始章 《出逢いから》



…眩しい、周りの音がうるさい…


「おうおう!目が覚めたか?糞ガキ。うんうん、商品は生きてもらわないと困るからなぁ~だがテメェはちったぁばかし、訳ありだから、売れねぇ。はぁ~て言うわけで、働け!あたしの護衛としてなぁ。まず一週間分余分に働けや、ゴラァ!寝過ぎなんだよ!おまえが寝てる間にわざわざローマ神聖国に攻め入り、出迎えの6公家の3分の一をぶち殺して、帰ってみたら、まぁーだ寝てやがる。いい加減起きろや!」

といいながら僕を蹴り踏みつける


…ごめんなさい


その人はつまらなさそうに

「声に出せよ その胸の陣消してやったぜェ」


頑張って声を出してみるが

「ーー」

結果はこのざまだ


その人は顔をしかめながら

「うん、やっぱ、出ねーなぁ。そこは訓練しだいだなぁ」

続けて

「うん、あたしはテメェの実家をなんとなくむかついたからつぶしに行って、お前のことを…シュルヴィアといったか?あの腐れメイドから聞いたぜぇ~レイプされて望まぬ妊娠した正妻の息子らしいなお前は。おまえを産むと同時に死に、その正妻の遺言に従って、ただ生かされただけの存在、つまり言葉も感情も全てを与えずに魔力があれば裏の実行部隊にして、なければ殺す。フツーだな、どこにもありふれてる、陳腐で下らないポルノ小説並みの話だな。」

さらに続けて…よくしゃべるなこの人…

「だがシュルヴィアはそれをしなかった!おまえに言葉を教え、感情を与えた。この世界でも珍しい、高等教育ってやつだ。いい生活を送ってるねぇ~幸せもんだねぇ~勉強の後はエロいメイドと性の授業!クー、持てる男は辛いね!あいつ言ってたぜ。おまえをいずれ取り返すと、あいつはおまえを殺さずに、おまえと雲隠れするんだってよ。永遠の愛に生きるってな。ほんとに下らねぇ、あたしが客だったらこんな劇!役者、スタッフ、監督、脚本家、スポンサーを拷問死させて、他の客もろとも、劇場を爆破するぜ」

物騒だなこの人頭大丈夫か?

「話はここまでだ、今から勉強だ。ちなみに性の授業はしねーぞ、ケケケケ」

その後真顔になり

「で、お前の名は?ん?」


僕は沈黙するしかない

「ーー」


…わからない


「んー、じゃ、クロウィン、うんそれにしよう。あたしはメラ、これは通称な!ここ大事だぞ!まあ、メラってよべや!一応売人をやってる。基本武器、奴隷、薬、傭兵、情報を売ってる。金貸しもやってる。」


…メラ…


「んっ、なんだ」


…イリテムという名の奴隷っていた?


「誰だそれ。あたしが奴隷の名なんて覚えてるわけないだろ。どんな顔だ?オメェいれて、32名、一応顔は事前に見たから覚えてるが…」


…33名だよ


「はぁ!テメェ、頭は確かか、32名しかリストには乗ってなかったぞ。つか、なんで数えてるんだよ。」


…暇だったから


「…」

…あれッ、どんな顔してたっけ、思い出せない


「…まぁ、いい、どうせ死んだら何にもねーよ」


「行くぞ、移動しながら教えてやる。生き方を、戦い方をな」


これが僕とメラが旅をする直前の話だ。あれっ、胸の陣が消えたのになんでメラは僕の考えてることがわかったんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る