承章 《帝国…》
僕らはマケドニア侯国首都スコピエで一泊し帝国を目指している。本社から届いた装甲車で絶賛爆走中だ…マケドニア侯国はハンガリア公爵領とともに、東ローマが西ローマ統一のためにユーロピア進行の足掛かりとして設置した国である。後にハンガリア公爵領が独立したのに対し、マケドニア侯国は属国のままでいたため、先の大戦ではゲルマニスクの併合を逃れることが出来た。両国とも人口は20万で首都人口は共に2万である。
今僕らはとうとう帝国国境を越え、待ち合わせ場所である東ローマ第二の都市、ティミショアラに着いた。ここまで半年かかった大旅行である。目の前には赤い甲冑と仮面、マントを着けた騎士達と合流した。
隊長らしき男が仮面を外し、声をかける。
「お勤めご苦労様です。帝国皇帝直属親衛隊
キレるハルバードに対し中指を立てるメラ
「相変わらず声がでけーよ、禿ぇ。いいだろ、ただユーロピアのド田舎でバカンスを楽しんでただけだよ」
ハルバードはもう嫌だという顔をしながら
「でしょうね…メラ殿だったら何を起こしても諦めます。ここで無駄話はやめましょう。主席枢密司様からの催促がうるさいものでして、さっさと行きましょう」
メラが怒る
「おい、禿ぇ、テメェあたしの扱い雑すぎだろ」
ハルバードは何となくメラの使い方がうまい
「メラ殿だからこそ、いいんでしょう」
ギャーギャー言い合いしながら、亞洲帝国東ローマ国首都ビザンティウムに着いた。冬都を参考して作られた都市のためか冬都と同じく三重防壁に囲まれた都市である。帝国に存在するいくつかの
ネレイアデスが説明する
「クロウィン君、ビザンティウムは7つの丘の上に建ち4街区を中心に14区画に分けられた都市で、皇宮である大宮殿、9つの宮殿、9つの港、13の競技場、100の尖塔153の浴場、400の教会を持つ都市よ。
ビザンティウムはまずボスポラス海峡を隔てて炎の一族の居住地である
その後皇宮に行き
今僕らは皇宮の一室にいる…
「メラ~会いたかったよ、ハァハァ、クンクン、スーハースーハ、ジュル、ペロペロ、チュパチュパ、」
今、目の前ではお子様には見せてはならない光景が広がっている…12歳児にしか見えない可愛らしい少女がメラの胸元で何かいかがわしいことをやっている…
「………おいミネア…あたしそっち方面の気がないんだが…つか、離れろ、気持ち悪いわ。胸元お前の唾液でべちゃべちゃじゃねーか」
12歳児は顔をあげ、蕩けるような笑みを浮かべて言う
「いいじゃな、あたしはメラを欲情の対象しか見てないわ!」
メラはいやそうに言う
「いや、ロりババアに愛されたくねーわ」
ミネアが背徳的な笑みを浮かべる
「違うわよ、ロりネ~サンよ」
ちなみに炎の一族は300年以上生きる種族であるが一応老けるはずである。このババアはとっくに平均寿命を過ぎてるはずなのに外見は老けるどころかむしろ若返ってるらしい。こんななりではあるが一応現女王の大親友であり、宰相を務める大貴族でもある。
優しそうな声が大広間一面に静かに響く
「こらこら、ミネア、メラちゃんを困らせちゃだめよ。お久しぶりね、メラちゃん。お帰りなさいネレイアデス大将軍待ってたわ」
ネレイアデスが跪く
「ご機嫌麗しゅう、ソフィア陛下。ネレイアデスここに帰還いたしました。」
50過ぎにしか見えないの美魔女東ローマ皇帝ソフィアが微笑んで返す。
「じゃあ、あたし等はここまでだな」
メラの前にあろ男が立つ、全身真っ白いでたちをした不思議な男だ。長く蓄えた白い髭と髪、だが顔には皺が一本もない若々しい顔である。体からは生命力と神気が満ち溢れている。彼こそは…
「オルデアル…」
グレートオールドの一人、戦に出て半世紀、一度も負けたことがない男、不敗の怪物聖王オルデアルである
「まぁ、ゆっくりしてくれたまえ、売人よ、時間はいっぱいある」
何故かメラは渋々と従う
「…いいだろう」
というわけでしばらく滞在することになった
その夜…
眠れないので城内を散策し、庭園の椅子に座ってると背後から
「眠れないのですか?確か、クロウィン君でしたよね、フフ」
僕はびっくりして振り返る
