第06話 マネージャーがライバル?

「おはようございま〜す」


朝練の時間が近づいてきてポツポツ部員がやってきた。

ジャージに着替え、先輩と一緒に部室を出る。


「お?」

「ん。あ、三橋さんだ」


水泳部のマネージャー、三橋愛菜がこっちへ近づいてくる。抱えているのは……、コースを仕切るフロートを入れたケース。2段重ねで、あれじゃ前見えないよ。


「三橋さ〜ん」


駆け寄る先輩に続いた。


「三橋さん」

「あ、先輩。おはようございます」

「貸して。持つ。一矢。お前も一つ持って」

「はい」


先輩からケースを受けとった。3人でプールへ向かう。

並んで歩く先輩と三橋さん。僕は少し遅れて、ついていく。


「三橋さんさ」と先輩。

「はい」

「髪、切った?」

「えっ。……。ちょこっとだけ」

「やっぱり!」


そうですか。それには、気づくんですか。


「前髪がうるさかったんで、自分でちょいって。変な事になってません?」


「なってない、なってない。バッチリ。な。一矢」

「そうですね」


しまった。我ながらそっけなすぎる受け答え。


「ちょこっと切っただけですよ。よく分かりましたね?」

「ん〜。なんかいつもと感じ違うなって思ってさ」


俺も……。


「先輩、よく見てるぅ」

「まね〜」


スタイリング動画とか見て、イケテル感じにしてきたのにな。

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