第25話 黄昏の蜃気楼編 その5
大きな動きを見せず
様子を伺うかのように
にわか的な発生しかしていない
氷機
元々はデータ世界の守護者として
防衛システムの一部でしかなかった
しかし、暴走を起こして
守るべき相手に牙を向けた
バグのような形で
排除対象に人類を設定して
殲滅するための様々な試行を繰り返している
そして、現在の形が・・・
『レッド様、氷機の発生を確認致しましたわ』
『・・・そうですか、では僕と一緒に出てくれませんか??』
順番が少し違っていますが
女神の覚醒を促す要素である
戦いの相手が現れる
ラビリアさんは、先に覚醒を済ませてあるために
単純に
『よろしくお願い致します・・・レッド様との逢引を楽しみにしております』
慎ましくレッド君の前で三つ指立ててな
昔の日本の女性の象徴とされる
“大和撫子”
と称される
そんなラビリアさんが
『こちらの方が、本当のラビリアさんでもいいのではと思ってしまいますね』
仮の姿でしか無い事に
少しだけ、寂しく思う
レッド君だったが
『内面の奥に潜む部分ですから、レッド様が望むのなら・・・いつでも出て来ますわ、
どちらのラビリアさんでも
あまりしない、レッド君の唇を大胆に奪う
『では、参りましょうか』
『あ、はい・・・』
珍しく、顔を赤くしているレッド君
不意打ちなキスは効果抜群だったようだ
司令室に誰もいない状態で
隊長もシステム転換中
副隊長であるレッド君が、自ら出撃していった
基本的にレッド君か
大きな問題はないだろう
直接通信:順子⇔レッド
順子:(お~い、レッド副隊長~代理隊長の順子よ!!)
レッド:(勝手に代理ですか、まあいいです順子隊長どうしました??)
と、しばしの沈黙の後
順子:(あ、ごめん・・・ネメシス参謀の愛撫に悶絶してた)
レッド:(そうですか、それでどうしました??)
順子:(スルーですか、少し寂しい・・・)
レッド:(帰還しましたら、好きなだけ聞きますから・・・要件をお願いします)
順子:(真面目にしないとダメよね、氷機の詳細情報を分析したから)
レッド:(え、まだ捉えてませんよ??)
順子:(順子ちゃんのスペックを甘くみないでよね、天球よりも狭い空間なら瞬間的よ)
レッド:(流石ですね、情報受信しましたから活用させてもらいます)
順子:(ラビリアさんとのデート楽しんでね)
通信終了
互いに相手と密着した状態での対話だった
レッド君は飛行中でラビリアさんを抱いて
目的地へ向かっている
順子さんは慌てて司令室に移動してきた
その際にネメシスさんとイチャイチャしていたから
そのままくっついたままで
『ネメシスさん、ネメシスさん・・・そろそろあたしから離れませんか??』
『嫌です、順子がネメシスを襲うくらいになるまでは・・・』
不思議な立ち位置で順子さんに密着しているネメシスさん
この世界の適応以降からか
かなり順子さんへ固執し始めて
『ネメシスさんもレッド君を狙うんじゃなかったの??』
『はい、順子とネメシスでサンドイッチしたいです!!』
やる気は十分すぎるほどにあるようです
余ってしまったから
ではないでしょうが
順子さんに対して、欲情している様子
『あたしを満足させられなくて、レッド君を落とすなんて不可能だわ・・・存分に堪能させてねネメシスさん??』
『わかりました、練習ではなくて本気で順子を絶頂へ誘います!!』
一応、臨時で隊長を勝手に受けたから
司令室での職務は行っている
以前にやって来た際
ラインさんとラビリアさんからは
色々と教わっているみたいなので
若干の遅れはあるものの
ネメシスさんの愛撫による部分がほとんどで
わからないなどではない
『見ている皆さん・・・不謹慎だなんて思ってませんか、あたしはしっかりと仕事してますよ~♪』
誰に主張しているのでしょうか
順子さんは、淡々と仕事をしていた
『司令室で順子さんが作業をなさっています、滞りなく戦いは行えますわ』
『ネメシスさんの猛攻を受けながらですよね、不思議な二人だ・・・』
氷機に関する情報提供も
戦う際の準備も、ほぼ完了している
管理する立場はラインさんと同様で
順子さんも別の世界を担う存在です
『地上戦になりますから、ラビリアさんが一掃可能だと思います』
『
実際のラビリアさんは
このような口調で話す事はありません
違和感はレッド君はどう思っているのか、わかりませんが
少なくとも、新鮮な感覚で
楽しもうとしているようです
『どんな風だとしても、ラビリアさんであることには変わりありません』
