第68話
親には大きく分類して2つのタイプがある。
私が両親と対話して得た分析結果ではなく、友人何人かの話から‘ヘェ〜’と学習したものだ。その2つとは;
1) 子供は親と同居、または近所に住んで最期まで面倒を見るもの!
2) 子供夫婦となんて一緒にいたくない。よけいな気を遣いながら暮ら
すなんて、まっぴら御免。
と考えるのだが、私が独り身だからか、うちの母は、悲しいかな、断然1)タイプ。
病気もなく、多趣味で、70歳までバレーボール倶楽部で暴れていた人の言う事とは信じ難いけど、昭和13年生まれ、そう考える方が普通なのかなぁ。私は2)タイプゆえ、歯がゆいのだが……
しかし、だ。親は最後には子供の意志を尊重するものだと思う。私より、さらにハデに親不孝まがいなコトをしている友達はいるが、怒りや情けなさを感じ、葛藤を制して、最終的には子のわがままを許し、温かく見守っている親御さんたちは存在する。私もおそらくそういう親になるだろう。
うちの母にもそれを期待して、台湾再帰を夢見た。
「世間の人が知ったら、緑翠ちゃんは何考えてるんやろう、って思われるわ。」
と責められながらも…… あんな高齢の両親を残して、よくも台湾へ行けるなぁ、と後ろ指をさされる、と母に釘をさされても……
蘭が日本残留を決めて、その日はスッキリした気分でいた。
「ねえ、そう言わずに台湾へ帰ろ。桂も待ってるし、もちろんCOCOも連れて行くんだよ!」
本心はそう言いたかったのだと思う。言えなかかったのは、ひとえに親が心配で、無情な娘になりたくなかったからだ。日本残留は、私の本心、本望ではなかった。
その証拠に、2日後の朝に異変が起きた。おとなしくしていたうつが目覚め、私の全身は重く、だるく、終日寝床から離れられなかった。原因は、台湾再帰取消しかなかった。自ら実感する以上に、無意識下での失望は深かったのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます