「現代版蜃気楼、漢字を変えて蜃機楼ってとこかな。どうやら解決したようだ……ん？」

　送られてきた依頼者からのメールを見て、ひとねは顔をしかめた。

「どうした？」

「いや、普通の文字化けなのか……まだ読めないところが……」

　ひとねに見せられた画面には元に戻った犯罪予告サイトの写真だ。

　ひとねが指差したのは犯罪予告のタイトルが並んだページの写真だ。

『・四月二十日に烏谷ハイランドで殺人をする。

　・五月二日に皆坂デパートに放火をする

　・六月七日に□l□lで通り魔をする

　・六月十日にカララスーパーで万引きする

　・七月三日にミナナキで大量殺人をする』

　ひとねが言っているのは□l□lのところだろう。

「ああ、これはシカクイって読み方」

「はあ？シカクイ？何処が！？」

「いや、そういうものだし……」

「納得いかない……なんか納得いかない！」

　ひとねがいつもと違うテンションだ。恐らく間違えたのと知らなかったのが恥ずかしかったのだろう。

　なんでそんな読み方かなんて俺もしらな……

「納得いか……ん？どうしたんだい？」

　ひとねの声が遠くから聞こえるかのような感覚になる。

　今、俺はなにか思い出しそうに……

「……っ」

　急激に頭が痛む……いろんな動物が混ざったようなもののイメージが浮かび……

「う……ぁ……」

　ひとねが俺の方に手を伸ばす、そんな光景を最後に俺は意識を手放した。

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