彼女はそれを軍の損失の計算に使っております。彼女は自分の兵を平気で切り捨てたりします。その冷酷な計算が彼女を大将と登り詰めさせたのでしょう。最後は白のピウスツキジュニアです。彼はよくわかりません、智能も武力も、すべてにおいて全くの才能が有りません」


アナスタシアは面白そうに笑う

「あら、ではなんでそんな人を大将に、さすがにピウスツキでも息子だから大将を与えるほど頭が悪いはずではなくてよ」



「はい、ジュニア彼は天運と超直感の持ち主であります。そのため、彼の軍の配置、作戦はデタラメなものばかりで、理解しがたいが勝てる将です」




次はルードヴィッヒ2世に率いられたローマ神聖国である。


「ユーロピアで最も勢いがある国でございます、常時12万、最大動員数は25万でございます。将軍は100人おり、百将と呼ばれております。先頭の三人が大将で、<不倒翁>アラバルトは反客主攻、つまり敵の隙をついて攻め、敵の地で陣を作りひたすら敵の攻撃に耐え、敵が疲れたら猛攻と側面攻撃を与え潰す。動くときに動き、動かないときには全く動かない戦闘スタイルであり、猛攻はどの軍よりも激しいです。ライバルのスワロフはそのスタイルを弓に例えております。限界までに引き絞った弓矢のようだと。」


アナスタシアはなるほどとうなずく

「軽快なフットワークと、強馬の重装騎兵を使うスワロフにとっては苦手な部類ね」


「二人目は<剣星>クロムウェル、騎馬兵を主体とした軍を率いる男でございます。その騎馬能力は山中森林を自在にかけるほど連度が高く、彼自身<剣聖>の子孫であるゆえ、剣、馬上槍の一騎打ちに関しては未だに無敗を誇っており、彼の一門は皆二つ名持ちでございます。息子は<聖剣>と剣の技量では父親を超えております。三人目は<王壁>シュビナー、あまり前線には出ないですが守戦を得意とする将であります。精鋭とは聞こえがよいですが、個の力が強すぎて連携が取れない兵を適材適所に配置用兵する将でございます。彼自身<狂鬼>の子孫でありまして、自身の戦闘ではもう一つの凶暴な人格で戦う将です。」




次はフランク民主共和国で、先頭はエーヴィヒルトとバーゼル元帥である。


「平時5万、動員限界数10万の国で攻められない限り戦争を行わない国でございます。筆頭将軍は<白老>バーゼル元帥、凡将です。定石通りしか用兵できないため、攻城戦と要塞戦しかできません、平野の戦いでは必ず負ける将でございます。」


「けど守るのならそれでいいんじゃないのかしら、それよりもシュステルベルクよ」


アナスタシアの興味は勿論彼だ。連邦は彼に一度辛酸をなめさせられている。

「北部の英雄シュステルベルク、近代兵器を用いた我らでに旧式の小銃と大砲で土をつけた男、ゲリラ戦、夜襲、待ち伏せ、包囲戦、すべてにわたって傑物の類でしょう」




ヒスパニア人民連邦共和国がグレナムに率いられて入国した。


「平時12万、限界動員数20万、特に優れた将はございません。ディエ・エスと5人ともにではございますが互角にわたった5元帥のうち3人は死刑、2人はもう体を動かせない様子です」


「…」




次はピウス2世に率いられた聖ローマである


「平時は12万、動員限界数は不明です。これは<救国の三英雄>が有名でございますね。<勇者王>レナード、現在星別に階級を付けた勇者制度が確立され、その頂点に立つ、唯一の七つ星です。先頭スタイルは猪突猛進の脳筋です」


