第4話 赤い少年編 その4

『レッドさんは、何を考えているのか私にはわかりません』


『皆さんを真の姿へ導く準備ですよ・・・』


不安そうにレッド君を見ているラビリアさん

終始ニコニコしているレッド君


男女の色恋を濃厚に促す意味合いを

それとなくアピールしている


優秀な科学者であるラビリアさんが開発したシステム

“心”と言いますか

“魂”と言いますか

“命”と同等の意味合いとなる

そんなを使った人類の最大の進化


天使計画エンゼルプロジェクト


人知を超えた存在

神へと近づくための

更に本気で神を超える存在となるべく


へと覚醒しないとにはなれませんからね・・・』


『それは、わかってますよ・・・でも早すぎませんか??』


レッド君の言っているとは

本当の神ではない

人を超え天使となる

更に一定の条件を満たした天使は

へと覚醒する


世界を凌駕できるだけの能力を保有し

次元を超える事も可能となる


特殊な事象の繰り返しを行っている

無数に続く世界の輪廻のような


記憶と言いますか

心と身体の繋がりが微細な違いとなって

事象を繰り返す度に

調整を行わなければならない


本来はある程度の時間を過ごして

準備をゆっくり行うのですが

レッド君はそれをかなり強引に前倒しするつもりです


ラインさんがそれを促したみたいです

率いている部隊のレッド君以外のメンバーは

全員がへと覚醒の可能な存在


事象ごとで新たな覚醒が必要となる

そのためにレッド君は

きっかけのような形で

お互いの合意のもとに愛を育み

へと


『個人的には、あまり気が進まない部分もありますが・・・ラインさんは、何か企みを持っているようですよ』


『そうですか・・・でも、加担したのですよね??』


フラットだとしても

ここに、レッド君の思惑が見え隠れしている


この世界は

本来の居場所ではなくて

作られた仮想的な空間だと、言っておきます


レッド君と他のメンバーは

それぞれ違う世界で出会っていて

過去というべきか

記憶の断片にあるいにしえの事象で

愛し合ったから

より、レッド君との恋愛に過剰に反応する


だからではないですが

それぞれを覚醒させるための行為として

今までの記憶で一番の思い出をより深く繋がりを持って


主にラビリアさんが、今回の世界で初登場であり

出会いの時間も事象も薄いため

集中してレッド君も一途なくらい

恋愛⇒結婚

と厚めな記憶を構築してきました


『ラビリアは、今までの関係を更に深くしたいのか??』


二人の会話を割くようにラインさんが介入してくる

事象での繋がりで言えば

最も長く深い関係を持つレッド君とラインさん


『“”とでも言わせたいのですか!!』


明らかな苛立ちを見せるラビリアさん

ある意味、恋人同士の語らいなくらい

二人だけの空間を用意していたから

まあ、本人はそのようには思っていないでしょうけど


『ラビリアさんは単に“”だけですよ、ね??』


隣で微笑むレッド君

相手がどのくらい自分を想っているのか

全く見えてこない


冒頭の発言もそんな率直な意見だったのかもしれません

しかし、ライバルを前にして

弱い姿は見せたくない

むしろ、そんな部分でもギミックだと思わせるくらいの勢いで

突拍子もない行動を取ろうとする


『今までは、みんなよりも遅れた分の補填的な感じで助けてもらっていました』


『ラビリア!? 私はそんなつもりはなかったが、結果的にそうなったか』


一触即発な空気感

常習的な流れであるなら

ここで、レッド君は察して仲裁でもするのでしょう


『では、僕はエリアさんに呼ばれましたから・・・失礼します』


しかし、そのまま退室していきます

イレギュラーとも思える

“火に油を注ぐ”かのような行動

この場ではなくて、別の場所を優先しようとしている


メンバー同士でデバイスのネットワークを介して

チャット的な対話が可能で

今のやり取りの間に

エリアさんが痺れを切らして、連絡をしたようです


“ユニバースシステム”


