第82話

うつ病を大きく2つに分けると、

1) メランコリー親和型うつ病

2) 比定型うつ病

になるそうだ。多くの人が持っている典型的なうつ病のイメージは前者で、うれしいこと、楽しいことがあっても気分が変化せず、自分を責め、食欲がなく不眠になる。

後者の特徴は、楽しいことがあると一時的に気分が明るくなる、鉛のように身体が重い、対人関係に敏感。で、私は完全にこちらに属している。

だが、「一時的に」には異議を申し立てたい。5年以上この疾患と同居し対峙し、徐々にコイツの思うがままになってたまるか、と‘自らの意識改革’に努めてきた。

うつ病云々以前に、人生の捉え方、定義、自分のそれに対する覚悟について、大学時代から深思してきた私には、もともと〝順境・逆境いずれに在っても同じ精神状態でいたい〟憧れがあった。人間はそもそも幸せに鈍感で、不幸に敏感だ。また、幸せも不幸も私たちにはコントロール不能で、それに一喜一憂、躍らされるのはご免だ、と考えてきた。もちろん頭でわかっているつもりでも、実際に浮き沈みになんら動じない、なんて境地は本当に解脱して、「成仏」しないと生身の人間には無理だとしても……

どれだけ歳月が行き過ぎても、自分が理想とする自分にいくらも近づいていないことに愕然としても、現在この一刻一刻常に‘自らの意識改革’に努めている。そのつもりだ。本来、シアワセなどという物体はなく、楽園もなく、自分自身が「幸せだ」と実感できるかどうかにかかっているのだし……

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