第23話 黄昏の蜃気楼編 その3

『レッドとラビリアはどこへ行ったんだ??』


自分の管轄外へ消えた二人を心配するラインさん

レッド君の気まぐれ的な行動かと


『レッドさんとラビリアさんは逃避行ですか・・・あたしもお願いしてみましょう~うふふ、楽しみ♪』


心配するラインさんと対照的に

ニコニコしながら、自分の番の事を考えている順子さんは

強引に、ラインさんの胸を揉みだした


『じゅ、順子!? お前、欲求不満か・・・私ではなくてネメシスとすればいいじゃないか、あいつだったら率先して相手してくれるだろ??』


邪険に手を掴み順子さんを放り投げた

天地逆な状態で壁に叩きつけられる


『ばかぁ~!! 痛いじゃないの・・・』


怒鳴って、すぐに

軽い脳震盪な感じで

しばらく、動かなかった


『よし、静かになった・・・』


ため息を漏らし、椅子に座る

は死なないとはいえ

痛みはある


『順子さんを回収していきます、後で二人で仕返ししますから~!!』


突然現れたネメシスさんが

ラインさんを睨みつけて

順子さんを抱えて消えていった


『はぁ・・・私も欲求不満だろうか、レッド~早く構ってくれ~!!』


一人寂しく自室に戻っていった

中途半端な状態は一番不安定なのでしょう

比較的に安定しているのは順子さんとネメシスさんくらい??


