第05話 そんなところがカワイんだってば♪

「サンドイッチもらうわ。やっぱ」


幸矢先輩は机に置いたコンビニ袋に手を入れると、

俺のサンドイッチを一つ、持ってった。

それ……。午後練用。


「いたっきや〜す」


先輩は、豪快にサンドイッチにかぶりついた。ん?変な顔してる。


「先輩?」

「……あまい」

「フルーツサンドっすもん」


苺、キウイ、パイナップル。

肉厚のフルーツが、たっぷりのクリームの中にゴロゴロしてる俺の大好物。

幸矢先輩だから譲ったのに。まさか。


「苦手なんすか?甘いの」

「ん」


先輩は、半泣きな顔で、残りを口に押しこんだ。

苦手なら無理に食べなくたっていいのに。


「なに?」

「……いえ、なにも。いった!」


足に突然の痛み。蹴られましたよ!


「なんですか〜。ほら。言ってみ〜。一矢」

「いった。いたい。痛いですって」

「ならゲロっちゃえよ。ほら」


この人。こういう時、ホント目ぇキラキラしてる。


「一矢」

「いや……。なんか」

「なんか?」

「かわいいな……って!」


言い終わらないウチに、また蹴られた。


「先輩にむかってカワイイはないぞ!」

「褒めたのに」

「褒めてない。先輩にカワイイは褒めてないぞ、ちっとも」


褒めるなら普通かっこいいだろうが。幸矢先輩はそう言ってむくれる。

そんな所がかわいんだってば。

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