第11話 緑色の疾風編 その4

ネメシスさんを背負い

六花りっかさんがレッド君と共に帰還してきた


『一撃だけでこれだけの損傷・・・あなた、よく死ななかったわね~??』


不思議そうにネメシスさんを見つめる順子さん

データ化された世界ではあるが

別世界の女神チャレンジャーであるネメシスさんは

部外者でありデータ化されていない


断片的な状態でデータの損傷として

この世界の住民も出血もするし

骨折や病気も存在している

継続するための人類の歴史は

そのまま受け継がれてきている


だからこそ、温もりが存在するのかもしれない


『ネメシスさんものですよね??』


『はい、お願いできますかラビリアさん』


応急処置は一応してあるが

やはり重傷で治療を必要とする

しかも、この世界では

適応する処置をしていないと

長時間の滞在は、そのままを意味する


それはであっても

危険な場所だから


『あたしも最初は似たような状態だったからね~』


ニコニコしてはいるが、心配そうにしているのは明らかだった

そんな順子さんに対して


『順子殿・・・自分は間違っていなかったと思っています』


『そうだね、六花りっかさんは常に正しい行動をしていると思うから問題はないよ・・・それにあたしに対してではなくて、本人へそれを伝えた方がいいかもしれないね』


真面目な六花りっかさん

自分を正しいと順子さんえお見つめながら話す


『そわそわしているのは、私だけか・・・』


少し場違いな感覚にいるラインさん

どうも落ち着きがない


『お母さん、ネメシスさんの逆転は少ないと思います・・・でも、一員として参加してもらうつもりです』


『本気でやるつもりなのか・・・私も加担している身としては何とも言えないが』


急な展開を受け入れがたい状況のようで

渦中の中心である自分を不安に苛まれている


『ラインさんは自分がじゃないとダメみたいですよ、レッド君が揺らぐような発言をして・・・本当にサディスティックなんですから』


右手でレッド君の頭を撫でながら

左手は自分の胸にレッド君の右手をあてがっている


『順子さん・・・個人的には嬉しいですが、あまり派手な行動は控えた方がいいですよ・・・あなたの事をお母さんが睨んでいます』


まあ、目的に対して忠実に行動しようとしているだけ

と、言ってしまえば

それだけなのでしょう


『レッドを誘惑するのは、私の見ていないところでやってくれ!!』


そう言うと

ラインさんは順子さんを掴み司令室から消えて

どこかへ行ってしまった


『一応、僕は忠告したのですけどね・・・仕方ありませんね』


残ったレッド君と六花りっかさん

これはある意味で作戦だったのかもしれません


ネメシスさんの治療は

データ化の施しを可能とするラビリアさんですから

まずは、この二人は消えるのは決まっていました


そして、比較的欲望に忠実な順子さんは

隙を狙えるようにレッド君がいれば

先程のようにするのも

事前にレッド君がしたのであれば

ラインさんの目の前でアピールするのは


熟知している順子さんの行動の流れで

この基地の他のメンバー以外の方は除外と考えれば

残るのはレッド君と六花りっかさんだけになる


エリアさんとトールちゃんは別室待機なので


『ここまでしてくれるのですかレッド殿??』


『これくらいは、当然だと思っています・・・の代償に比べれば』


あまりにも上手く流れている状況に

若干、不安なのでしょうか


六花りっかさんは

ニコニコしているレッド君を

独占できる今を・・・


『やはり、慎重過ぎるのですかね・・・自分の考えすぎですか??』


どうしても、素直に受け入れられないようですね


恋愛に対して奥手で

経験の少なさもあって

レッド君に対してでも躊躇するくらい

更に武家の名門である“霜月”の継承者

武人として生涯を主軸としている部分もある


『難しいと思いますが、本気で僕との恋愛を考えるなら出来るかと・・・』


武人でも恋愛禁止とかはない

むしろ、心に迷いが出てしまうなら

率先して恋愛を優先してもいいとまで

充実した生き方ができずに

武人が全うできるはずがないと

少し特殊な考え方なのが


『霜月の心得にも“迷わず生きろ”とあります、自分は他に好きな殿方は・・・今は居ません、レッド殿以外はもう愛さないと決めました』


過去には幼馴染の好意を寄せる相手も居たみたいですが

事象の中で消えていった存在で

淡い思い出でしか残っていない


そんな自分を含めて愛してくれた


『今回は、本気で狙える立場だと思って下さい』


フラットとしたのは

中途半端な状態で繰り返される事象ではなくて

確実な相手をレッド君もとして

決めるための流れだと


しかし、今までの記憶を消す事は不可能なので


『一択にしないのは、未練ですか?? 全愛は自分は認めたくはないです!!』


と言うには

それ以下が存在する

六花りっかさんがと言うのは

知り合った女性を全て含めて愛するという事


レッド君は平等ではないが

自分を愛してくれた女性は

みんな残したいと思っている


限られた世界で選ばれた存在


事象として繰り返される“今”

あくまでもでしかない


『未練はあると思います・・・魅力的な方ばかりですから、あなたも含めてですよ六花りっかさん』


事象の渦中はラインさんである

彼女の神業オーバースペックの成せる事だから


しかし、本当の中心はレッド君だったりする

彼の選んだ相手と共に

次へのステップを歩む事となるから


最も有力な候補は

ラインさんとなるのでしょうか


あくまでも“母親”の姿ではありますが

それはでしかないから


それぞれの出会った印象の違いとなるのか

順番よりも重要かと思います


そんな馴れ初めの話は

それぞれ個別でじっくりと別の機会で・・・


『隊長殿を選択しない場合は、苦労すると思います・・・それでも自分がのチャンスがあるならば、全力で精進するのみです』


全愛の楽園ハーレムエンドなら、問題はありませんよ』


に強く嫌悪を示す六花りっかさん

極端な男女比の逆転で一夫多妻の可能となった世界だが

それであっても、より独占欲の強いからでしょうか

それとも一対一の男女の営みが基本だと思っているのでしょうか


からの脱却とは理解しているのですが、どうしても心が揺らぎます・・・』


『あなたがだったら、独占でも構わないのですけどね』


仮の世界でしかない

現状の今

そこから、新たな世界への飛躍をするための準備


詳しい事情は

まだ内緒の状態で進めさせてもらいます

どうしてこのような仮の世界を本気で進行しているのか


『みんなが戻る前に、六花りっかさんの部屋へ行きましょう』


『あ、はい・・・本当にデートしてくれるのですね』


表情が笑顔になっている

基本的に嘘など付かないレッド君ですが

常套句のように交わされてしまうと

嘘ではなくて、事実が抹消されてしまう場合もあって


『僕、地味に信用されてないのですね・・・少し悲しいかも』


司令室を出て、六花りっかさんの部屋に移動する際

手を繋いでいたレッド君が不意にその手を離して

若干の心の距離を作る

実際の距離も少しだけ出ていた


『これは・・・自分への挑戦ですか、レッド殿を元気にしなくては!!』


そう言うと

レッド君を抱き上げ、ダッシュ

そのまま自室へ突入していった・・・

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