「ソフィア陛下…」
ソフィア陛下は慈愛に満ちた笑顔で
「ソフィアでいいわ。メラちゃんの同伴者なら無礼もないもの」
とても親しそうな女性だ
「どうかしらこの国は、他の国と比べて」
僕はありのままの言葉で言う
「とても豊かな国ですね…同じキリスト国家である聖ローマとは全然違いますね」
ソフィアの顔がぱぁーと花開く
「ありがとう、うれしいわ。この国はねオルデアルとミネアのおかげでできた国なの、昔はここの首都以外は全てイスラームにとられちゃって、私たちは神に祈るしかなかったの、けどあの子、オルがね、頑張って今の領土を取り戻してくれたの。その後ミネアがイスラームと和解し、香皇国が攻めてきたときも犠牲を最小限に抑えてくれた…オルがいなくなるとこの国はもう駄目ね」
僕はそれはないだろうと思いながら
「けど当分は大丈夫じゃないんですか?」
ソフィアはため息をつく
「当分わね、けどあの子は人間、80年までしか生きられない…今は膨大な魔力で肉体を最盛期のころまで活性化してるけど、いずれ衰える…」
しばらく沈黙した後
「私ね、昔オルと結婚するのが夢だったの、炎の一族は人間の約4分の1のスピードで精神と肉体が成長するの彼と初めて会ったとき私は80歳で彼がまだ15歳だった、ひと目惚れだった、人間にするともうヨボヨボのおばちゃんだけど、心と体はまだ20歳よ。けど当時は私は今にも滅びそうな国の女王、彼は唯の少年兵、けど少年兵から彼は英雄になった。私は女王、彼は英雄、嬉しかったわ。これで釣り合うけど彼は結婚が出来ない司祭になった。落ちこんだわ。彼は言った、この国を守るため、私を守るために神の僕となろう。嬉しかった、彼らしいと思ったの、ただそれだけ。ごめんねクロウィン君、こんな話をしちゃって、お休みなさい、あなたに主の御加護があらんことを、エイメン」
朝、僕らはこっそりビザンティウムを出て帝国最大の都市人口200万の超巨大都市バグダードに着いた
「メラよかったの?」
メラは嫌そうに
「ああ、ミネアの奴に全身舐めまくられたからな」
「…」
メラは名残惜しそうに
「いいんだよ、これで、あの都市は優しすぎる。あたしみたいな奴にとってはいささか住みにくい」
「メラ次はどこに行くの」
「
「えっ、またカルタゴに?」
「違う、南だ。いったん、東に行き天安からモガディシオまでゆっくり船旅をするぞ。大八洲に行きたいがあの国に上陸するのが難しい。」
「アフリカってどんな国なの?」
「あの国は人間、神族、炎の一族、霜の一族以外の種族の連合国家だな」
「例えば?」
「サハラ砂漠以北は人間、以南でサバンナは獣人族や亜人族の集落、マダガスカルを除く熱帯森林はダークエルフやハーフエルフの集落、山脈地帯は小人族|(ドワーフなど)や竜族、巨人族の集落、砂漠地帯は
その後僕らはペルセポリス、デリー、洛陽を経て天安に着いた
天安…それは連邦のライバルである亞洲帝国の首都である。冬都、ビザンティウムと同じく三重ではないが城壁に囲まれた都市である。高さは普通の都市の2倍以上、連邦と同じ高さであり、楼閣があるから実際は帝国よりも高い。中に入ると赤い建物、全て赤で統一されており、真ん中の大路はオートモービルが12台並べても余裕があるぐらい広い。冬都は中央に王宮があり、街は放射状に広がっているのに対し、天安は条坊制、所謂碁盤の眼状に広がっていいるのが特徴である。
「立派だね…」
僕は圧倒される、メラはぼろ糞言うけど、冬都に負けてない
「あったりめーだろ、これぐらいねーと連邦にケンカ売れねーぞ。まぁ、皇帝独裁国家だからな。いくらでもできるだろう。けどあの王宮内では何が起こってるんだろうな、キシシシ」
今、先の大会戦で宮廷は荒れてるらしい。皇帝と軍人、官僚、宦官、外戚、後宮、王族、貴族、軍閥、財閥の権力闘争が絶賛開催中で連邦からすれば大万歳だ。
僕らは大飯店”中南海”に一泊し、香皇国の最大の港香港で豪華客船”ドラゴン”でモガディシオへ目指す
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