起章 《超越者達…》
「お嬢様、それには賛同しかねます。確かに先ほど枷を着けて戦いましたが、結果はご覧のとおり。なのに、お嬢様は私に枷を外すなと…普段なら従いましょうが、今はルベイ家の誓いよりも遥かに重要な仕事が あるのです。《我が名はシュルヴィア、汝等はなんぞや》」
その場から澄みきった声とひび割れた声が響く
《右手…我が名はスペンタ・マンユなり、左手…我が名はアングラ・マンユなり…右それは創造を、左それは破壊を…汝はなんぞや》
シュルヴィアが叫ぶ
《我は両の腕を…手を欲するものなり、我は両の腕を…手を持つものなり、故に我に力を貸し与え給え!!!》
シュルヴィアの背から右は白い翼が左は黒い翼が顕れた
メラが呟く
「天使の依身となったのか…それとも喰ったのか…どちらかわからんな…」
一方で、無表情なアリアーデはため息をつく
「はぁー、めんどくさいことになった、仕方ない、《虚数界》」
突如三人が消えた…その時後ろから殺気を感じた、ネレイアデスは法石を出し結界を作り、その結界に何かがぶつかる
「ひゃっほー、初めましておにーちゃーん!私セリアっていうんだ。よろしくね、ニシシシ」
といいながらピンク色の髪をした少女が猛スピードで跳び蹴りをしてきたが、僕は冷静に避け、足を掴み地面にたたきつけようとしたが、後ろから魔力を感じ、手を放し避ける
「セリアちゃん…予定と違うよ…初めまして…一応あなたの妹のユリアです。無能者のあなたが兄と思うと虫唾が走るのでこの場で死んでください」
それに対し、セリアが大げさに反論する
「駄目だよぉ~ユリアちゃん!おねーちゃんが生け捕りにしろって言ってたじゃない」
「ならセリアちゃん、こいつの手足を切り落とすなりすればいいってことだね。その途中で死んだら、私のせいではなく、こいつが脆かっただけって報告すればよいから」
セリアが大仰に叫ぶ、ほんとにうるさい奴だ
「それは名案だね!というわけでおにいちゃんやろうか!ニシシシ、けどユリアちゃん!先に私だけでやらせて、お願い!いいよね!」
ユリアは渋々ながら頷く、実は子供っぽいユリアのほうが年上で、能力的にもアリアに続き歴代2位を誇っているのだ
僕はメラから貰ったセラミックナイフを出し、右手で順手で持ち、左はいくつかのナイフを隠し持つ。
「おにーちゃーん、行くよ!《風刃》!」
目の前からカマイタチが起こり、僕の体をズタズタに切り刻む…わけがなく、全てナイフで空気をかき乱す。
「ヒュー、ヤッルゥ!さすがおにいちゃんだね」
セリアが無駄口を叩いてる間に暗勁で一瞬距離をつめる。
「うっ、うそぉ~、あたしピンチ、やられる!なぁーんてねっ!」
セリアが消える。代わりに自分の体が風で刻まれる
「ぐぅ」
残念ながら自分はメラみたいに気合いで自然治癒力を異常に高めて傷を治す(気合いでどうやって治すんだよ)すべはまだ知らない…
「ニシシシ、危ない危ない」
僕は時間を稼ぐために
「体感時間を止めたのかぁ…」
僕の言葉にセリアが本当に驚く。
「どうしてわかったの!ねぇねぇ教えてよぉ~」
僕は答える
「心音と体内時計が狂っている…それだけだ。その固有能力
セリアは嬉しそうにはしゃぐ
「よく知っているね!おにーちゃん!普通はみな気づかないんだよ」
「それは全部で3パターンがある…お前は
セリアは大喜びで手を叩く
「正解正解!だぁーい正解だよ!すごいよおにーちゃん!うん、教えてあげる。今のは体感時間を止める中途半端な能力の使い方をしたから息を止めるという制約がついたの、ホントに時間を止めるならまず心臓を止めないといけないし、止めた時間分のツケが解除した瞬間に振ってきて下手したらヨボヨボのおばーちゃんになっちゃうし、皆凍結しちゃってるから止めている間は攻撃が出来ないんなど使い勝手が悪すぎんだよね。他にも速くしたり遅くしたりすることもできるけどこれも代償がきついから、体感時間をずらす感じに使うの」
「嘘だな…いや、足りないなお前からはその能力者特有の
セリアは何かに気付く
「ニシシシ、まるで別人だね!先程覗き見てたおにーちゃんとはちがうよ」
そしてセリアが消える、否、後ろに移動して僕の首を絞めようとしたが失敗した。
「うそぉっ!」
仕掛けは簡単だ。体感時間を止めるだけであって、無生物は止まらない。彼女の魔力が揺らぎ始めたときにナイフを落としたのだ地面に、ナイフが地面に刺さり、数瞬後地面が割れたのだ。
「理屈は簡単、砕点を押しただけだ」
その間に距離をつめナイフで目に映らない速さで正中線、水分、建里、鳩尾、玉堂、華蓋、天突を突き刺しかき回す。
普通ならこれで即死するが、能力を常時使用しているのか時間が巻き戻るが、巻き戻った瞬間にまた繰り返し殺す。
「セリアちゃん!」
ここでユリアが参戦する。僕は前を見たまま後ろに跳びユリアの目の前で反転するのと同時に脇腹に蹴りをかますがユリアは血と胃液と吐瀉物、胆汁、膵液などを口から出すも耐える。そして僕に触れようとしたため、後方へ蹴り飛ばすが動かない。けど僕は蹴った反動で後方に跳び、回復しつつあったセリアの頭を踏みつぶす。
ユリアが狂ったように
「何なの、お前は!無能者がなぜ能力者にこうも戦える!」
そしてメラが答える。
「簡単だよォ、テメェらはその魔力に胡坐をかいて、ちっとも努力してないんだよォ」
ユリアがキレる
「ふざけるな、我らだってっ!二人の姉に比べ落ちこぼれている私は血を吐くよな努力をしたぁっ!」
「お前の能力は《人体干渉》かぁ、触れた相手に魔力を送りそいつを操る。じゃぁ、自分の体はどうか?ずーと触れてるから弄ることが出来るはず、それによって筋肉を増やしたり、傷を塞ぎ治癒力を高める。はぁッ!帝国や連邦ではとっくの昔に応用してるわ!そして…」
僕の体を借りたメラの思念がユリアの人差指と目をナイフで潰す。
「それも知っている。火や水が飛ばせるんなら素となる魔力も飛ばせるはず、何もない場で人差指向けるバカがいるか、あとあたしをガン見し過ぎだボケっ、目から魔力を出せるのも魔眼で証明済みだぁ。で、血も人体の一部だから操れる。ホイッ、法石の粉だ、これで血は動かせない、で残るは切り落とした指はとぉ、あっ、踏みつぶしてたわ。全部、300年前に発見され実践されている。笑えるな、ハハッ、魔道先進国ではないが魔法が使える連邦はともかく、人口の0.0001%ぐらいしか魔法が使えない帝国にも300年前に抜かされている、それが胡坐をかいているっていうんだよぉ」
ぐうの音が出ない、二人とも完敗である。お互い全力を出したのでなく、単純に遊ばれたのである。
「その代りクロウィンは違う、今はあたしの記憶を頼りに戦っているがそれを完全に再現するには肉体づくりが必須だ。それも本当に血を吐くような訓練をな、こいつは何度も数え切れないくらいあの世の川の岸辺までいってる。お前ら本当に死んだことあるかァ、こいつは今ナイフと初歩的な格闘技(連邦の特殊部隊レベル)しか教えてねーから、もしこれだけで対処できねー相手が出たら、過去にかけた暗示でこいつに今みたいな思念を呼び覚ますんだよ。おおっと、勘違いするなよ。あたしはただの記憶で操る力はない、全部
結界に閉じこもっているネレイアデスが答える
「お前のメラの真似気持ち悪かったぞ」
突如いなくなった三人が現れた…
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