覚醒したての六花りっかさんとトールちゃんは

おとなしくしているようですが

ラインさんは、元々の状態で

しかも、最愛の相手が

他の女とイチャイチャしていたら

通常でも感情が剥き出しになりがちなのに


『だから、三賢者があなたをサポートするようになってるのですよ』


ラインさんが自室に戻ると

三賢者が待っていた

ニコニコのトールちゃん

部屋を整頓しているオーディンちゃん

隅っこで寝ながらゲームをしているロキちゃん


『三者三様とはお前たちを示す言葉か・・・と思うぞ』


心労に、それだけ言ってベッドに倒れるように眠る

ラインさんだった


『添い寝でもしておきましょうか・・・』


癒す意味もある

トールちゃんは、基本性能パッシブで癒し効果を放っていて

これは、自分ではなくて周囲にも影響する

属性を無視しての効果なために

安心して寄り添うことができる


『・・・すまんなトール、少しだけそばに居てくれ』


寝ているラインさん

完全に睡眠状態ではないみたいで

うたた寝な感じで

添い寝してきたトールを抱きしめた


『あら♡ レッド君の代理ですか・・・仕方ありませんね』


抱き心地のよいトールちゃん

いつの間にか作業を終わらせたオーディンちゃん

ゲームをしていたロキちゃんも

ベッドで寝ている

四名の寄り添いお昼寝となった


ラインさんは長身なのでベッドが大きかったから

問題なく四名が寝ることが可能で

日の落ちる後まで

束の間の休息となる


『ラインさんは知っているのですか、あなたの行動を??』


『知りませんよ、僕の独壇場に近い状態で動いていますからね・・・ラビリアさんを生贄にした事は、確実怒られると思います』


悲痛な思いでラビリアさんとレッド君の愛撫をひたすら受けるのみの

リーアさんは、抵抗できない自分ではなくて

操られるラビリアさんや

この事を知らないラインさんを心配する


『自分を心配した方がいいですよ、僕はあなたを対象としないつもりなのです・・・これの意味はわかりますか??』


『リーアさんの痛みは、私が代わりにレッドさんから受ける形になるんですよ~♪ うふふ、楽しみです』


明らかな違いで自分の代わりで仕打ちをレッド君から

受ける事をニコニコしながら話すラビリアさん


『レッドさん・・・ここまでする必要があるのですか、ラビリアさんの本心を・・・勝手に失礼します』


目を閉じて

ラビリアさんの心を開示しようとしている


『無駄な行為だと思います、折角意識のある状態で操作しているのですけどね・・・ラビリアさんは僕の支配を一時的に了承してくれたのです』


レッド君を無視してリーアさんはラビリアさんとだけ

対話を試みる


レジェンドクラスの

色々と制限があって

自分では力を発揮できない場合が多い


しかし、レッド君によって解放されたために


リーアさんを含めた

レジェンドクラスは自由を得ている


『リーアさん・・・私は平気ですから、自分を自由に生きて下さい』


『そんな・・・どうして、ここまでレッドさんに加担するのですか』


レッド君の言うように

ラビリアさんは、自発的にレッド君の支配を受け入れている

しかも、意識はしっかりとあり

素直な気持ちで行動も可能で


『リーアさんの身体は、洋菓子スイーツみたいに甘いですね』


肌は白く透き通るような

うっすらと光る筋

ラビリアさんの跡


『レッドさんの意図は知りませんが、リーアが加担すればラビリアさんを解放してくれますか??』


『・・・いいですが、あなたの立場はかなり劣勢ですよ??』


あくまでも、ラビリアさんを助けたいようです

自分の犠牲で相手を救う

基本的にレッド君は好まないタイプではありますが

ラインさんがそんな優しさを持っているから


『・・・わかりました、リーアさんも特別枠でゲスト扱いにします』


涙目で必死に訴えるリーアさんに

ラインさんをダブらせてしまったようですね

レッド君は、ロキちゃんやオーディンちゃんと同じ形で

リーアさんを受け入れる事にした


『私の犠牲を無駄にしたのです、リーアさんは私が当面の間独占します』


回り込むように背後から

リーアさんの左耳に自分の予備デバイスを装着させている


『・・・リーアを掌握した世界の頂点の頭脳になら支配されても』


ラインさんは唯一、リーアさんを掌握している

順子さんには出来なかった圧倒的な支配力を誇る

そのサポートはラビリアさんのシステムによるもので

完全な隙のないと思われたリーアさんの弱点を見抜いた


『レッドさんには悪気はありません、私がリーアさんを必要だとお願いしたのですから・・・どうしてもアメジストの能力を使いたかった』


闇属性のリーアさんの宝石

アメジストの能力・・・

有能な誕生石バースストーン

ガーネットに次いで

二番目の宝石


『次元航行の技法ですか??』


『はい、ツイールさんの呪縛を解放したいのです』


少し食い違うかのような二人の会話だが

該当するのは

共にさんの話題となっている


電脳異空間アナザースペースの入口に当たる場所


“世界空間都市”


の安息の地でもあるこの場所は

別世界の女神チャレンジャーが集う


『ラビリアさんは、凄い事をしようとしていますね・・・決められた歴史を変えるくらいな容易ではありませんよ!?』


運命や宿命などと呼ばれる

確定された未来がある


それと同時に

未定の世界は無数に広がっている


『ラインさんは、私以上に凄いですよ・・・対象は全てのですから』


『リーアさんもお母さんラインに加担するなら、やぶさかではありませんよ・・・どうですか??』


重ねるようにラビリアさんとレッド君はリーアさんを・・・

あ、ちなみに愛撫は既にしていません


正式に交渉をしている


『ラインさんの加担でしたら、リーアを救ってくれた恩義もありますので・・・空虚となっているシステムとしてなら』


宇宙を感じるシステム

“ユニバース”

ラビリアさんが元々あったラインさんのシステムを再構築させて

自分が共有する形で完成させた


しかし、完全な状態ではない


『システムとしてなら、僕も負担は少ないですね・・・対象にする必要もありませんし』


『そうですね、どちらにしてもリーアさんも含めた形でラインさんは進めたいみたいだったから』


本人を抜いた状態で

ほぼ確定してしまう、リーアさんのシステムとしての加担


ラビリアさんの覚醒と同時に

重要な案件をクリアできたようです


『幻想に霞む世界を黄昏が照らす・・・トパーズの輝くは大地と共に』


だいだいにも似た夕日のような光がラビリアさんを包む

元々の色とはかなり違うトパーズの輝き


ラビリアさんがへと覚醒できた

最もの要員・・・身近なルビーの存在

ラインさんとレッド君による感化が原因だろうと

自分を分析している

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