ラビリアさんが開発した

概念伝達をも可能とする

宝石を用いたネットワークで

惑星の南北にある極部分に存在する中枢端末セントラルタワーと全てのデバイスがリンクしており

更にそれぞれの極と連動した巨大な増幅器サテライトアンプが2基あって

それが補助的な役割をして

完全なデータ世界を構築している


そんなユニバースシステムを

軍事的にも利用している


氷機を相手に戦う部隊は

と呼ばれ

宝石の力を導くように

特殊な能力を駆使している


『おい、レッド~??』


『え、レッドさん~!?』


困惑する二人

今までとは違う行動に対して

立ちすくむのみ

そして、レッド君は戻ってこない


『厄介な展開となったな・・・エリアは面倒だぞ??』


『言われなくても、わかっています・・・くぅ!!』


ラインさんもラビリアさんも

空間を閉鎖して、レッド君を独占しようとしました

でも、ラインさんの展開した

ラビリアさんのスキルで切り裂かれた


ラビリアさんの展開した

空間転移を行えるラインさんには通用しない


しかし、エリアさんはどちらもと異なる

精霊界アストラルサイドへ移動可能で

導師の中でもかなり特殊な存在

精霊巫女エレメンタルマスター

データ化したことにより

繋がりを構築した、未知なる世界

精霊界アストラルサイドとの交流を行った

その際にその世界に住む精霊と呼ばれる存在とをすることにより

その精霊との深い繋がりを

多大なる恩恵を受けることになった


『耐え切れるかは、レッド次第だろうが・・・私が持ちそうにない』


急に泣きそうなくらい不安となっているラインさん

この手の変化に意外と弱い


『フラットだとレッドさんが言ったんです、でしたらこれは当然の流れだと思います・・・むしろ、未知に近い六花りっかさんの方が注意対象かと』


あくまでも冷静に分析するラビリアさん

自分とラインさんとエリアさんは

特にレッド君に対して思い入れもあるし

気持ちも終始ほぼ変わっていない

エリアさんに関しては、な部分もあるので

何とも言えないが

それでも、やはりレッド君を特別視しているのは把握している


トールちゃんはでは幼馴染的な感じで

微妙な立ち位置だったりする

しかも、最近は六花りっかさんに想いを寄せるようになってきている


流れで引っ張られるようにトールちゃんに気持ちが移行気味なのが

六花りっかさんだ


でも、過去の繋がりも不明で

実際に強さに尊敬や憧れのような感情はレッド君にあるみたいだが

恋愛感情がそれに発展しているようには思えず

過去の事象でもある程度の距離は接近する場面もあった

しかし、それも流れで仕方なくというか

意図的な感じにも思え

最も謎な存在だったりする


『う~ん・・・あいつだけは、過去が把握できなかったからな』


強力な事象介入する能力を持つラインさん

レッド君と関係を持っている

別の世界から来たと思われる存在を部隊メンバーに入れて

ある目的のための行動をしてきている


その際、エリアさんとトールちゃんに関しては

過去の繋がりを確実な事象として把握できた

でも、六花りっかさんは

繋がりだけ把握している状態

詳細が把握できずに、現在まで至っている


『私はトールさんを味方にする方向で進めようと思いますが』


『相変わらずだな・・・やはり、お前と敵対は無理みたいだ』


一度はライバル扱いして

単独行動を起こしたが

今までの繋がりで

不思議な関係を構築しているからか

ラインさんとラビリアさんは

お互いに相手を求めているようにも思える


『どうやらレッドはハーレム展開トゥルーエンドを希望しているようだな、私はあくまでもレッドの母親として相手を見極めるだけだ!!』


『最終的に自分が一番だと思わせたいのでしょ・・・いいですよ、私も同じような考えですから』


基本的に考え方が近い二人

よく“喧嘩するほど仲がいい”などと表現しますが

近いと言っても

やはり、性格的な部分や価値観の差もあって

意見が衝突したりもします

特にレッド君関係で


『エリアさんは、これでいいのですか??』


『う~ん・・・個人的には~どちらでもいいのよ~のレッドちゃんだと思ってますから~うふふ♡』


この展開をこちらも予想していたようです

エリアさんとレッド君が覗くように

ラインさんとラビリアさんの様子を見ている


『ジンさんから精霊界アストラルサイドの悪用だと思われませんかね??』


『平気よ~許可してもらってるから~そのための巫女の能力でもあるのよ・・・』


能力の発揮の仕方は少し違う気もしますが

幽体離脱のような状態で

空間を把握できるみたいです


『・・・余興はこんなものか、の侵攻が始まったようだな!!』


『そのようですね、応援要請が届いています・・・出撃の準備しますね』


明らかにとは思えませんが

気分転換には丁度いいと

軽快にラインさんとラビリアさんが部屋を移動する

目的地は司令室


どうやら、が近隣の街に奇襲を掛けてきたようです


『エリアさん、こちらも戻りましょうか??』


『そうね~もう少し、レッド君を堪能したかったわ~残念ね・・・』


精神体な状態で二人は密接した感覚となっていて

ある意味で男女の営みをしているような

常識の範囲外で絡み合う時間の共有


レッド君とエリアさんも司令室に移動していった・・・

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