第8話 緑色の疾風編 その1
氷機の侵攻再開と
順子さんの再来と
一気に出来事は詰め込まれていく
出撃の途中だったレッド君と
来たばかりの順子さんを無視するかのように
行動を再開させている
『タイミング悪すぎね、あたし・・・ごめんなさいラインさん』
順子さんはラインさんへ頭を下げる
まあ、生徒会長を務めるだけあって
突飛な行動以外は、基本的に真面目な部分もちゃんとある
『お前も一応リーダーなんだから、もう少し行動を考えろよ!!』
ラインさんの意見は正しいだと思う
自分の欲望のための行動ですから
それは、怒るのも・・・ねぇ
『どうしても自分の衝動を抑える事が出来ませんでした、トールちゃんならわかってくれるよね・・・あたしの気持ちを~??』
唐突の横に居るトールちゃんへ確認を求める
破壊の女神として君臨していたトールちゃん
レッド君との馴れ初めで
彼によって運命を変えられたと言ってもいいくらいの
壮絶な時間を過ごしてきた
そんなトールちゃんの過去を知る順子さんは
一番理解してくれると判断したようです
『いいえ、トールには理解できません~!!』
意外な答えだった
自分の事を棚に上げて
順子さんの衝動に対して
不一致だと、発言したから
『嘘でしょ・・・トールちゃん、あたしと同類だと信じてたのに~!!』
掛けている眼鏡を外して取り出したハンカチで涙を拭う
順子さんも眼鏡型のデバイスをしていた
天球にも同じようなネットワークシステムが存在する
生徒会の副会長を務める
久遠愛理さん
彼女はラビリアさんの師匠的存在で
ソウルジュエルの開発者
更にはその宝石を用いたシステムの構築の開発者でもある
“スターライトシステム”
ラビリアさんの構築した“ユニバースシステム”の原型とも言える
完全自律型の永久機関
そして、魔法のような技法を使用可能とした
“ソウルスキル”
これを膨大なデータを演算処理して具現化した形で
属性ごとに異なった
それに合わせて
女神専用の
愛理さんとラビリアさんに共通するもの
眼鏡をこよなく愛している事
わざわざ、デバイスに採用するくらいで
しかも、どちらも世界管理システムである事から
基本的に世界に住む人は全員装着する
世界が眼鏡で溢れているのです
一部例外もありますが
99.99%と言ってもいいでしょう
天球も
眼鏡着用の人類だと
『他人の欲望や衝動に関しては理解できないみたいだからなトールは・・・』
慰める様に
順子さんの両肩に手を軽く置くラインさん
それに対し
『そんな言葉は要りません、信じていた共感してくれる存在が・・・ううっ』
余計に虚しくなってしまったようです
本当に何をしに来たのでしょうね
『順子もこちらへ来たからには、泣いている暇はないと思え・・・強制参加で今から二十二部隊の七番目のメンバーだからな』
学校の制服を着用している順子さん
明らかに場違いだったりする
そして、さっきラインさんが両肩に置いた瞬間
同じ制服でも
軍用の制服に変化している
過去に幾度と来ているから
既に順子さん専用の服は存在している
カスタマイズも瞬時に行われるため
体型も変化があったとしても
基本的には問題はない
『順子さん、またサイズ変わりましたね・・・女神なのに成長するなんて~!!』
不思議そうに・・・いや、睨むように
その成長した部分を凝視するラビリアさん
司令室の移動してきた出撃以外のメンバー
軍用の制服になって
より強調されている一部分
『うふふ、成果を体感してみますか・・・』
おもむろにラビリアさんの手を掴んで自分の胸に当てる
急にされたから思わず強く揉んでしまう
いや、本気でかもしれません
『これでレッドさんを誘惑したんですね・・・潰してくれようか~!!』
『あの、ラビリアさん・・・痛いです!!』
女性同士でゆりゆりな展開ではありますが
お互いレッド君を巡るライバル同士
醜い争いに発展しかかっている
ラインさん以上に順子さんへの嫉妬心は強いですから
『そこの二人!! 遊ぶなら、終わってからにしろよ~』
いちゃいちゃしているように見える順子さんとラビリアさんに注意するラインさん
別に遊んでいるわけではない、むしろ危険だから止めようとしたのかも
ここで修羅場を迎えても仕方ないから
それに、今はレッド君と
氷機と交戦しようとしている
『すみません、後で始末します・・・』
『え、ラビリアさん冗談ですよね??』
若干の恐怖を感じる順子さん、これは冗談に思えない
しかし、それ以上何も言わないラビリアさんは
無言で作業を再開させているから、真意は不明
『私以上に怖いぞラビリアは、おとなしくしていた方が無難だぞ順子??』
『・・・二人して、あたしを牽制しているのですね~』
あくまでも真実を語るラインさん
それを半分くらいで捉える順子さん
そんな中・・・
レッド君と
『隊長、二人が接触した模様』
『ああ、指示は出る前にある程度伝えてあるから・・・特に変更がなければそのままでいいぞ』
『はい、わかりました』
どうやら、街への攻撃目前でギリギリ間に合ったようです
侵攻中の氷機が徐々に減っていく
『
同級生で生徒会書記の福岡由佳さん
同じクラスもあって、すぐに仲良くなり
友達からそのまま仲間へ発展して
更には女神へと覚醒としている
有力な存在だったりする
両者の速度がいい勝負だと
戦況は文字情報でリアルタイムに表示されていて
ある程度の把握は可能です
でも、順子さんの発言をするには
実際に現場で目撃でもしていないと無理だったりする
『あいつの装備、より速度を重視できるように改良してあるからな』
『ほほ~う、なるほどね・・・ラビリアさんの功績ですか』
世界を管理できる能力
ジオクラス
ラインさんと同等な強さを持つ順子さん
女神の
“ビジョン”を使用している
千里眼などと呼ばれたりもする
特定の場所や人物を自由にその場にいなくても
目の前で見ているように把握可能
同じくラインさんも使用中で
女神であれば、指定して簡単に切り替えできる
難易度は相手や場所で異なりますが
高い演算能力があれば
比較的容易い
高性能のレーダーみたいな感じで
それを処理するハイスペックなコンピューターを搭載していると
実際、演算処理するのは
自身の能力とサポートしているシステムですから
比喩というよりも具体例のようにも思えます
『・・・隊長、レッドさんから要請が来ています』
『ん、何だ??』
指示は出している
敵の情報を見る限り
ボスクラスな厄介な相手は出現していない
『もしかして、
『可能性はありますね~あたしも帰ったら遭遇しましたから』
より強い女神
特に“世界の管理者”は
決められた存在で
他の女神は、それを力で奪おうとしてきます
温和な方ばかりではありません
野心家や好戦的な方
理由はそれぞれですが
次元を超える能力を保有していれば
基本的に別の世界へ侵攻が可能です
“
女神の
対象者を別の世界へと移動させることができる
自分を含めた物体を任意の世界へ移動させる
『隊長・・・反応が出ました』
『私に順子も今ここにいるからな・・・やはり、拒絶するべきだったか』
直前に移動先に座標固定されるために
空間が湾曲する
そのために、異変としてデータの差が生じて
来るのが事前に把握できる
奇襲などには向いていない
しかし、ほとんどの女神はこれを使用しないと
別の世界への移動はできません
『あたしも部隊の仲間だから、
『・・・それを判断するのは私だ、それにレッドに
順子との会話の最中に同時にレッドへ指示を出していた
要請内容の承認と、
レッド君が要請していたのは
それに必要な
フィーバー状態となると
制限時間内で全属性を無条件で最大状態で使用可能となり
ほぼ無敵に近い形で戦うことができる
更にランデブーモードで同調することにより
相乗効果が無限大で発揮できる
しかし、反動が大きすぎるため
一度使用すると一週間程度は活動を制限されてしまう
ゲート反応を近くで感じたレッド君は
相手の技量を判断して
今の要請をしてきたと思われる
『多分“レジェンドクラス”だろうな・・・』
『帰ったら、あたしが看病しま~す♡』
いつの間にか、白衣に着替えている順子さん
ギミック的な無駄に大きな注射器を持っている
本当に何をしに来たのでしょうね・・・
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