承章 《それぞれが進む道》






<NonyiMir>連邦本社へ向かう車内で…


ルヴィアが口を開く

「答えなさい…あれは何なんですか…あのおぞましいものはなんですか…答えなさい」


上級親衛隊で褐色の肌の禿巨漢が口を開く

「アレか…アレは賢者殿が知ってるのとはだいぶ違うようだな…だが、アレをあんな風にしたのはメラ殿だぞ」


彼の言葉で、ルヴィアは握っていた携帯端末をぐしゃりと握りつぶす

「あのクソ会長…あなたのせいで私たちの仕事が終わらないのに、まだ増やすんですか…おかげで一度も有給が消化されず溜まっていく一方だって言うのに…絶対に連れ戻して、ツケを払わせて差し上げます…社長だけでなく、専務の仕事も押し付けて、有給全部使いきってやりますとも、ええ、私たちが役員旅行を満喫してる間、仕事に苦しめばいいんです…フフフ…ハハハハ」

ルヴィアが壊れた


他の社長が必死になだめようとするが、ルヴィアはブツブツと怨嗟の声を呟く



ふとドーラが言う

「だったら、メラの弟子であるクロウィン君に押し付ければいいんじゃない?」


その言葉にルヴィアは天の啓示をもらったような顔をする

「それは…名案ですね!ええ、そうしましょう!さっそくアナスタシアに書簡を送り、クロウィンを解任させましょう。その代りと言っては何なんですか…彼を会長に任命して…ウフフフ、有給が…有給が!取れます!」

ルヴィアは高らかに喜ぶ


そのことに焦った上級親衛隊全員がルヴィアをなだめる




結局、ルヴィアの有給はお預けとなった







一方で、学園では…


本日はお休みなり…生徒はほぼ全員外出する…勿論、Sクラスのメンバーも例外ではない



「エレナ!デートしよッ、ブヘラッ!」

いつも通り吹き飛ばされるアントニウス


「アントニー!あなたの相手は私ですわ!エレナに迷惑かけない!では、エレナ~ごきげんよう♪」

アントニウスをズルズル引っ張ていくヴィクトーリア


「離してくれ~トリ~、俺はエレナを~」

悲痛な叫びをあげるエレナ


「はいはい、行きますわよ」



「で、では行きましょうか…ボソボソ」

イズミが顔を真っ赤にさせながらデートに誘う


「あ、ああ、行き先はスプリングスのホームスタジオであるモスクワスタジアムで、いいか?」

こちらは顔を赤くはしてるがなんとかオロオロせずにしてるディートリッヒ




そんな初々しい二人をニヤニヤしながら見てるアラリヤが自分のダイナマイトボディ…ヴィクトーリアに負けるとも劣らない胸を小柄なカイルに押し付ける…ちなみにアラリヤはヴィクトーリアと同じく背が高いのに対し、カイルは可愛いぐらいちっこい…つまり、カイルは…


