第6話 赤い少年編 その6
『レッド殿・・・』
『どうしました
司令室を出て少し歩いたところで
急に立ち止まる
慌ててぶつかりそうになるのを回避するレッド君を掴まえて
『申し訳ありません、衝動を抑えることが~ああ!!』
抱き上げ、キスをする
軽く口づけではなく
濃厚な恋人同士のようなキスを・・・
比較的小柄な
一般的な成人女性の身長くらいはある
それに対し、成長期前の中学生くらいのレッド君
しゃがむか抱き上げるかしないと顔を合わせることはできない
『武人も聖人君子ではないのですから、別に人前でも構わないのではないですか・・・それとも恥じらいですか??』
地面に降りたレッド君は頬を赤らめる
明らかに後者だと、すぐにわかる
『まあ、いいです・・・僕を好きでいてくれるなら』
『武人としてではなくて、一人の女性としてレッド殿には自分を見ていて欲しい』
最初は単純に強さへの憧れでしかなかった
今のこの世界では、年齢はあまり意味を持たない
年の功と言える熟練した技や経験という意味では、あるのかもしれないが
才能だけで特化した個体として判断した場合
宝石と心と身体の相性が最も重要な意味を持ってくる
ここで言っている意味とは
レッド君は純粋に
そこで悔しさや嫉妬などは無かった
まず、性別が違うこと
これは最も大きな部分かもしれない
女神へレッド君はなれないからだ
女性限定の最上位覚醒である
その内に自分が女神へと覚醒すればいいだけのこと
そして、属性の違い
レッド君は火属性
攻撃力に特化したスキル威力は最大となる
速さに特化していて、戦闘力が最も上がりやすい
修業中だったから、その内超えるだろうと判断していた
比較的楽観的な考えを持つ
深く差について思っていなかったようです
そして、その内が一向にやってこない間に
強さへの思いが異性への感情に変化していったみたいです
特訓とか色々していたり日々の過ごしてきた濃密な時間が
愛を育んでいった
『順番的に自分が最初でいいのですか??』
今更になって少し不安になったのか
装備デバイスの格納庫前で、再び立ち止まる
『ラビリア殿や隊長殿よりも先でいいのですか??』
問い詰める形が
壁ドンなポジションとなっていた
シチュエーションでは逆なのだろうけど
身長差を考えれば、このようになってしまう
『序盤で一番覚醒準備が整っているから
『ほ、ほ、ほ・・・本妻ですか~!!! ちょ、ちょっとレッド殿!?』
急に本妻なんて言い出すから
驚いて腰を抜かしてしまう
慌てて手を差し伸べるレッド君
『ごめんなさい、変な事言ってしまって・・・でも、一応は事実ですから』
注意:レッド君はあくまでも少年です
姿勢を正し
格納庫へ移動する
『お前ら、遅いじゃないか~!!』
先回り(空間転移)してラインさんが待っていた
実際、モニタもあるので通信でも問題はないが
直接の対話を好むみたいです
モニタごしのラビリアさんより
~隊長から話を聞いて下さい、以上~
と一言だけで通信を切る
『ラビリアさんに後で謝罪した方がいいですよ、あれは怒ってます』
『ううっ~またか・・・何で私はこんなに軽率すぎる??』
相当に
これも常習的なので
レッド君も
更には周囲の作業員たちも特に反応していない
『隊長殿、新装備ですか??』
『・・・ああ、ラビリアが
仮想空間内で
『
旧日本の代々伝わる武家の師範代
和装の似合う
ラビリアさんの趣味が満載の装備を楽しそうに扱う
前にも
素敵なネーミングの装備があった
飛行機タイプと武器タイプと双方を同時に使用できるように
新たに武器として再構築した
単独で出力したものとなる
サポート用に装備を充実させている
それだけ期待されているということでしょう
『可変型では無い分、軽量化してあるのですね』
『そうだな、その分攻撃力が低下してしまっている』
一進一退みたいだが
『軽いなら、それだけ攻撃回数を増やせます・・・無数に連携するのみです』
前向きな発言に安心するラインさんだった
装着と同時に
この時点で微調整がなされる
使用法なども一気に脳に直接刻まれることになる
『僕のは・・・あれっ??』
レッド君が自分用の装備を手に取ろうとすると
既にそこに装備はなかった
『どうしたレッド??』
異変に気づいたラインさんがやって来る
ついてくるように
『どうしましたか、レッド殿!!』
『あ・・・僕の装備がなくなっています?!』
基本的に本人以外には解除できない仕様となっている
誤作動でも起きたのだろうか
『ちょっと待ってろ・・・ラビリアに確認してみるからな』
慌ててラインさんはラビリアさんへとテレパシーを使う
ライン:女神スキル「テレパシー」稼働
対話開始:ライン⇔ラビリア
ライン:(おい、緊急だラビリア!!)
ラビリア:(・・・どうしましたか??)
ライン:(レッドの装備がなくなっているぞ)
ラビリア:(え、レッドさんのですか!!)
ライン:(そうだ、ラビリア知ってるか??)
ラビリア:(わかりません・・・新規の装備でしたら格納前なので扱えますが)
ライン:(そうだよな、本人以外は無理だよな・・・不具合はありえるのか??)
ラビリア:(不具合ですか・・・基本的にはありませんがレッドさんなら)
脳内で行われる概念的な対話
刹那的に行われるため
実際の経過は秒間未満の扱いとなる
そして、基本的に使用者と対象者のみだけが参加可能なのだが
同等かそれ以上の能力があれば
この対話に介入が可能です
直接介入:レッド⇒対象:ライン
レッド:(すいません、割り込ませてもらいます)
ライン:(・・・相変わらずだな、レッド)
ラビリア:(デーモンシステムから介入したのですか??)
レッド:(原因がわかりましたので、報告しようと思いまして)
ライン:(ん・・・原因、わかったのか)
レッド:(はい、沢渡順子さんがこの世界へ侵攻を開始している影響です・・・彼女が僕へアプローチしています)
ラビリア:(待って、それなら私が最初に把握するはずですよ??)
ライン:(そうだ、世界の中枢たるラビリアに反応があるはず)
突然出てきた名前
沢渡順子さん
彼女は誰なんでしょうか??
文字が漢字からして、
レッド:(
ライン:(ツイールか・・・厄介だぞ、ラビリア)
ラビリア:(正規ルート扱いだと、私では把握できません)
ライン:(仕方ない・・・今回は干渉されると色々と困る、直接会ってくる)
テレパシーが強制終了する
『すまない、一時的に世界を停止させる・・・天球からのお客に挨拶してくる』
『維持は僕がします、なるべく手早くお願いします』
『ああ、三十分ってところだろうか・・・レッド頼んだぞ』
ラインさんの胸の中心あたりが真っ赤に光りだす
同時にレッド君も同じように光っている
『ネットワークをラインさんの停止処置の間オフラインとします』
ラビリアさんも少しして同様に
胸の中心あたりが黄色に輝いている
世界の明るさが暗転
束の間のブラックアウト状態となった・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます