第10話 緑色の疾風編 その3
『なぁ順子・・・あいつはお前に会いに来たみたいだが、何でレッドを賭けての戦いになってるんだ??』
司令室にいるラインさんが順子さんへ問い詰めている
しかし、順子も少し困惑気味だったりする
『あたしに聞かれても困る・・・ネメシスも純真な女性だってことじゃないですか、もぅ今から一緒に倒しに行こうか~!!』
ラインさんに詰め寄られて
逆ギレ気味な順子さん
『私からお願いしてもいいでしょうか、順子さんがけじめをつけて下さい!!』
一番の苛立ちを見せているのはラビリアさん
ラインさんを押しのけて
順子さんを促している
『ラビリアさん・・・ラインさんが唖然としていますよ、あたしは困惑しかありません』
蚊帳の外な三人
どうしようもない感じで地団駄を踏む
そこへ、釘を刺すレッド君からの通信
通常回線:レッド⇒司令室
レッド:『すいませんが、邪魔はさせませんよ・・・
わざわざ、全体へ伝わるように通常回線を使っている
レッド君が行う作戦に支障を及ぼす相手は限られている
より嫉妬心の強い司令室の三人
待機室で待つエリアさんやトールちゃんは
あくまでも冷静に行動をできる方だったりする
まあ、暴走すると怖いので
深くは追求しないみたいですが
レッド:『それに、正式な
穏やかだが、圧を感じるレッド君の通信
一方的に送るのみなので
発言に対して文句を述べるが
これを直接レッド君へ伝えることはしない三人
『私はあくまでも母親として、レッドの相手を見定めるのみだ・・・』
『私は、レッドさんを愛する恋人として浮気を許さないと思うだけです』
『あたしは愛人ポジションなので・・・う~ん、一番不利ね』
思惑を言葉に
ラインさんは母親として
ラビリアさんは、自称恋人として
順子さんは、愛人の一人として
それぞれの気持ちをレッド君へ馳せていた
『邪魔は入らないと思います、お二人共・・・全力で戦って下さい』
ニコッと微笑むレッド君
自分を賭けての戦いを促す不思議な状況
更にそんな争いを遠くから介入を阻止までして
『少ない可能性でも、まだチャンスを残すなんて・・・イケナイ方ですねレッドさん、でもそんな所が魅力だったりします』
『自分が本妻だとこの
世界よりもただ愛する人のために戦う
過去の
受け継がれる歴史なんかよりも
目の前のひとつの愛のため
『女神ではないとしても容赦はしません、あなたの独立したシステムは同等以上の威力を持っていますよね??』
『そんなことまでわかるのですね・・・それとも、関係者ですか??』
本気の戦い
自分の実力が相手と比べて、どの程度であるのか
女神であれば
ジオクロニクルに全てが記載されるために
だから、情報を把握している部分も
『
傍観するレッド君
自分が勝者への褒美となるため
お互いを煽ることはするが
加担などはしていない
『フラットはネメシスさんにも適応するのですか・・・』
『よくわかりませんが、
ネメシスさんも
レッド君以外、二人共
『僕が勝利者への褒美扱いなので、手は出しませんよ・・・お互いの実力は互角だと思いますから、全力で挑んで下さい・・・己のために』
無駄に清々しいから
余計に相手を倒して
この素敵な笑顔を独占したいと
戦いの準備はお互い、ほぼ完了している
『“聖域”は・・飾り程度と考えておきましょうか』
ネメシスさんは女神特有の
絶対的防御“聖域”の展開を
無駄だと把握しながら一応発生させている
『
同等かそれ以上の攻撃であれば
完全に無敵ではない“聖域”を打破可能だったりする
しかし、基本的に女神を超える能力は
同じ女神でなければ、ほぼ皆無
レッド君が二人は実力が同じ位と言っていたから
ネメシスさんも
貫いてくると判断しているのでしょう
でも、常に最大の攻撃をするわけではないだろうから
それ以外を防ぐ意味では、有効になるのかもしれません
『と、戯言はこれくらいでいいでしょうか・・・ネメシスさん??』
何かを待っていたかのような
自信に満ちた表情になっている
どうやら秘策があるようです
『何を言い出すのかと思いましたが・・・戯言?? 意味がわかりません!!』
拍子抜けしている感じでネメシスさんは
一瞬だが、隙を作ってしまう
そんな刹那的なチャンスを逃すほど、武人たる彼女は甘くない
それに本当に秘策もあるようですし
『霜月流奥義 -
一筋の閃光が
あまりにも瞬間的な攻撃だったためか
『今のは何ですか・・・目くらましでもしたかっ・・・』
話の途中でネメシスさんは地面に倒れた
『“勝負は一瞬” 霜月流の家訓です、どんな場合にあっても隙を見せては勝てませんよ・・・それにこの戦いは負けられませんでしたからね~♪』
確実な止めを二発目として入れようとしたが
それはレッド君に阻止される
『それはダメです・・・彼女は今回の重要なファクターとなるので退場はさせません、勝負は確定していますから』
首元寸前で
一撃で仕留めたさっきの閃光よりも速く動いていたように思える
『どうしてですか・・・最後まで見届けて下さいレッド殿~!!』
『ネメシスさんをここで退場させても、あなたに利益はありません・・・それにそうしていたら、僕は・・・いえ、何でもありません』
何かを言いかけたが
躊躇して止めてしまう
が、それとなく察したのか
『申し訳ありません・・・お見苦しいところを』
その場で土下座をしている
地面には滴る液体が溜まる
『泣かせるつもりはなかったのですが、恐怖でしたか・・・こちらこそ申し訳ありません
跪いて泣いている
涙を拭ってから
そっと、唇と唇を触れ合わせる
『さてと、僕を自由にできますよ・・・どうしたいですか
自由にとは言ってなかったかと思われますが
泣かせてしまったお詫びを兼ねての特別的な意味合いなのでしょう
『レッド殿を自由に・・・ですか??』
まだ、完全に泣き止んではいないようですが
鼻をすすりながら
レッド君にとりあえず抱きつく
『乙女を泣かせた代償は大きいですからね・・・レッド殿♡』
『そうですか・・・まあ、僕はあなたが喜ぶなら何でも構いません』
衝動的な行動ではなかった
レッド君の中でネメシスさんをまだ必要な存在だけに
結果的に目的遂行が成功なら問題はないが
紳士として淑女を泣かせる行為は
合理的な意味合いではなくて
基本的なところだったりする
『珍しいですね、レッド殿が女の涙に弱いとは・・・うふふ、覚えておきます』
『こちらも珍しいですよ、
お互い、長い付き合いではあるが
未知なる部分の発見に、自然と笑みがこぼれる
そんな光景を下から覗くもう一人の淑女
『敗者なのであまり言いたくはありませんが、個人的に見せつけはやめていただきたいです・・・それとも、屈辱を与える意味合いですか??』
虚ろ気味な感じで
意識を戻したネメシスさんが
二人の様子を強引に見せ付けられる状態に
苦言を・・・
『やはり、退場してもらいましょう・・・レッド殿』
『あ、ダメですよ・・・』
顔を真っ赤にして再びネメシスさんに攻撃をしようとしている
そんな
何とも言えない形のネメシスさんだった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます