第7話 女神の邂逅

光が不思議な方向に回転している謎の空間

どうやら次元と次元の狭間のようです

そんな空間に浮かぶ巨大戦艦

その甲板上にて


『わざわざ出迎えてくれるなんて、嬉しいわね~♪』


『そうだな、久しぶりの再会だし・・・こういうのも悪くないだろ』


約2mくらいある長身のラインさん

圧倒的な威圧感を見せている

張り合うように仁王立ちで見上げる小柄な少女

部分だけは、同等な不思議な二人の対峙


『ラインさんが直接出向くからには、あたしは歓迎されてないのですね』


『察しがいいな・・・すまないが手短に済ませたい』


お互い、約1mのバストを強調するように

腕を組んでいる


『順子さん・・・これは出直した方がいいみたいですわよ』


『う~ん、折角レッド君と子作り出来ると楽しみにしてたのに~』


保護者のような、気品ある淑女

身長差もそれを強調しているみたいで

ラインさんの登場で、帰還を促そうとする


『順子はまだレッドの子供を欲しがっているのか・・・確定するのはもう少し未来の話だろ、待てないのか節操ないぞお前』


『レッド君は・・・あたしとは浮気ではないから自由にしていいって言ってたよ』


一瞬、ラインさんは順子さんへ殴りかけたが

レッド君なら言いそうだったので、躊躇した


『レッドの奴~!! すまないが今回だけはこのまま帰ってくれないか、それで次の事象での情事は手出ししないと約束しよう・・・どうだ??』


みたいですね、珍しく妥協案ですか・・・わかりました、今回は素直に帰りましょう』


に話のわかる順子さん

それにしても、別の次元のにまで手を出していたなんて

レッド君・・・何者なのかな??


『ライン様、申し訳ありません・・・こちらの装備を媒介にさせてもらいました』


『そうか、お前も苦労しているな・・・まあ、順子が悪いとレッドも把握しているだろうから・・・ツイール泣くことはないぞ』


若干、涙目のツイールさん

強引に順子さんに同行させられたようですね

しかも、他人の所有物を無断で拝借してしまって


『って、あたしが悪いみたいじゃない・・・ツイールも泣かないの!!』


『ううう・・・順子さん、わたくしは申し訳ありません』


強制的に話が終了した

もう、これ以上はどうしようもないと判断したみたいで

順子さんはツイールさんを連れて船室へ消えていった


『三十分未満で済んだか、よし~!!』


『過去の事例から、密かに遂行しようとしたのか・・・私も暴挙に出てしまったからな、仕方ないか』


『それにしても・・・レッドは順子も攻略対象だとでもいうのか!?』


思わず変な想像をしてしまったラインさん

深く考えても仕方ないと

旋回する戦艦から離脱する


以前は、似たような状況で殺し合いに発展して

次元を壊しかけたくらいだったから

また、再来かと考えた次第だったので

素直に引いてくれて

安堵する


ラインさんが嘘は付かないと知っているから

約束として素直に帰ることにしたのでしょうか??