「うっ…くっ…ぷはっ」

顔をアラリヤの胸元に押し付けられている状態だ…羨ましいと周囲の男子(Sクラス以外の)が血の涙を流す



女性の身体的特徴


アリス…胸が薄…最近少し成長した。腰は細い。身長は平均的

ヴィクトーリア…胸は驚異的な大きさ。腰は普通。身長は高い

イズミ…胸はぺったんこ。腰は普通。ちっこい

ユリア…胸は手にすっぽり収まる大きさ。腰は驚異的に細い。身長は高い…超スレンダー

イリヤ…胸はアリス並み。腰は普通。ちっこい

アラリヤ…胸は驚異的な大きさ、ヴィクトーリアと並び人類の至宝クラス。腰は究極的に細い。身長は高いね



アラリヤはカイルのことを気に入った様だ。カイルは口から魂が出てる状態だ…



イリヤはユリウスに声をかけている

「あ、あのユリウス君!一緒にショッピングにいかない?」

首を可愛らしく傾げる


無表情の…眼が3ミリ大きくなり、鼓動がほんのちょびっと速くなった

「申し出はありがたいが…」


「いいじゃない。たまに羽を伸ばしなさい。皇女様は私が見るから。ユリウス…彼女のこと気になるんじゃないの?」

ユリアがいたずらっぽくささやく


ユリウスの顔が真っ赤になる

「では…喜んで」


イリヤが大喜びをする

「やった!ではユリウス君にはどんな服装が似合うのかしら…メイド服かな?ゴスロリ?セーラー服もいいですわ!ムフフフ…」


ユリウスの顔がサァーと真っ青になる




そんなユリウスをよそ目に今度はユリアがユンファにデートの誘っていた

糸のように超細い眼をキリッと大きく広げて、いつもはふにゃ~と微笑んでいる顔をキリッと凛々しい表情に一変している


その様子を唖然と見るユリア


「ユリアさん…僕とご一緒に出掛けませんか?とてもいい中華料理屋あります。ほかにもいいユリアさんにぴったりなチャイナドレスの店もあります」

下心を全く隠さないユンファ


彼の堂々とした態度に普段無表情の彼女がクスッとなり、断ろうとするが…


「ユリアよ…お前も羽を休ませてもいいぞ。私はアリスと共に世界で最も安全なところに行くから大丈夫だ」


「それに加え私もいるぞ」

ホノリアがヌッと出てくる


ホノリアを見たユリアは嬉しそうにため息をつき、差し出されたユンファの手をそっと握る

「ええ、喜んで、私を楽しませてね♪」


ユンファが恭しく膝をつく

「Yes, My Lord」



ユリアがエレナの聴く

「皇女殿下はどちらに…」


エレナが頷く

「うん、<NonyiMir>本社にね…案内は<SECT>のアリシア班長、よろしく」


アリスがユンファの真似をする

「Yes, Your Majesty」


エレナが苦笑いを浮かべる

「私まだ皇帝じゃないよ…」


アリスがニヤニヤする

「はいはい、Yes, Your Highness」





それぞれがそれぞれの目的地を目指していく…彼らの充実した様子を見た他のクラスの彼女無し男子は発狂する







エレナとアリスとホノリア…そしてシュルヴィアは<NonyiMir>本社の敷地にいる

<NonyiMir>本社ビルの周りはショッピングモールとなっており、全ての店舗が<NonyiMir>製品を売っている。各店舗の屋上や最上階にはスクリーンがあり、製品のコマーシャルがずっと流れており、大変にぎやかな状態である



エレナらはみんなと別れ、奥へ奥へ進み、とうとう本社ビルに到達する

エレナはそのビルをジッと見つめる



<NonyiMir>本社ビル…正式名称<Tikhii Don>

全高830.1メートル、最上階641.4メートル210階建ての超高層ビルである。実際は、161階以上は機械室のため160回までしか入ることが出来ないらしい…


ちなみに<SECT>本社ビルは…正式名称<UNION SC>

全高1250メートル、最上階850メートル228階建てで、<Tikhii Don>よりも高い




本社ビルの周りは誰もいない…セキュリティーどころか社員すらいない




4人は自動ドアをくぐるとビルの1階と2階の間には天井があらかじめ作ってないらしく広々とした開放感が漂う。壁は全て薄い緑色で統一されている


中を見渡すが、誰もいない…真ん中にポツンと総合案内と書かれたカウンターがあるが誰もいない

音すら聞こえない


4人は総合案内に近づくと立体映像ホログラムが現れる…緑色短髪の美女がフリフリのメイド服を着ている…絶対ルヴィアの趣味だろ…


「いらっしゃいませ。いつもご愛用いただきありがとうございます。本日はどのような用件でしょうか?」


エレナがスッと出る

「社内見学及び、公開資料の閲覧です」


「畏まりました。では、身分証明書の提示をお願いいたします」


全員出す…シュルヴィアは市民証で、他は学生証だ。緑色のレーザースキャンがそれぞれのカードを調べる


「ありがとうございます。確認が終了いたしました。見学ですが、当ビルは行うことが出来ません。大変申し訳ございません」



チーン


「エレベーターが参りました。どうぞ、お乗りくださいませ」


何もない壁が急に開く…エレベーターになっていたのか


エレベーターに乗り込むとあっという間につき、データー保存室につく

「お疲れ様でした。到着です。ご用件の際はいつでもお呼びくださいませ。では、ごゆっくり」




四人はそれぞれ自分たちの調べたいことを調べ始めた。




<NonyiMir>


それは連邦初の株式会社であり、世界最古の会社である。世界中に支社、支局、支部、出張所を多数置いている。形式は所在不明の総本社が本社、総支社、支社の株式を保有する財閥形式をとっている。そして本社、総支社、支社も自分が担当する地域の子会社と孫会社の株を保有する中間持株会社として機能しており、完全なピラミッド型である。


代表的なオフィス


総本社…純粋持ち株会社…所在機密

本社…中間持株会社、及び本社のサポート…アナスタシアグラード

総支社…中間持株会社、呼び全支社のサポート…上海

第三支社…以下略…ウラジオストク

第四支社…ダマスカス

第五支社…アディス・アベベ

第六支社…ヴィエナ

第七支社…キョウト

第八準支社…ユースタシアグラード

第九準支社…香港

第十準支社…ベイルート


支社以上は基本社長がいるが、準支社はそれぞれ専務が二人、交代でトップを務めている。


上役の構成


会長…欠員

副会長…欠員

本社長(筆頭、または主席とも呼ばれている)

総支社長(次席、または二席)

支社長…5人

専務…少し前までは27席しかなかったが、最近28席目を設けるか検討中、欠員が目立つ。現在は21席が埋まっている。元々は12席しかなかったが、社長の仕事を減らすために一気に24席まで増やした。その後、派閥争いや抗争で十数人死亡者が出ている。社長の仕事を更に減らすため28人席目の生贄は再来週決まる予定


…生贄って…



<Tikhii Don>ビル内部


防犯のため、社員エリアは正門や来客用エレベーターで行くことが出来ない

社員用入り口は機密

準支社以上の社員エリアに入るには、下級主査以上の階級がなければ入れない

幹部候補、主任、主事、平社員、アルバイト、パートは支部までである



エレナはマジメなことを調べているが…


他はというと

シュルヴィアはクロウィンの映像を無表情で見て

アリスはクロウィンの映像と音声でハァハァと悶え

ホノリアはクロウィンの画像に落書きしている


ドン引きするエレナである




彼女たちが調べ物をしている間、160階にある社長室にでは、<7賢人>と上級親衛隊がいた…全員ルヴィアが淹れた紅茶を飲んでいる


禿が口を開く

「賢者殿…先程の神族や天使があなた方が知っておられる存在とは全く違うと思いですが、アレをどう見ます?」


「ハハハハ、まさか天使ちゃんがあんなにキュートになるとはね」

アッティラが顎をさすりながら笑う


「昔の姿を知っている我々からすればおぞましいものだと思うけどねぇ」

ディアナが気だるげに言う


「昔も昔で面白い姿をしておったんじゃがのぉ」

セリアがシシシシと笑う


「…」

イーライは黙る


「ケケケ、それよりもあの天使まがいも中々気味が悪いな…ケケケ」

グラディウスがパイプを咥え紫煙を曇らせながら言う


「あの天使まがいは意外と中身がスッカスカだね~昔の天使はあんなに中身が気持ち悪かったのに」

アケロンが昔のことを思い出してウプッと吐きそうになる


ルヴィアが口を開く

「紀元前5000年前の神族は翼の生えた魔力が高い生物でした。斬ればちゃんと血も出ます。そして、紀元前1000年前、神族は神術と呼ばれる力で天使たちを創造した。当時の天使の姿がこれです」


ルヴィアが機材を弄ってスクリーンに映像を出す。


そこには首が無い甲冑を着た騎士、ゴーレムみたいな短足巨体のモノ、東洋の龍みたいなもの、ドラゴンの形をしたもの、鳥のようなもの、魚のようなもの、説明するのが難しいほど奇怪な形をしたもの、そして衝撃的なのは体は筋肉隆々の人間の肉体のようだが、首から上はにゅろーんと伸びた触手のようなものとなっている天使、触手の先端にクチャと大きく裂けた口がある。

これらの天使の共通点は、素肌が皮膚の代わりに石膏ような石でおおわれており、胸か腹、もしくは額に石膏の彫刻のような人間の顔が埋め込まれていることだ。大小老若男女問わず様々な顔が埋め込まれている。そして石膏のような素肌を守る為、黄金の甲冑を身にまとい、全身様々なきらびやかな宝石が甲冑に埋め込まれているため、グロテスクな外見に対して華やかな衣装である。勿論頭には光輪ヘイロウも付いている。


「これが我々の知る天使です」


上級親衛隊の隻眼の執事が口を開く…シルクハットをつけ、コーヒー屋のマスターみたいな口髭を生やした初老の男性だ

「今とは大違いだ…だが、今の天使の方が可愛らしと思うが…何がおぞましんだい?」

ニヤリとする


ルヴィアが答える

「今の天使は魔力の塊であることは正直言ってどうでもいいことです。おかげで倒しやすくなりましたから…問題は神族です」


上級親衛隊のほとんどは理解できていないようだ


いつも無表情であるルヴィアが顔をしかめる

「神族の肉体に天使が入っていることです。恐らく天使が自分の創造主である神族を殺し、その肉体の中に入り込んで擬態しているのでしょう…つまり、死体を被っているのです」


上級親衛隊の禿が口を開く

「いや、死体ではないぞ…あの皮は生きておるぞ…ただ骨が無いだけだ…内臓など、中身は全て薄くされているが生きておる」



「会長…なんてことを…余計おぞましいですね…なんてことを…皆さん、今後の対策について協議いたしましょう」




一方でクロウィンは



<Tikhii Don>101階…クロウィン専用オフィス


俺は資料を読んでいた…


Sクラスメンバー及び関係者の能力について


アリス…得意魔法は炎属性及び氷属性。特殊属性として聖属性も使えるが、無属性は非常に苦手。固有能力は<神の恩寵>。魔力レベルは10。スペックが高い理由はアリアとシュルヴィアの力の一部を受け継いでるからだろう。固有能力の詳細は不明