目的地付近で着地した二人
空間の浸食は少ないようですが
それなりの数の氷機は出現しているようです
『常にレッド様を感じながら戦うのですか・・・人気のない場所とは言え、凄く恥ずかしいですわ』
既にレッド君はラビリアさんの鎧のように密着したままで
氷機への攻撃準備は完了している
『感度を増幅させていますから、より興奮すると思います・・・しかも、それによって戦闘力も比例して増大します』
『感じれば、感じるほどにですか??』
問いかけに頷くレッド君
終始、頬は紅潮していて
蒸気を発しているようにも思えるくらいのラビリアさん
状態と状況に対し、思考が追いついていない感じでもある
が、それでも戦いに集中できるのは
自身のシステムのおかげかもしれない
『分身でも、システムは同じなんですね・・・何気に改良してありますし、やはりラビリアさんは天才です』
意識を保つために
若干の感覚の鈍さを加えているようで
レッド君の問いかけや喋りに反応が悪い
『無理に答えなくてもいいですよ、自分を重視していて下さい・・・僕は勝手に進行しますから』
少し息が荒くなってきている
小刻みにレッド君が振動を加える度に
小さく声を漏らすラビリアさん
それと同時に戦闘力が一気に上昇している
『ラビリアさん、後五分だけ待って下さいね・・・氷機を一掃しましょう』
滴る汗で、地面の氷が溶けている
装備もレッド君にも汗が滲みてきている
『僕も興奮してきましたよ、ラビリアさんが乱れる姿を思うと楽しみです』
レッド君ではなくて
ラビリアさん自身が震えている
そろそろ、限界が近いようにも思えるが
どうやらそれを狙っているみたいです
『レッドさんのいぢわる、私を弄ぶなんて・・・戻ったら覚えておいて下さい、仕返ししますからね』
上の空のラビリアさんだったが
急に、まともな口調でレッド君を睨みながら
言葉を放つ
『シンクロしているのですか・・・これは、失態でした』
すぐに、元の状態へ戻ったが
確実に本体にも情報が伝わっているようで
分身が戻る前に
把握したかったのか
仕様だったのかは、不明だが
『このアピールは、最大点かもしれませんね』
レッド君に対して
本妻へのリードを成し得た可能性があります
『さてと・・・ラビリアさんも臨界点を超えそうですね、防御を全開でどこまで耐えられますか』
熱気というか
ラビリアさんの放つ光で
周囲の空間ごと湾曲が起きていた
『これは・・・失敗しましたね、ラビリアさんの力を甘く見ていました』
急に抑制するよう
行動を開始するレッド君
どうやら、ラビリアさんの能力を軽視していたようで
危険と判断したみたいです
『仕方ありません、順子さんを
すると、目の前に半裸状態の順子さんが登場する
ネメシスさんも一緒にくっついていた
『ちょっと~!! 何勝手にしてるのよ・・・恥ずかしいじゃない』
『そうですよ、もう少し考えてくれませんか!?』
レッド君に対して、怒鳴る二人だったが
ラビリアさんの暴走気味な状況を見て
すぐに、対処が始まる
『・・・ラビリアさんって、ここまで凄かったのね』
『流石は天才科学者・・・何もかもが素敵です』
順子さんがラビリアさんの抑制補助
ネメシスさんは、氷機の殲滅
分担で作業が速やかに行われる
『申し訳ありません、埋め合わせは各ターンでしますので・・・』
頭を下げるレッド君
自分の順番を前に貸しを作れた事に
二人は満足そうだった
『あたしにもチャンスがあるのですから、ここでライバルを消す方法も・・・うふふ~♪ あ、嘘ですからね』
レッド君と共同でラビリアさんの暴走を止める順子さん
制御が本体ではなかったためか
上手くできなかったようで
涙目で悲しそうに二人を見ている
『大丈夫です、僕と順子さんで確実に停止させますから・・・安全にね!!』
『あたしとレッド君との共同作業です、失敗は存在しません』
赤い輝きが周囲を照らす
同じルビーを保有するレッド君と順子さんの
全力での制止行為は、無事に成功した
しかし、空間に影響が出てしまい
しばらくは安定させるために
ここで待機することになった
『氷機の殲滅完了、ネメシスの活躍も評価にして下さいね??』
急ぎ戻ってきたネメシスさんだったが
こちらの作業中に、無視気味になってしまう
『・・・何でしょうね、脇役の寂しさ感満載です』
作業を見つめながら
涙目でしゃがんでいた
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