『純粋なライン様を騙すような作戦・・・わたくしには心苦しいでしたわ』


『ふふふ、仕方ないじゃないですか・・・レッド君との約束だもん、ラインさんには内緒にしてくれと言われたから』


ニコニコする順子さん

どうやらレッド君は全てを知っているようですね

悪巧みが行われているみたいで

一体どのような所業を・・・


『どうなっても知りませんからね、わたくしの介入はここまでですわ』


『あたしを待っているレッド君~うふふ♡』


小悪魔な笑みを浮かべ

レッド君を想う


『う~ん・・・このまま帰すのは失敗だったかもしれないな??』


”とでも言うのだろうか

順子さんに対して、あまりいい印象ではない

100%疑うのは、自分のポリシーに反するみたいで


『仕方ない、今回だけは見逃してやろう・・・だが、約束してしまったからな~次回は手出しできないのか』


あくまでも、素直に帰った順子を認める形で

急ぎこちらも帰還する


『あいつもレッドに対する愛は本物だからな、今回フラットにすると言ったから・・・一応、参加を認めてやるぞ順子』


ただ、ラインさんと順子さんもかなりの長い付き合いだから

お互いの事を熟知している


約束を守れば

次回は本気で手出ししない

仕様で抑制して完全に順子さんとレッド君の子作りを傍観しなくてはならない

死に値する行為だろう

しかし、細工までしてこっそり実行してくる時点で

ラインさんもこのままではないとある程度の思惑を把握している感じにも

それに、あんな大胆に無駄な行動をするとは

偽装工作以外に考えにくいと


『・・・レッドが順子を呼んだ可能性が高いだろう、ふふふ~♪』


不気味に笑うラインさん

最大にして最強なライバルである

順子さんの強引な来訪を楽しみにしている・・・のかもしれない


三十分と制限を設けたのには理由がある

世界の停止にはリスクがあって

長時間の停止は放棄とみなされてしまい

リセットされる可能性があるから


単純に管理者が短期で出る際

ごみ捨てや近所のコンビニに買い物程度

結構の頻度で軽装で出るでしょう


女性でしたら、準備する場合もあるかもしれませんが

それでも軽めだと思います


今回のラインさんも

一応、同等のシチュエーションだと思って下さい

それで、完全な手順ではなくて

瞬間的な形式を選択した


『よし、レッド・・・もういいぞ』


『あ、お母さん・・・おかえりなさい』


二人の輝いていたのは体内の宝石

ラビリアさんも同様


『おかえりなさいラインさん、順子さん素直に帰ったのですね』


『ああ、まあ・・・いいか、すぐにわかるだろうから』


と、手にある装備をレッド君に返した

手渡す際に

ラインさんはレッド君に順子さんとのやり取りを伝達する


『ふふふ、順子さんのやりそうな手段・・・近い内に再会出来そうですね』


伝達されたやり取りと

手渡された装備の細工

ラインさんと同様で、順子さんの思惑を理解したようです

と言うか、知っていたと思う方がいいのかもしれない


『私はあくまでも傍観なんだが・・・どうしたらいい??』


『何で私に聞くのですか!! レッドさんへ直接確認して下さい』


レッド君の嬉しそうな態度に

急にそわそわするラインさん

相談されたラビリアさんは、若干だが苛立ちがある


まあ、先ほどの件もあって

更に順子さんも絡むとなるとラビリアさんは

余計にイライラしているかもしれませんね


『まずは今の対処からですよ、お母さん』


『あ、ああ・・・そうだな、隊長失格だぞ私・・・しっかりしろ』


自分で頬を叩き

気合を入れている

特にレッド君絡みになると

母親の過保護というよりも恋人の嫉妬という感じ


『流石は隊長殿、立ち直りも早い・・・見習わなければ』


自分も似た気質な部分があるから

レッド君に対しての気持ちを含めて

ライバルではあるが、憧れの存在でもある


六花りっかさんはメンタル面の強化を頑張ってきましたからね』


『レッド殿・・・恥ずかしい』


思わず、目が合って

急に意識してしまって

昔の記憶が少し蘇ったみたいです


『お母さんやラビリアさんは、僕と六花りっかさんとの出会いを把握していないようです』


『レッド殿との出会い・・・』


こことは違う別の世界でのお話

ラビリアさん以外は

既にレッド君との濃密な時間を別の世界で過ごしている

ラインさんが繰り返す事象の中心であるレッド君に

特に関わりの強い異性を集めて部隊として活動しているのは

より、目的に近く達成できるようにするため


その点で言えば

先ほど出てきたさんも重要な人物となる


本来はライバルを増やすのは

個人的な意味で不本意だとラインさんは思っているが

それは、あくまでも個人的な意味でしかない


本当の母親だったら

もっと違う事を思ったのかもしれません


『家族でもプライバシーは重要だと思うが・・・隠すなら隠し通せよ!!』


横にいるラインさんに筒抜けな会話となっている

本人的には隠すつもりは微妙な気もしますが

曖昧にする形で今まできてしまったから


『お母さんに隠し事は、基本しないつもりですけど・・・話す機会がなかっただけですよ、六花りっかさんとの出会いについては』


『自分としては、恥ずかしいのででお願いしたいです』


やはり、レッド君的には特に隠し事だとは把握していないみたいです

しかし、六花りっかさんは

自分の馴れ初めというか、嬉し恥ずかしな初恋の話となるから

隠しておきたいようです


『無理にとは言わない、恥ずかしいなら私でも隠したいと思うからな』


あくまでも本人を尊重する

別に悪事をしているわけではないし

それに詮索するような事はあまり好まない部分もあったりするから


『私は、興味ありますよとしてね』


ラビリアさんと六花りっかさんは

“ランドストーム”という名義でアイドル活動を行っている

レッド君が密かなだと知った際に

六花りっかさんがラビリアさんを誘って強引に結成した


今は活動を一時的に休止しているが

近いうちに再開する予定だったりする


『僕のためにやってくれたのですよね・・・あれは、凄く素敵でした』


『あ、レッド・・・私もソロで活動したんだぞ!!』


対抗するかのように

ラインさんも自社ブランドの宣伝を兼ねて

アイドル活動をしている

こちらは、進行形で不定期だが

ミニライブなども行っている


どちらも世界的な人気となっていて

動画配信サイトでは

ライブやプロモーションの映像は

常に上位の再生数を記録する


『アイドルと言えば・・・さんも生徒会長アイドルとして活動しているって聞きましたよ』


急にトールちゃんが話に加わる

と呼ばれる

現在の地球にソックリな世界があり

その管理者である順子さん

として

青春を謳歌している、らしい


生徒会長を務める傍ら

慈善活動の一環として始めたアイドルだったが

異常な盛り上がりをみせたため

本格的にデビューとなった


生徒会メンバーもユニット的な扱いで活動を行っているようで

全体で大いに楽しんでいる


いい意味での心を揺さぶる行為は

世界を管理する立場として

かなり重要な事で

自分の強さへと繋がる


『噂しているようだったから、こっそり来てみました~』


トールちゃんの隣に急に現れる

レッド君の装備に仕込んだギミックで自己召喚を行ったようです

一応の偽装工作ではあったが

ラインさんが把握する事は、ある程度わかっての

若干、面白みのないサプライズ


『お久しぶりです順子さん』


『わかっていたから、私は特に歓迎とかはしないぞ』


ニコニコしながら握手をしているレッド君

それを睨みつつ牽制しているラインさん

対照的な親子の対応だが

基本的に、サプライズ好きなラインさんは

多分、歓迎会とかするのだろうと

本人以外は思っている


これもある意味でなのかもしれません

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