エレナ…得意魔法は聖属性と無属性。自然魔法系は得意でもなければ苦手でもない。固有能力は<王者息吹カリスマ>。魔力レベルは5(レベル1が120人分)。固有能力は使いこなせていない


ヴィクトーリア…得意魔法は炎属性と雷属性、風属性。水属性が苦手。特殊属性として無属性が使用できる。固有能力は<精霊エレメントフェニックス>。魔力レベル5。固有能力では、精霊との相性は完璧


アントニウス…得意魔法は土属性と無属性。風属性が苦手。特殊属性は無属性。固有能力<物質創造>。魔力レベルは4。無属性による身体強化を多用し、奥の手として魔力中毒による疑似狂人化が可能。


イズミ…得意魔法は光属性と無属性。自然魔法は使えない。特殊属性は光と無。固有能力<月夜眼>。魔力レベル3。月夜眼の詳細は不明、だが魔力を見ることが出来るらしい。


ディートリッヒ…得意魔法は闇属性と炎属性。自然魔法は火と風を使う。特殊属性は闇。固有能力<黄道12宮ゾディアック>。魔力レベル5。優秀な召喚士で、黄道12宮と全く関係ない魔犬をゾディアックと呼んで可愛がっている


イリヤ…得意魔法は聖属性と光属性。自然魔法は巫女のため、使用が禁止されている。固有能力<天使の歌声>。魔力レベル6。完全な回復要員。


ユンファ…魔法は使えない。方士(陰陽師みたいなもの)の生まれであるため方術を使う。


アラリヤ…炎の一族のため魔法が使えない。法術を使う。自国では天才と呼ばれ、魔力レベル6に相当する法力を所持している


カイル…得意魔法は無属性。他すべての属性が苦手。固有能力<完全模倣コピー>。魔力レベル2。

相手の魔法だけでなく、動きも姿も声も全てが完璧に模倣できる


ユリア…得意魔法、全ての自然属性。苦手は無い。特殊属性は空属性が使用可。固有能力<元素融合ユニオン>魔力レベル5。特殊属性の中でも最も珍しい空属性が使える


ユリウス…得意魔法全ての自然魔法。苦手は無い。特殊属性は無属性。固有能力<獣化ビーストと<狂化>。魔力レベル5。固有能力を二つ持つ珍しいタイプ



俺が資料を読んでいるとき、ホノリアが横から覗き込む


「へぇ~、みんなこんな感じなんだな。ちなみに私の能力も知りたいか?」


俺は黙る


「そうか知りたいか。私の固有能力はこれだ」


手のひらから茨が突き出る。


「私の固有能力は<植物支配>。今のは私の体で育てている血を栄養源とする薔薇の茨だ。成長を速めて、ここに突き出るように支配したのだよ。他にも私の体内には多くの花が咲いている。例えば…」


人差指を歯で斬る…傷口から花粉が出てきた。

「この花粉は幻覚作用のある花粉だな。花粉にもいろんな種類があるぞ。魔力レベルは8だ」



「感謝する」


ホノリアはフフッと笑う

「他にも面白いことを伝えよう。中級以上の親衛隊はナンバーがもらえる。ナンバーが若ければ若いほど能力が高い。しかし強いとは限らない。現にナンバーエースとナンバー6がやりあった時、エースは負けたからな」


「その二人は誰だ」


「説明しようか。エースから6は皆、上級親衛隊だ。」


ナンバーエース…隻眼の老人。名前はバトラーと名乗っている

ナンバー2…禿、名前はヴァルガル。

ナンバー3…ドーラ

ナンバー4…ガスマスクを着けた全身コートの男。名前はストー

ナンバー5…アルビノの少女もとい幼女?。名前はセラ

ナンバー6…髪をもじゃもじゃに長く伸ばし、顔中傷だらけの男。名前はグェン



「先輩は…」


ホノリアがニンマリする

「私はナンバー7だ」



俺は自分のオフィスを出る



「後輩君…君は何をするのかね?」


俺は一枚の紙を出す


年間行事予定表だ。


「来月からとあるイベントの発表が行われる。惡の華も動き出すだろう」


「フフッ、楽しくなってきたね。では行こうか!私が知っているお気に入りのレストランがあるんだ。珍しい料理を出すんだ」


二人は出ていく


残された紙には

夏実施予定









『全国軍管区付属軍事学校別対抗戦』




と書かれていた。

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