アナスタシアはつまらなさそうに

「なら簡単ね」


「次はシンフォニア公爵、彼自身は特別に優れたものはないですがすべてを兼ね備えております。先の大戦で三国を僅かな寡勢で、レナード、サイランが現れるまで、軍を整えるため時間稼ぎを行いました。最後はサイラン、彼は武ではイゾルテよりわずかに劣る槍の名手ですが、彼自身は戦わず人を指揮する将でございます。その指揮は徹底的に合理的で計算されており、指揮能力だけならこの世界一です。彼の二つ名は<軍神>です」



「グレートオールドが強いのは個人、指揮する兵、そのほか全てをひっくるめた戦力だもの、将棋シャトゥランガとは違うのよね」



その後北部諸侯国群、カルタゴ、自由都市同盟がそれぞれ入場したが、自由都市同盟が入場したとき歓声が沸いた



立派な黒い顎髭を蓄えた筋骨隆々の壮年が馬上で手を振る


皆が騒ぐ

「ガトーだ、<傭兵王>ヴィゼール・ガトーだ」


特にヤゲローからの歓声がおおきい



「カイン彼は?」


「ガトーです。当時ユーロピア最強だったヤゲロー王国の先先代三大将の副官を一人でこなした傑物です。三人がこの世を去った後、内定してた三大将の座を捨て傭兵となった男です。彼は人の戦い方を見て記録し実践する能力にたけた男で、彼の戦術は三大将のとよく似てます。今は最強の傭兵集団を率いる男です」



冬都の正門に信じられないほど強烈な殺気が溢れる


「陛下…これはマズいですね。あの三人を鉢合わせるのは」


「…」


門から出てきたのはグレートオールドの三人、<聖王>オルデアル、<大天>スワロフ、<巨神>ディエ・エスである


スワロフが

「くぅ~、邪魔じゃのお、お前ら老人に道を譲らんかい、この若作りに、筋肉ダルマ」


オルデアルが

「うるさいジジイですね。スワロフ、老けてんですからさっさと寿命で死んでください。それにディエ・エス、暑いですよ。汗臭いですよ、離れてください」


ディエ・エスが

「黙れ貴様ら、目障りだ消えろ、俺様に消されたいのか」


「なんじゃぁ~この脳が筋肉でできてるようなでくの坊は、老人に優しくしろという言葉を知らぬのか」


「知るわけないでしょう、呆けたのですかスワロフ、このゴリラには何を言っても無駄です。はぁ、バカゴリラと痴呆症のジジイと同格にされるのは不愉快ですね」


「んだと、貴様、殺すぞ。今すぐに殺してやる」


「うるさいわい、この筋肉バカよ。若作りよ、お前もこのゴリラも同じジジイじゃて」


「言葉もジジイになってるやつは黙れ、このいけすかねぇやつをぶっ殺してやる」


「私は今でも十分に若いですよ。むしろ今がピークですとも」


「ふん、それでも俺が最強だひねりつぶしてやる」


「わしもまだまだ現役じゃて」


「あなたはさっさと死んでください」


「ムキー、怒ったもんね」



彼ら三人の後に続く将はもちろんほかの国に行ったら筆頭将軍になってもおかしくない、とても豪勢なメンバーではあるが、そんな彼らさえも消し飛ぶほどに、グレートオールドは違うのだ



最後は本日最大のゲスト、連邦のライバルである亞洲帝国である

帝国を構成する各国々が通り、最後は亞洲帝国の中心国家香皇国、皇帝ニナと丞相ユニが来たのである


アナスタシアは邪悪な笑顔を振りまき

「来たわね。詳細は王侯会議で、何が出るのかしら、クス」




ニナSIDE…


「ニナ、来たわよ…本当にいいの…」


「…わかってる。連邦と終戦協定を結ぶ。帝国は連邦ともう戦わない」


「…先祖を裏切るのね。いいわ、姐さん、あたしも背負うわ」


「ありがとう。妹のためにも、これから生まれるであろう子供のためにも、私たちで連鎖を断ち切らねばならない」



オリンピア祭がついに始まる


第二次ユーロピア大戦勃発まであと半年を切ったのである



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